山と鉄

山歩き、乗り鉄、廃線・廃道歩き、廃村歩き、駅舎探訪などの日々を記録します

つくば道(上)

【2015年11月21日(土)】つくば道
仕事の関係で、どこか旧街道を歩かねばならなくなった。
手近なところで、適当な物件がないかと考えていたら、思いついた。
先月筑波山に登った時に、「つくば道」という歴史ある道があることを知ったのだった。
約400年前に徳川家光が開いた道だ。
手始めにそこに行ってみることにした。

8時ちょうどの新所沢発の電車に乗り、新秋津から武蔵野線、南流山からつくばエクスプレスに乗り換え、9:46につくば駅に到着。
一応、行動食用に菓子パンを調達して、10時ちょうどの「つくバス」北部シャトルに乗り込む。
ハイキング姿の乗客も含め、結構な人出。
こんなに「つくば道」を歩く人がいるとは思えないが、みなどこへ行くのか。
一応、終点は「筑波山口」なので、そこから律儀に筑波山に登る方々なのかもしれない。
「筑波山神社入口」と間違えてなければいいのだが。
紛らわしいので、かなり勘違いしてしまう人が多いような気がする。

あちこち寄りながら、10時半ごろ、筑波交流センターに到着。
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つくば市には市内17か所に「地域交流センター」と呼ぶ生涯学習の施設があり、ここはそのうちの一つ。
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改めて、つくば市の合併史を確認してみた。
つくば市は平成の大合併より随分早く、1987年(昭和62年)に筑波郡谷田部町、大穂町、豊里町、新治郡桜村が合併して成立した。
この4町村の中では桜村の人口が41,682人で最も多く、日本でも最も人口の多い村だった。
ちなみに、桜村は1955年(昭和30年)に栄村、九重村、栗原村の3村が合併して発足した村で、栄の「さ」、九重の九の「く」、栗原の「ら」を取って名づけられたのだそうだ。
それはさておき、桜村は東京教育大学(今の筑波大学)の移転や筑波研究学園都市の建設で、一躍発展したのだった。
その後、つくば市は88年に筑波郡筑波町を、2002年に稲敷郡茎崎町を編入して現在の地域となり、人口は今や22万人を超えている(発足当初は11万人)。
現在は、土浦市(人口14万人)との合併も視野に入れているそうだが、議論が本格化してきたら市名でかなりもめそうだ。

それはともかく歩き始める。
通行量の激しい国道125号を渡って北条の信号を左折、旧君島街道に入る。
すると、右手に筑波高校。
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名称からして歴史ある高校かと思いきや、昭和25年に土浦二高北条分校として創設された新しい高校だった。

すぐにサイクリングロードの「つくばりんりんロード」と交差した。
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筑波鉄道の廃線跡である。
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筑波鉄道は現在の水戸線岩瀬駅と常磐線土浦駅を結ぶ約40kmの路線で、1918年(大正7年)に開業。
最盛期の1960年頃には、上野駅から筑波山の登山基地である筑波駅まで直通の列車が乗り入れていたそうだが、モータリゼーションの進展に伴い業績が悪化、1987年4月1日に廃止された。
「つくば市」誕生したのは、この年の11月30日である。

左手に筑波山を眺めながら、静かな散歩を楽しむ。
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この路線は筑波山麓をぐるりとめぐるので、刻々と変わる筑波山の表情をさぞかし楽しめたことだろう。

大きなプラットホームが出てきた。常陸北条駅の跡である。
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この駅には3本のホームがあったようだ。
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この駅は筑波鉄道では、土浦駅に次いで2番目に利用客が多い駅だったらしい。

しかし、駅名標や駅に関連した施設はすべて撤去されている。
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なるべく痕跡を残しておいてほしいが、廃止した鉄道会社としては、ありとあらゆるものを売り払って、少しでも借金を減らしたいのだろう。
文句は言えない。

