山と鉄

山歩き、乗り鉄、廃線・廃道歩き、廃村歩き、駅舎探訪などの日々を記録します

蝶ヶ岳(下)

午後5時半(7月27日)、蝶ヶ岳ヒュッテ。
館内放送で夕食の案内があった。
食堂の収容人数は70人なので、先着順に受付番号70番までが午後5時、71~140番までが5時半、141番以降が6時ということになっている。
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部屋で山行記録を付けている間にも、遅い到着の方々が次々に入ってきて、ちょっと不安になったが、最終的に布団1枚分の領域は確保できた。
人数が増えた場合、布団2枚分で3人寝てもらうことになるそうだ。
先週の鳥海と昨年の八ヶ岳山頂でそういう目に遭ったが、あれだけはごめんだ。
ちなみに、ここのキャパは250人とのこと。

食事はメインがトンカツで、その他総菜系の付け合わせが何品か。
山小屋の夕食としては、まあ並みだろう。お腹が空いていたし、とくに不満はなかった。
写真を取り忘れたので、これは3回目の人の盗み撮り。
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食事を終えて、外に出ると、東のガスが消えて、常念岳が姿を現した。
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その分、槍・穂高のピークが雲にくるまり、残念な状況。日没は7時すぎ、それまで外でぼんやりしているのも寒いので、部屋で寝る態勢を固める。
ときおり、窓から外の様子を眺め、ろくな夕焼けにはならないことを確信して、写真は窓からにしておしまい。
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それでも、この程度の写真は撮れた。

7時半くらいに一応目を閉じる。
消灯は9時のはずだが、8時前には電気が消えてしまった。誰か早寝の人が勝手に消したのかもしれない。
ただその時点で、屋根裏の人はみな寝ていた。中高年の方々がほとんどで、みな疲れ切っているのだ。
8時をすぎて食事などから戻ってきたパーティーの方々が荷物をがさごそしてたら、
「もう少し、静かにしてください!」と誰かに怒鳴られていた。
そんなに傍若無人にしていたわけでもなく、まだ消灯前なのだから、少し酷な気がした。

で、8時半にはもうイビキの合唱が始まった。
私は何度も山小屋に泊まっているのに、大部屋ではほとんど眠れない。
基本的にがさつなのに、そこだけはデリケートなのである。
今回もすぐには眠れなさそうなので、一旦床を抜け出し、1階の談話室で高山植物の確認作業をした。
ブログではえらそうに、これは何、あれは何と書いているが、1回覚えてもすぐ忘れてしまい、何度も見直さないと思い出せないのだ。
年を取ってから、ものを覚えるのは本当にむずかしい。

消灯の9時となったので、用をたしに外トイレに出る。
安曇野の夜景はきれいに見えたが、槍・穂高方面が今度はガスっている。
明日も下界は晴れの予報だが、山の天気は予想がつかない。
安曇野が雲海、槍・穂高が朝日に赤く染まるというのが理想なのだが、果たしてそううまくいくか。

部屋に戻ったが、やはり眠れない。
鳥海山の時もそうだったが、なぜか必ず、その日一番イビキの大きい人が隣にいる。
でもイライラしても始まらない。どうせ、11時くらいまでは寝付けないだろうと覚悟を決めて、考え事をしたり、羊の数を数えたりする。
あえて眠ろう眠ろうとはしないのがコツ。
夜中に何度も意識が戻って、ずっと起きていたような気がしても、それはレム睡眠のときに起きてしまっただけで、一応ノンレム睡眠もしているはずだから大丈夫だ。

それでも3時半に目が覚めてからは眠れなくなった。
また外トイレに行って、外の様子を確認する。
満天の星、天の川も見える。これはいい天気になるぞ!
気をよくして、屋内のバイオトイレに入り、最近出にくい大にチャレンジ。
15分くらい粘って、多少は出たが、トイレの臭いが服にこびりついてしまった。

