山と鉄

山歩き、乗り鉄、廃線・廃道歩き、廃村歩き、駅舎探訪などの日々を記録します

オタモイ海岸(上)

【2015年8月14日(金)】小樽オタモイ海岸
13日に札幌の実家に帰ってきた。
透析に通う父を送迎する間に小樽に墓参りに行くことにした。
送りが12時、迎えが16時半なので、4時間半の時間がある。
墓参りだけだと時間が余ってしまうので、寄り道することにした。
塩谷丸山(629m)は登下山に2時間半もかかるので、かなり厳しい。
ということで天狗山(532m)に登る。下りはロープウエーを使えば時間節約にもなる。

しかし、小樽へ向かう途中、海の方は青空なのに雨が降ってきた。
すぐに止んだが、山の方にはまだ不穏な雲が浮かんでいる。
そういえば小樽の天気予報は午後雨だった。
そういう状況も考慮し、山にいくのは止め、海に行くことにした。
オタモイ海岸のオタモイ遊園地跡である。

オタモイについては、その地名は以前から知っていた。
今回、小樽の山を探すにあたり、地形図を見ていたら、オタモイ海岸の断崖に通じる徒歩道にトンネルがあるのを発見。
お、これは面白そうだと思って、あれこれ検索していたら、ここにかつてオタモイ遊園地という施設があり、この道はそこに設けられた通路だったことを知った。

オタモイ遊園地とは、小樽の人、加藤秋太郎が私財を投じて築いたもので、中でも断崖絶壁の上に立つ龍宮閣は「海の清水寺」とでも言うべき建築だったらしい。
加藤は市内で「蛇の目寿司」を経営して、財をなした人物だそうである。
オタモイとはアイヌ語で「砂の入り江」を意味する。オタモイ海岸自体、砂の入り江どころか、高さ200mにおよぶ断崖絶壁が10kmにわたって続く奇観の地だ。
「小樽には見所がない」という知人の言葉に奮起した加藤は、ここに目を付け、一大リゾートを建設したわけだ。昭和11年のことである。
遊園地には、ブランコ、滑り台、相撲場などの遊園施設のほか、宴会場の龍宮閣や辨天食堂などを設けた。
とくに切り立った崖の上に建つ龍宮閣は、京都の清水寺をしのぐ規模だったと言われる。
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しかし、最盛期には1日数千人の人々が押し寄せたという、この遊園地も、戦時中には「贅沢だ」とみなされ、客足が遠のき、いったん閉鎖。
戦後、営業を再開しようとした前日の昭和27年5月9日に龍宮閣が火事のため焼失してしまったという。
まさに「夢の跡」なのである。

探訪した数人の方のブログを読んで、こうした事実を知り、行くべき候補として考えていたのだが、山がNGになったので、お鉢が回ってきた形だ。
問題は、小樽市によって立ち入り禁止になっているらしいこと。
過去にも崩落があり、危険なのでということのようだ。
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しかし、あるブログによると、遊歩道の奥にあるオタモイ地蔵に電話をすると、「どうぞそのままお進みください」と言ってくれるらしい。
この道は市道ではあるが、奥に生活している人がいるため、参拝者も含め、完全に通行止めにするわけにはいかないようだ。

というわけで、とにかく行ってみた。
オタモイの集落を抜け、つづら折りの道を下っていくと、思ってもみなかった広い駐車場に出た。
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龍宮閣のことばかりイメージしていたが、考えてみれば、この駐車場自体がまさに遊園地の跡なのである。

車は4~5台止まっており、観光客が小樽八区八景に指定されているオタモイ海岸の眺めを楽しんでいる。
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左上の黒いノイズ申し訳ありません(この後も)。

あちこちに立ち入り禁止の看板が出ているので
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中に入っていく人はいないのだが、立ち入り禁止の黄色いテープは破られており、「これって入っていいってことなんじゃない?」などと話している。
でも、他の人の目もあるし、踏み込む勇気はないようだ。

断崖の真ん中に見えるあの中国の鐘楼門風の門が龍宮閣に通じるトンネルだ。行きたい。
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私は「許可」を得るため、看板に書いてある電話番号に電話をかける。
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しかし、何度かけても呼び出し音が鳴らずに切れてしまう。
仕方ないので強行突破することにした。

入り口は2つある。これらはいずれ合流するのだろうと勝手に思いこみ、向かって右の大きなゲートの脇から入っていく。
眼下には日本海。
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この道はずっと海岸まで下っていくだけで、上の断崖通路とは全く別物だった。
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でも、せっかくだからと海岸近くまで下り、そこからの眺めを撮影。
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すぐに引き返す。
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すると、上から海遊びの支度をした家族連れが下りてきた。
お互い、ちょっと気まずそうに無言。
彼らは、ここが海水浴の穴場であることを知っているのだろう。
あとで上から眺めてみたら、海岸で遊んでいる家族が2組いた。
もうお盆なので海遊びをする人も少ないだろうが、7月下旬から8月上旬の最盛期にはもっと多くの海水浴客がゲートを「突破」しているに違いない。

沿道には、クズ(葛)とムラサキモメンヅルが咲いていた。
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私はいったん駐車場に戻る。
よく見ると、昔の入口だったとみられる擬宝珠が叢の中から顔を出していた。
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今の入口はその左にある。
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こちらにもゲートに黄色いテープを張ってあり、それは破られていた。
まわりに人の目があったかもしれないが、気にしない。でもちょっとドキドキ。

道はきちんと踏まれていて、とくに荒れている様子はない。
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むしろ整備されている印象だ。
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実際、2006年までは「遊歩道」として通行可能で、小樽市も観光地として認知、推奨していた。さっきの案内板が何よりの証拠だ。

絶壁の真ん中にトンネルの門。
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振り返るとさっき海岸まで下りた道が見える。
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今日は海が静かだ。
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あこがれの鐘楼門に到着。
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中は素掘りのトンネル。長さは10mに満たない。
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抜けると、右手は赤い鉄製の柵が続く。
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柵から見下ろすと・・・
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これががけ崩れの箇所か。
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一つ目のトンネルを振り返る。
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波打ち際は動物の蹄のよう。
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ここが龍宮閣の立っていた場所。
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その崖側にはまた鐘楼門。
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ここはトンネルではなく、洞窟状になっている。白蛇弁天洞というらしい。
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手前には祭壇のようなものがあった。
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右の壁に遊園地建設功労者の名前が刻んである。
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加藤秋太郎の名は筆頭に「計画」者として挙げられていた。

この洞窟も破損して、穴が開いており、危険なのかもしれない。
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いよいよ龍宮閣跡地に下りる。
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東の眺め。
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さっきの鐘楼門。
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西の眺め。建物がオタモイ地蔵尊。
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アップにしてみる。右背後に崩落の跡が見える。
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奇岩たち。
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再び、細い歩道を進む。確かにちょっと怖い。
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二つ目のトンネル。
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抜けると、こんな状態。市が観光客を歩かせたくないのも分からなくはない。
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続けて、三つめのトンネル。
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このトンネルの出口には破損した鐘楼門があった。
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その横にお地蔵さま。
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ここからの眺め。
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さらに進む。
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第三トンネルを振り返る。
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少し下ると、アジサイ畑。
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その中に小さなお社。赤いからお稲荷さんか。
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間もなく、オタモイ地蔵尊の境内に出た。
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(つづく)
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