山と鉄

山歩き、乗り鉄、廃線・廃道歩き、廃村歩き、駅舎探訪などの日々を記録します

霊仙山(1)

【2016年3月5日(土)】霊仙山
もともと2月13~14日で琵琶湖に行く計画を立てていた。
禁足期間なので山には登れないから、ということで行き先をあれこれ健闘した結果、琵琶湖に浮かぶ二つの離島(沖島と竹生島)を訪ねることにしたのだ。
このうち、沖島には人が住んでいるということを初めて知り、俄然興味がわいた。
しかし、この2日間は「春の嵐」になるという直前の予報で、予め取っておいた新幹線乗車券を3月5~6日に変更、旅行そのものを延期したのだった。

でも、3月になると禁足期間が明けているので、山に登ってもよくなった。
2日間とも登ってもいいのだが、日曜日の予報が一時雨だったので、登山は土曜日だけにして、日曜日は当初の予定通り、沖島に渡ることにした。
では、土曜日はどこに登るか。
地図を見たら、彦根の東に霊仙山(1094m)という手頃な山があるではないか。
コースタイムも5時間ほどで周回コースがとれる。
ヤマレコを見ると、登山道沿いには「廃村」もあるらしい。
こんなおいしい山はない! ということで即決してしまった。

問題は、登山口までの足である。
最寄りの駅は近江鉄道の多賀大社前。
これだと未乗区間の「高宮~多賀大社前」を乗ることもできる。
ただ、登山口までのバスはもう通じていないのでタクシーを使わざるを得ない。
検索してみると、多賀大社前駅から登山口まで片道3500円ほどかかる。
う~ん、だったらレンタカーの方が安い。米原駅からレンタカーを借りることにした。
乗り鉄は、たった2駅なので、下山してから車を駅前に置いて、ピストンすればいい。
車を借りれば、日帰り温泉にも手軽に行けるので一石二鳥三鳥だ。
うん、これで方針は決定。

当日は4時半前に起床。駅前で朝食だけ調達して、5:11新所沢発の電車に乗り込む。
まだ早かったけど、お腹が空いたので車内でパンを2個とも食べてしまった。
車中はずっと、岡田喜秋「定本 日本の秘境」(ヤマケイ文庫)を読んでいた。
高田馬場で山手線に乗り換え、品川から6:23発のぞみ3号博多行きに乗車。
今日の予報は曇り時々晴れなのだが、かなり霞がかかっていて丹沢すら見えない。
富士山は何となく見えたが、あまりすっきりしない天気だ。
この先は名古屋近くまで爆睡してしまった。
名古屋で、7:56発こだま695号新大阪行きに乗り換え。
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わりと混んでいたけど、普通に座れた。

米原には8:27に到着。西口に出て、200m離れたトヨタレンタカーへ。
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路面は濡れている。空には厚い雲が垂れ込めていて、なかなかテンションが上がらない。
せっかくの車だし、長年の懸案でもある湖東三山(山ではなくお寺)を回ってしまおうかという気分すらもたげてくる。
その一方で、ここは初めてのエリアなので、山に登っても周りにどんな山が見えるのかよく分からない。
そういう期待がない分、逆に、ガスってももったいないという気持ちが薄い。
結果として、情報の少なさが登山決行を後押ししたことになった。

旧米原町のマンホール。
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町章の中に、町の花サツキ、外側に町の木イチョウ。
町章は「まいばら」の「マ」の字を図案化したもの。

米原を8:45に出発。初めて「軽」のレンタカーを借りたが(12時間、保険込み会員割引で6210円)、愛車のパジェロミニより走りがとても軽快。
パジェロがあまりに燃費が悪く力もないので、買い替えの時は普通車にしないといけないかなあと思っていたが、これなら軽で十分だ。
最近の軽は進化したなあ。
途中のセブンイレブンで昼食を調達。
アクエリアス500cc2本、🍙2個、行動食のあんぱん、そして鶏の唐揚げ(5個入り)。
小腹が空いたので、唐揚げは運転しながら3個食べてしまった。
登山口はナビに設定する適当なスポット名称がないので、最寄りの多賀大社で設定。
その先は地図を確認しながら行くことにする。
段々、山奥に入ると心細い道になる。
関西という見知らぬ土地で、今にも泣き出しそうなこの天気。
ちょっと緊張してきた。

でも、登山口に着いてみると、車が6~7台並んでいる。
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「あ、こんなに入ってるんだ」。ホッとした。
普段なら、「げ、こんなに来てる」と思うのに、人間と言うのは現金なものである。
軽くストレッチをして、靴ひもをしっかり結ぶ。
足首を回しても、ほとんど違和感がなく、治っていることを実感できてうれしい。

