山と鉄

山歩き、乗り鉄、廃線・廃道歩き、廃村歩き、駅舎探訪などの日々を記録します

瑞牆山(上)

【2016年3月20日(日)】瑞牆山
瑞牆山(2230m)に登るのは、ほぼ4年ぶりである。
前回は2012年の6月30日、梅雨の間隙をついて訪ねた。
しかし、山頂はガスでほとんど何も見えず。下山してから晴れ渡るという悔しい思いをした。
いつかリベンジを果たそうと思っていたが、その機会がやってきた。

高校の同窓生H君が3月の連休で上京するので、どこかに登りたいというのである。
せっかく北海道からわざわざ来てくれるのだから、やはり名山にお連れしたい。
といって、本格的な雪山に案内できるほどの技術もないので、そろそろ雪も解けかかっているであろうこの山を選んだわけだ。

時間の制約もあり、今回は瑞牆山荘からのピストンとした。
周回コースをとると6時間近くかかるが、ピストンだと5時間で済む。
ピストンはあまり好きではないが、周回コースは前回歩いているし、今回ピストンにすることで、これまで歩いていない道を歩くこともできる。
何の問題もないのだ。

瑞牆山は言わずと知れた日本百名山である。
標高はそれほど高くはないし、すぐ西にある名峰金峰山(2595m)に隠れて、実は目立たない存在だ。
しかし、近づいて見ると、その奇観に驚かない者はいないだろう。
ニョキニョキと林立する岩峰群。
遠望すれば、その峨々たる山容に目を見張り、近づけば、その巨大な岩の迫力に圧倒される。
あれを一つ一つ登らなくても、頂上にたどり着けるのが奇跡のようだ。

そびえる岩峰は黒雲母花崗岩で、それぞれ鋸岩とか大ヤスリ岩、トサカ岩などの名前が付けられている。
この姿に心を動かされたのは、深田だけではなかったようで、詩人の尾崎喜八(1892~1974年)は随筆「花崗岩の国のイマアジュ」(『山の絵本』所収)で瑞牆山のことを「清浄明潔な花崗岩の金字塔」と讃えている。
また、俳人の前田普羅(1884~1954年)も「茅枯れてみずがき山は蒼天に入る」の句を詠んでいる(1917年来訪)。

それにしても、「瑞牆」というのは難しい名称だ。
パソコンによっては変換してくれない。
深田久弥も『日本百名山』の中で、「昔の人はこんな凝った名前をつけない」と指摘している。
同著によると、地元では瑞牆山のことをもともと「瘤岩」と呼んでいたそうである。
瑞牆とは神社の周囲の垣根のことだが、山名の由来について、深田はこう想像している。
「三つの山稜が集まるところを三繋ぎと呼ぶことがある。瑞牆山は、金峰山から小川山に至る山稜の途中から西に派生した尾根上の突起である。山稜が三つに分かれるところが、三繋ぎと呼ばれ、そのミツナギが聞き誤られ、ミズガキという風流な名前に」なったのではないかと。
また、江戸後期に成立した『甲斐国志』をおそらく引いて、「金峰山を玉塁(たまがき)とした古図があるそうで、小尾・比志の里人は金峰山の麓を指して瑞塁(みずがき)と呼んだという。瑞牆の名はそこから来たのかもしれない」とも記している。
「瑞牆」という文字を用いたのは、明治38年(1905年)以後のことで、当時の山梨県知事だった武田千代三郎だとされる。

今年は雪が少なかったので、あまり心配していなかったのだが、登山日の1週間前に雪が降った。
木曜日(18日)になって瑞牆山荘に問い合わせると、積雪は多いところで20cm、日陰は凍結しているという。
週の後半はかなりの陽気になるので、降った雪がシャーベット状になって、靴がビチャビチャになるのではないかと心配していたが、実際に行ってみると、状況は想像と随分違った。
北斜面や日陰はアイスバーンで、アイゼンガリガリ、それ以外はすっかり雪が解けて、土や岩が露出していた。
全面的に雪が積もっていてくれた方が余程楽だっただろう。
でも、今回のメンバー5人のうち、アイゼンデビューだった人もいたが、とくに問題はなかった。

そうそう、今回のメンバーは私とH君のほかに、高校の後輩の女性2人(MさんとYさん)、そしてH君の小中学校の同級生で現在町田在住のAさんの計5人。
Aさんは初対面。Yさんと一緒に山に登るのは初めてである。