あとは何度も窓から夜の明け具合を見た。
いよいよという段階で外に出て、撮影に望むつもり。ただ、安曇野は中途半端な雲海で、日もどの高さから出てくるか測りかねる。
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穂高にも笠雲がかかり、条件はもう一つよくない。
ご来光は4:58。
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柏手を打って、穂高が赤く染まるのを待つが、微妙だ。
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それでも、多くの泊まり客が外に出て、山の早暁を楽しんだようだ。
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朝食の順番は決まっておらず、並んだ順だそうなので、15分前から並んだ。
なるべく早く出発したいので。
朝食はメインが鮭の切り身。あとは昨夜と似たり寄ったり。
目の前のおじさんが仲間に「鮭の皮残す人が多いんだよね。あそこが一番おいしいのに」などと話している。
その無神経さに驚く。
昨日も、夕食を食べながら、「山を登る人に悪い人はいない」と大声で話している人がいたが、そんなことは全くない。
私は新田次郎の小説で育ったせいもあるが、2年間みっちり山を歩いてきて思うのは、マナーのなっていない人ばかりだ。とくに高齢者の団体がひどい。
「悪い人」ではないのだろうが、もう少し、他人もいるのだ、という意識を持ってもらいたい。

この日も夜明け前、ヘッドライトをつけて身の回りの整理をしていた人が、たぶん昨夜怒鳴ったのと同じ人にたしなめられていた。
「ヘッドライトは頭につけないで、下に置いて。上に付けるとみんな照らしちゃうんだよ」
まあ、そうはそうなのだ。自分はなるべく大部屋ではライトを使わないし、1回付けて通り道を確認したら、消したまま歩く。そのくらい他人が寝ていることに気を遣う。
イビキについても、人に迷惑をかけてはいけないと、イビキ防止のシールを口に貼って寝る人を知っている。

ライトのおじさんの光も確かに気になったが、怒鳴ることで、何人かは起きてしまっただろう。これまた迷惑である。
マナーを守るよう注意することは正しいことかもしれない。
しかし、あの人は2回とも命令調で、「お願い」的ではなかった。
「すいません、ライト下向けてくれますか」
という言い方で随分違うと思う。
要するに、えらそうで、自分が常に正しいと思っていて、人を注意することで得意になっている人の方が私は嫌いである。

なんて話が横道にそれた。ついつい、こっちが説教くさくなってしまった。
準備もできたのでいよいよ出発。時計は6:05。
槍・穂高も樹林帯の緑がくっきりしてきて、鮮やかな姿になった。
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みなさんもそれぞれ行動を開始した。
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これから歩く長塀(ながかべ)尾根は最初はなだらかだが、後半は急な下りとなる。
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遠く、乗鞍が今朝ははっきりと見えた。
振り返ると、山小屋と常念、大天井。
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少し下ると雪渓が残っていた。このあたりは高山植物の楽園だ。
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まずはハクサンシャクナゲ
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ハクサンイチゲ
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イワカガミ
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ミヤマキンバイ
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アオノツガザクラ
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ミツバオウレン
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ミヤマキンポウゲ
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シナノキンバイ
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などなど。キンポウゲとキンバイの区別は本当に難しい。
可憐な花の競演に、いちいちポケット図鑑で調べながら歩いていたら、時間がどんどん過ぎてしまい、妖精の池までコースタイム10分が30分もかかってしまった。
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この後はずっと樹林帯である。
横尾からの登り以上に、○印がうるさい。
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途中、初めて見た大きな花はキヌガサソウ。
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これは何だか特定できなかった。
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これも特定できず。
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誰か教えてください。

クルマユリは分かった。
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長塀山はとくに眺望もなく、7:10通過。
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あとはうんざりするほどの長い下り。
梓川の音が聞こえてきて、先が見えてきてからも30分以上あり、下りで2回も休んでしまった。

途中、若者のグループ2組とすれ違ったが、彼らの挨拶はとても気持ちいい。
本当に笑顔で「こんにちは~」と言ってくれる。こちらも、つい笑顔になる。
はっきり言って、山では若者の方が断然マナーがいい。
KYを最悪と考える価値観で生きていたこともあるだろうが、他人への配慮というものがある。ひるがえって団塊の世代は、我先にやらないと競争に勝てない時代に生きてきた。そういう差が反映されているのかもしれない。