これはホームにあった待合所の基礎だろうか。
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ホームに植えられていた木の根っこが早くもアスファルトを盛り上げていた。
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これは駅舎側の1番線ホームの跡。
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駅跡の表側に出てみると、駅舎があった場所には、何ごともなかったかのように真新しい民家が建っている。
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駅前には、まさに駅前通りといった感じの道が北にのびている。
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歩を進めると、味噌のいい香りがしてきた。
つくば味噌の山口信太郎商店である。
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明治後期の創業で、現在三代目。銘柄は「キッコーシン」だそうだ。
寄ってみたかったが、買ってしまったら、それを背負って歩かねばならず、窓越しに覗きこむだけで失礼した。

向かいには仲屋金物店。昭和の雰囲気たっぷり。
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この先で、古くから開かれた農業用水路の裏堀(北条用水路)を渡る。
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桜川から取水し、ここまで3km。美田を潤し、名産北条米を生んだという。
かつては泳げるほどきれいだったらしい。
江戸時代の古文書には、平安末期に領主の多気義幹が開削したと伝わる。
しかし、小田城の八田知家が、この用水を「戦の準備のため掘った」と頼朝に讒言したため、義幹は謀反の罪に問われ、滅亡したとのこと。
義幹は「多気太郎さま」と呼ばれて地元では親しまれており、非業の死を供養する五輪塔が少し離れた場所に立っているという。

この堀を渡るのが天王橋。
ここに馬頭尊など2つの石碑がある。
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後者には「献霊」とあり、昭和天皇の即位を祝った御大典を記念したものだ。

突き当たった高台に鎮座するのが八坂神社。
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江戸初期につくられた北条の氏神様である。

狭い境内に大きな五輪塔がある。
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説明書きによると、花崗岩製で高さは201㎝。
「空風輪がぎわだって大きく、火輪は軒の出が浅い。また水輪は角張っている。こうしたこまかい細工にこだわらぬ造形が、かえって堂々とした強さをかもしだしている」
との説明に、ちょっと苦笑してしまった。
要するに、定形の分からない人が作ってしまったのかもしれない。

この五輪塔はもともと吉祥院という別の場所にあったが、明治の廃仏毀釈のおりに、ここに移されたという。
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中に納められていた経筒によると、天文六年(1537年)の造立とあり、年号の分かる五輪塔としては茨城県で2番目に古いものらしい。

ほかにもいろんな石碑や宝篋印塔が境内には林立していた。
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お参りをして、通りを東に向かう。
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北条地区には戦国時代末頃から集落があったようだが、徳川家光が中禅寺(現在の筑波山神社)の再興のため資材運搬道路を整備したことが飛躍的に発展する契機になった。
1626年(寛永3年)のことで、北条仲町がその道路の起点となった。
その後、中禅寺の門前町として、また近在の農産物の集散地として栄えていった。
東西約500mに及ぶ商店街に今も残る土蔵や店蔵がその面影を今に伝えている。

当時の市場の名残が「市の神」の祠。
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ここに至る途中に中台の横井戸と呼ばれる井戸が2つあったが、1つは木の蓋がすっかり古くなっていて、開けたらぼろぼろと崩れてしまってびっくり。
一応もとには戻しておいたけど。

市の神から引き返す。
八坂神社前にバス停があり、その名も「北条駅入口」。
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廃線になってから30年近くたつというのに、こういう名称は意外に変えにくいものなのかもしれない。

登録有形文化財「旧矢中邸」というのは、てっきり向かいにあるこれのことかと思ったら、全然違った。
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この木造建築は旧北条郵便局で、大正時代の建築。昭和37年まで現役だった。
現在は「カフェポステン」として営業している。
旧矢中邸(矢中の杜)は通りからやや奥まった場所にあり、昭和15年に竣工した近代和風の建築だそうだ。
結局これは見逃してしまった。

(つづく)

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