今回から趣向を変えて、ここで行程を掲示しておこう。
【行程】2016年3月20日
瑞牆山荘(10:07)~林道交差点(10:29)~富士見平小屋(10:56休憩11:11)~桃太郎岩(11:44)~瑞牆山(13:10昼食14:05)~桃太郎岩(15:03休憩15:12)~富士見平小屋(15:36休憩15:46)~瑞牆山荘(16:22)
※所要時間:5時間15分(歩行時間:3時間35分)コースタイム:5時間
※登った山:1座(新規なし)
※歩行距離:5.9km

当日は5時過ぎに起床。5:45に出発した。
今回は同乗者が多いので、愛車のパジェロミニではなく、家内の車(車名は忘れた)。
やはり普通車は疲れないので、ありがたい。
小仏トンネルを抜けると、雨がポツポツ落ちてきて富士山も見えなかったが、甲府盆地はきれいに晴れ渡っていた。
甲斐駒も八ヶ岳もよく見える。これはうれしい。
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途中、双葉SAでトイレ休憩。

待ち合わせ場所の韮崎駅には8時過ぎに到着。
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昨年ノーベル生理学・医学賞を受賞した、地元出身の大村智博士の幟が町のあちこちにはためいている。
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ここは「武田の里」「サッカーの町」で売り出していたはずだが、すっかり大村博士に席巻されてしまったかのようだ。
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さて、女性陣2人は8:28着の普通列車で到着。
男性陣2人は8:37着の特急スーパーあずさ1号で顔を見せた。
これで全員集合。
初対面のAさんと軽く挨拶を交わし、市内のコンビニで昼食を調達、一路登山口の瑞牆山荘に向かう。
いよいよ近づいて、瑞牆山の山容が見えると、一同から「お~」と声が上がった。
完璧に晴れている。私のリベンジも無事に果たせそうだ。

山荘の駐車場には9:40頃に到着。
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金峰山に行く人の車もあるのだろうが、奥の駐車場も含めて、かなりの台数が止まっていた。

バス停を発見。
ここへのバスの運行は廃止になったと思っていたが、再開したのか、私の単なる勘違いだったのか。
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夏季だけのようだが、山梨峡北交通が韮崎駅から毎日6~7往復も運行している。
北杜市の「ハイジの村」を経由するので1時間15分もかかるけど。

標高はすでに標高1520m。そこそこ雪が残っているかと思ったら、驚いたことに全くない。
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ちょっと拍子抜けした。

しかし、入れるはずのトイレが冬季閉鎖のため使用できず。
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ほかの面々は、山荘で150円払って用を済ませたが、私は靴を脱ぐのが面倒なので、もう少し上の富士見平小屋まで我慢することにした。

登山届を提出して10時過ぎに出発。
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山頂までのコースタイムは2時間50分だ。
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アイゼン要らずのなだらかな道を快調に進んでいく。
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しかし、この日は甲府で20℃近くまで上がったぽかぽか陽気。
あっという間に暑くなって、すぐに着替えタイム。
私の脅しに従って、防寒具をあれこれ用意してきたH君は額から汗をぽたぽた落としていた。すいません。

左手の浅い谷には、巨大な岩がゴロゴロしている。
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これなどは、女王蜂というか、「風の谷のナウシカ」のオームというか。
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すぐに谷だけでなく、もう至るところ、巨石だらけ。
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こんなのが転がってきたら、ひとたまりもない。
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傾斜も徐々にきつくなってきた。
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歩き始めて20分ほどで林道と交差。
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この道はもちろん一般車両は通行禁止。
富士見平小屋の従業員の車が使う道だ。
これを使えば、林道終点から10分かからずに富士見平小屋にたどり着ける。

さて、ここからもぐいぐい登りが続く。
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巨岩の間をすり抜ける。
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標高1700mあたりで、やっと雪にお目見え。
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1722mの標高点がある平坦地に出ると、木々の向こうに瑞牆山の雄姿が姿を現した。
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ここでも一同歓声。写真では分かりにくいが、実に格好いい。

鋸岩(左)と山頂(右)をアップにしてみた。
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その左側の岩稜。
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この先少しずつ雪が目立つようになってきたが、登山道には影響なし。
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しばらくは勾配も落ち着いた感じだ。
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林道の終点には、やはり車が1台止まっていた。
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このあたりは、やまなしの森林100選「富士見平のミズナラ林」だった。
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さらに、黙々と進む。
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足元にも雪が出てきた。
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間もなく、水場「富士見平湧水」に到着。
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凍結せずに、しっかりと湧いていた。
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私も手ですくって一口だけ飲んでみた。思ったほど冷たくなかった。
たぶん水温はほとんど変わらないだろうから、夏はめちゃめちゃ冷たくて気持ちがいいのだろう。

地面には缶ビールが冷やしてあった。
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テン泊の方々のものだろうか。

(つづく)
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