山と鉄

山歩き、乗り鉄、廃線・廃道歩き、廃村歩き、駅舎探訪などの日々を記録します

飯盛山(下)

【2014年12月12日(金)】飯盛山
関八州見晴台には誰もいなかった。去年の3月以来、1年9か月ぶりの再訪だ。
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さっき車道から見たのと同様、武甲山や大持山、二子山が見えた。
両神山、大岳山などは雲に隠れていた。当然、富士山もNG。

これは11月に登った飯能アルプス。
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左は天覚山(445m)、右は大高山(493m)。

長居はせず、七曲峠に下る。
そこまでは、前回通った道だ。
ここで、登ってくる若者(と言っても30前後に見えたが)とすれ違う。
接近したら挨拶をしようと、彼の動きを見ていたが、こちらには全く関心がない様子なので、声をかけられずにいたら、そのまま行ってしまった。
ああいう人もいるのだ。

七曲峠は左折。
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谷に向かって深く下りていく。
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かなり大きな石がごろごろした谷で、落石が多そうだ。
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そこにかつての炭焼き窯の遺跡を見つけたと思ったら、その目の前に石仏。
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寛政十年の銘があった。施主は岩田権之進。
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地元の有力者だろうか。
かつては、こんな場所にも普通に人の暮らしは成立していたのだ。
日本が近代化で失ったものは、ものすごく大きい気がする。

ルンゼ状の難所を経て、車道に出る。
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が、またすぐに登山道に入る。
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これが四寸道と呼ばれている道だ。

「四寸道」の由来は明らかである。
「新編武蔵風土記稿」に「入間郡 越生郡 龍ヶ谷村 村内に秩父郡高山村に通う道あり、これを四寸道とよぶ、その幅狭くして馬の通はざるほどなる故、此名あるべし」と記されているそうだ。
古くは吉野大峰山に同様の地名があり、それに倣ったものなのかもしれない。
以上は「日本山岳会埼玉支部報 第8号」の記事を参考にした。
現在は四寸どころか、軽の4駆なら走れそうな広い道になっている。

再び車道に出て、また登山道へ。
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ここには道標がない。あまりハイカーが歩く道として認識されていないのだろうか。

このあたりはずっと植林の道だが、林床の黄葉は何の木なのだろう。
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地形図には、この先369mピークの手前で左に直接、龍隠寺に下りる道が書いてあるが、現地でははっきりしない。
本道が右へ行く巻き道なのに対し、尾根を行く踏み跡らしきものはあったが、ヤブになると面倒なので、巻き道を行く。

しばらく下った後で、左手に「御嶽山・御嶽神社」の標識。
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行ってみる。
さっきの尾根通しの道に合流して、龍隠寺に近道で行けるかと思ったが、違った。

行く先には粗末な社があり、「推進の会」による説明板もあった。
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それによると、明治中期から末期にかけて、このあたりでも御嶽信仰が盛んになり、この山頂にも御嶽神社が建立された。その頃から、ここは「御嶽山」と呼ばれるようになった。
社殿は昭和27年に再建され、53年に補修されたという。
当時の御嶽講には、地元の「藤野一心霊神」と入間郡川角村(現・毛呂山町川角)の「小室一信霊神」の2派があったとか。

それらの講が奉納した石碑も残っていた。
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ここから直接下れそうな踏み跡もあったが、安全策をとって登山道に戻る。

横吹峠にはすぐ出た。
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最後の下りは、ものすごくえぐれた滑りやすい道だった。
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ここからは林道。地元の人とすれ違う。
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スマホで現在地を確認していたら、「電波通じますか」と聞かれた。

龍隠寺下に下りてきたのは、3時半過ぎ。
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まだ明るいので、寺を見学していく。

その前にも、いくつか見ものが。
下馬門の碑。
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龍隠寺は807年の開創。文明四年(1472年)に太田道真・道灌父子が中興した。
下総・総寧寺、下野・大中寺とともに関三刹と呼ばれ、関東僧録司として、曹洞宗の統制権が幕府によって与えられ、十万石で遇せられた。
住職も幕府が任命し、総本山・永平寺の住職はこの三刹の住職経験者から選出されることになっていた。
そんな格式のある寺だったので、どんな高位の大名であっても、この下馬門で馬を下り、歩いて、上山しないといけなかったという。
ふ~ん、なるほど。

右手に清流の渓谷を見ながら進む。
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龍ヶ谷集落のたたずまい。
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龍ヶ谷大橋で龍ヶ谷川を渡る。
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寺の前には、六臂観音塔。
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嘉永二年(1849年)に寺の世話人宮崎利右衛門を中心とした檀家が建立した。
さっき、代官屋敷で会った方のご先祖様か。
塔身には「万人造之」の文字が彫られている。

寺のすぐ横にも渓谷美。
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門前の黄葉も見事だ。
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謹んで、上山。
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石畳の参道。
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大正二年の火事でも焼け残った山門。
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太田道灌の像。
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これも焼け残った銅鐘。寛文十二年(1672年)に鋳造されたものだ。
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基壇の石垣は、幕末期に台場の築造工事にも出仕した長沢村(現飯能市)の石工「八徳の三吉」の手になる。

本堂。無事下山に感謝し、手を合わせる。
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太田道真・道灌父子の墓。
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質素な五輪塔だ。分骨されているので、墓地は他にもある。

墓地の全景。
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こちらも焼け残った経蔵。
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外壁には、道元の一代記の彫刻などが彫られている。
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向背天井には酒井抱一による龍の絵が描かれているという。

最後に、隣接して建つ熊野神社に参拝。
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いろいろと貴重なものがあって時間がかかった。
時間も4時を過ぎて、すっかり薄暗くなってきた。
今日はちょっとスタートが遅すぎたかも。

途中、もうひとつ、貴重な文化財。補陀岩と宝篋印塔。
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これも六臂観音塔と同様、宮崎利右衛門らが1849年に建立したもの。
先祖の霊を守る供養塔である。
これだけの規模で優美なデザインのものは関東でも数少ないという。

さあ、あとひとのぼり。
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車は無傷でよかった。早速、「おっぺの湯」に向かう。
最初は、行く時に見つけた「宮沢湖温泉」を想定していたが、越生に入って「おっぺの湯」という看板を見つけたので、検索してみると、そんなに遠くないし、入浴料も700円なので、こちらに決める。
ついでに宮沢湖温泉も検索してみたら、1300円以上だった。
当然、おっぺの湯で決定。

ここは温泉ではないようで、「今日は奥飛騨温泉郷」などと書いてある。
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要するに、入浴剤?
消毒用の塩素の匂いもわりとしていた。
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露天風呂にも入って、退出。
帰宅にはまた1時間半くらいかかった。
でも、里山は地域の歴史に触れられるので楽しい。
高い山とはまた違った喜びがある。

【行程】2014年12月12日(土)
山猫軒近くの峠(11:00)~代官屋敷(11:08撮影11:16)~戸神登山口(11:27)~羽賀山(12:09撮影12:12)~野末張見晴台(12:20撮影・昼食12:39)~飯盛峠(13:21)~飯盛山(13:26)~龍ヶ谷富士(13:32)~関八州見晴台(14:02撮影14:07)~七曲峠(14:15)~御嶽神社(15:03撮影15:07)~横吹峠(15:19)~龍隠寺(15:42撮影16:06)~峠(16:18)
※所要時間:5時間18分(歩行時間:4時間34分)
※登った山:5座(うち新規4座:羽賀山、飯森山、龍ヶ谷富士、御嶽山)
※歩行距離:13.7km
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