山頂から3時間半近くかけて徳沢に下山。ああ、懐かしい。1日ぶりだ。
徳沢園の「みちくさ食堂」で400円のソフトクリームを買う。う~ん生き返る。
なんと、下りてみたら、明神と前穂はまだ9時半だというのに、もう雲の中。登ったのが昨日でよかった。

あとは平らな道。足取りも軽い。
一昨日歩いたはずだが、歩く方向が違うからか、あまり歩いた道のような気がしない。
1時間弱で明神館に到着。結構な人出。さすが土曜日だ。
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帰りはここから明神橋を渡り、梓川右岸を行く。
河原では高校生たちが大勢、両岸から石投げをしていた。
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川を渡ると、山のひだや(ハイシーズンなのにお休み?)、続いて有名な嘉門次小屋。
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今日のお昼はまたフリーズドライのつもりでいたが、ここの雰囲気に負けて、外食にしてしまう。明神池の清らかな水で打ったとろろそば(800円)。名物の岩魚塩焼きは、徳沢園で食べたので、ここでは遠慮する。
ついでにビールも頼んでしまう。
山ではほとんど酒は飲まないのに、徳沢園で飲んで、クセになったのか、蝶ヶ岳山頂に嘉門次小屋と連日飲んでいる。しかし、うまい。

食べ終わったら、早速、拝観料(300円)を払って、明神池を見物。
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奥にある二の池は岩や島があり庭園のよう。
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カモも泳いでいた。
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ここには長野勤務時代、1993年10月23日に来たことがあるが、明神館に泊まった翌日、雪が5cmほど積もっていて難儀した記憶がある。小さい子供2人を連れて、普通の秋服、夏靴だったので、確か、靴下の上にレジ袋を履いて、靴を履き、上高地まで歩いて帰った。
まあ、夜中に降った雪で、その日は晴れていたのが幸いだった。雪景色もきれいだったはずだが、あまり記憶がない。

さて、穂高神社奥宮を参拝して、観光は終了。木道を歩いて、河童橋に向かう。
この道は焼岳に向かって歩く道だ。
途中の岳沢湿原は、枯れ木が林立し、ありし日のトドワラのようだった。
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そして、12時半、河童橋に戻ってきた。
あれだけ穂高を正面から存分に見てくると、ここからの眺望はまだまだ序の口だったことに気づく。
それにしても、猛烈な人出。河童橋周辺はまるで軽井沢のような賑わい。
ここは登山基地ではなく、完全なミーハー観光地である。
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それはともかく、目的はお風呂。
河童橋界隈のもっとも奥にある上高地アルペンホテルが日帰り入浴を受け付けている。
500円という料金もありがたい。
ウェストン碑近くの上高地温泉ホテルも日帰り入浴可(800円)だが、アルペンの方は温泉なのだろうか、あまり注意していなかったので、確認できなかった。

とにかく汗は流して、さっぱりしたが、上高地でも気温は26℃。重いザックを背負ってバスターミナルまで歩くうちにまた汗をかいてしまいそうだ。
帰りは、午後2時発の直行高速バス「信州さわやか号」。3シーターの豪華版。
この日は、バスも乗り入れ規制があって、沢渡で乗り換えだったが、そう苦にもならず、楽ちんができた。
少々渋滞があって、新宿着は30分遅れたが、9時前には帰宅できた。
いろんな意味でぜいたくな山行だった。
もういい大人なのだから、こういうのも時々は織り交ぜて行くことにしよう。
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コメント

マナーについては同感です。
気持ちも行動も、スマートに美しく歳を重ねたいと思います。
ゆったりとした時間の流れの中で、キレイな景色を眺めたりする贅沢さをわかる年齢になったのですね。お互いにね(^_−)−☆

  • 2012/08/01(水) 14:43:49 |
  • URL |
  • ひろさん #-
  • [編集]

いつもありがとう

ひろさん

いつも、ご愛読&コメントありがとう。

こちらも先日、北海道に行って、山の表情の違いに驚いたばかりでした。
それにしても、北アルプスは内地の中でも、また特別です。

明日からは八ヶ岳シリーズをお届けします。
お楽しみに!

  • 2012/08/01(水) 16:33:56 |
  • URL |
  • かたこりまさかり #-
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