9時半すぎ、出発。
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登山口周辺には、車庫や物置の廃屋が並ぶ。
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こんな里にもまだ雪が残っていてびっくり。ちょっと先が思いやられる。
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でも、登山口で2組の登山者と鉢合わせし、何だか心強い。
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登山届のポストがあるので記入しようとしたら、用紙がなかった。
これではポストの意味がない。

登山口には増えすぎたニホンジカの駆除を伝える立て看があった。
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「捕獲」というやわらかな表現にしてある。

さて、こちらも登り始めましょう。
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いきなりの急登である。
登山口の標高は330mほどなので、標高差850mほどの登山となる。
禁足期間明け2回目の登山としては、少しハードかもしれない。

10分ほどで苔むした石垣が姿を現した。
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廃村となった今畑集落に足を踏み入れることになる。
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私は友人に「廃屋フェチ」などと言われるが、そもそも遺跡が好きなのである。
石で作った建物は何百年も何千年も残るが、日本のように木の建築はあっという間に自然に返り、土に埋もれてしまう。
掘らないと分からないし、掘ってもせいぜい「柱穴」が確認できる程度である。
そういう意味で、日本の村が破棄されて、その痕跡をとどめているのはせいぜい数十年、長くて100年だろう。
ここ今畑集落は、ざっと10戸ほどの家屋があったように見えるが、最後の住民が離村したのは10数年前くらいのように見える。
車道から徒歩10分ほどだが、家の前まで車が横付けできないのは、住民が高齢化してくるとかなりきつい。
廃村にならざるを得ない運命だったのだろう。
それにしても、この村を成立させていた生業は何だったのか。
急峻な傾斜地なので、畑はあったとしても猫の額程。
林業や炭焼きあたりなのか、きちんと調べてみたいが、その時間もないのが残念だ。

いよいよ集落の中心部。
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共同で使用されていたと思われる水場がある。
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集落そのものが急傾斜地にあるので、屋敷の敷地は階段状になっている。
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石垣もかなり堅固だ。
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屋根や壁の痕跡がないのは、離村する際に丁寧に解体したのだろうか。
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そうするメリットが思い浮かばない。不思議である。
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こんな小さな集落にも寺があったらしい。
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宗金寺とある。
離村した住民の子孫らが墓参りの際などに戻ってくるのか、寺はその後も手入れがされているように見えた。

このほか、土壁の蔵も残りがいい。
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最もしっかり残っている家屋には多賀町教育委員会の看板があった。
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この集落を若干整備して、観光資源にしようとしているのだろうか。
というより、まずは「調査」対象にしているのかもしれない。
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無人になった村にも春はやってくる。
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福寿草が落ち葉の中から、あちこちで顔を出していた。
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実は福寿草を見るのは初めてだった。

梅の花も何となく淋しげだった。
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ここは廃屋というより屋敷跡の景観だ。
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五右衛門風呂や流しなど、タイルやレンガで作った「施設」が残骸となっていた。
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もっと隅々まで丁寧に見たかったのだが、登山が主目的なので、そうそう序盤から時間を食っているわけにもいかない。
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適度に切り上げて、先を急ぐ。
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集落を抜けても、尾根づたいの急坂が続く。
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ジグザグに道が切ってあるので、まだましだが。
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いったんやや平坦な場面もあったが
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あとはまた容赦のない登り。
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しばらくしてだんだん、この山を形づくっている石灰岩が目につくようになってきた。
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座るのにちょうどいい石だが、休まず通過。

集落から200mほど登ると、道はトラバース状となる。
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間もなく、先行していた2人組に追いついた。
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その頃、木々を透かして顕著なピークが見えてきた。
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あれは霊仙山の頂上ではなく、手前の1003m標高点と思われる。
それにしても随分急峻だ。

路面にも雪が残りだした。頂上の方は大丈夫だろうか。
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しばらくは2人の背を追うように歩いた。
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(つづく)

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コメント

バス

バスは、オンデマンドのバスが多賀大社の駅から今畑の登山口まで走っているんです。
私は、霊仙には、昨年末に、反対側の柏原から上がって今畑に降りて、高宮まで歩きました。
山頂付近の楽しい風景を思い出します。続きの山行記が楽しみです。

  • 2016/03/12(土) 19:25:25 |
  • URL |
  • まきた #ZdgJ2pdw
  • [編集]

Re: バス

まきたさん、いつもありがとうございます。
オンデマンドバスがあったんですね。研究不足でした。
まきたさんも昨年登ったんですね。
ずいぶん長距離歩きましたね。お疲れさまでした。
引き続きよろしくです。

  • 2016/03/12(土) 21:14:43 |
  • URL |
  • かたこりまさかり #-
  • [編集]

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