山と鉄

山歩き、乗り鉄、廃線・廃道歩き、廃村歩き、駅舎探訪などの日々を記録します

飛龍山・和名倉山(3)

【2014年5月2~3日】飛龍山・和名倉山
2日午後4時前に目標通り、将監小屋に到着。
早速、チェックイン。
屋内の写真を撮るのを忘れてしまったが、部屋は柔道場のようなだだっ広い一間。
70人収容とのこと。
部屋に入ると、すぐに小屋番のおじさん(もうかなりのおじいさん)が来て、玄関にある薪ストーブに火を付けてくれた。
聞くと、今夜のお客さんは私のほかに、4人のパーティー1組だけだという。
すぐ前のテン場には9張もテントがあったのに。
時代はやはりテン泊なのだろうか。

こちらは荷物を部屋に置き、まずは外にある水場で顔を洗い、戻って着替え。
そんなことをしている間に、飛龍の頂上で会ったおじさんがやってきた。
笠取は諦めて、ここに素泊まりすることにしたという。

缶ビール(500円)を買ってきて、持参したナッツをつまみに、ストーブの近くで本日の山行メモを書こうとしたら、おじさんもビールを2本持って近づいてきて、「あれ、買っちゃった?」と言う。
どうやら1缶おごってくれる気でいたらしい。親切な方だ。
つまみに買ってきた「モツ煮」のようなものを「どうぞ」と言われたので、こちらもナッツを「よろしかったら」とお裾分け。

結局メモはしばらく後回しにして、おじさんと雑談。
彼は最近、写真に凝っているらしく、動植物を中心に、山で出会うすべてのものを撮っているらしい。
私がニコンの一眼レフを下げているので、写真の話ができると思って、ここに泊まることにしたのかもしれない。
でも、私の場合、写真はほぼ記録のために撮っていて、そんなに芸術的な写真を撮ろうという気はない。
だから、それほど話も盛り上がらぬうちに、外でビールを飲んでいた4人組みがどどっと入ってきた。
DSC_3572.jpg
彼らは作場平までタクシーで来て(たぶん塩山から)、笠取山(1953m)を経て、ここまで来たと言う。あすは和名倉山を往復して連泊、明後日下山するそうだ。

17:25、「御飯できましたよ」との声に、となりの食堂に向かう。
主食は、どんぶり山盛りの炊き込み御飯。
DSC_0585_20140506212831ed4.jpg
こんなに食えねえよと思ったが、残すのもいやなので頑張る。
ほかにおかずは、ホウレン草のおひたしと漬物、トマト、わかめの味噌汁。
いやあ、こんなに食べたのは久しぶりだ。
(おかげで30kmも歩いたのに体重が減らなかった)
食後はさすがにメモ書き。おじさんも近くにいたが、会話はほどほどに。

食堂に遭難救助協力への感謝状がたくさん額に入れて掲げられていたのを見て知ったのだが、この山小屋のご主人は田辺金雄さんと言うらしい。
昨年の5月25日、唐松尾山に来た時にここに寄ったことがあるが、その時と同様、この方には愛想というものがない。
食事を出しても、声をかけるだけで、食堂に着くと、もう姿はない。
「おかわりできますよ」とも何とも言わない。

変に話好きの小屋番も閉口するが、これだけ会話をしようとしない人もめずらしい。
用が済んだら、厨房の奥の自室に引っ込んでしまう。
こちらから用がある時、呼び出すのがひと苦労だ。
そんな調子なので、小屋の歴史も和名倉山への道の様子なども何も聞けなかった。

夜具もせんべいのような敷布団、掛け布団と、使い込みすぎて薄くなり、穴のあいた毛布だけ。
ここは車で来られる小屋なんだから、もう少しケアをこまめにしてもいい気がするのだが。

みなさん、これで寒くなかったのだろうか。
私はシュラフを持ってきてよかった。シュラフの上に布団を掛けて寝た。
6時過ぎには、もうすることがなくなったので、疲れていたことだしシュラフに入った。
4人組みはストーブを囲んで、まだ歓談を続けている。
隣のおじさんはもう寝てしまった。
こちらも寝ようとしたが、4人組みの話し声のせいで眠れないので、持ってきた文庫本を1章分読んだ。目が疲れたので、耳栓をして寝る。7時すぎくらいか。

夜中、何度か意識が戻ったが、トイレに起きた時は3時だった。
DSC_3573.jpg
(これは明るい時に撮影したもの)
満天の星で、翌日の天気には期待が持てた。
耳栓をしていたこともあるが、いびきは全然聞こえなかった。

4時過ぎにとなりのおじさんが起きて準備を始めたので、こちらも4時半くらいに起きてパッキングを済ます。
玄関に干してあったスパッツなどを回収していたら、おじさんが「今日はどちらへ? やはり笠取方面?」と聞くので、「いいえ、私は和名倉から秩父湖に下ります」と答えた。
そうしたら、ああ、そっち行きたいなあ、いい機会だもんなあ、一緒に行こうかなあ、なんてつぶやく。
私は困惑しつつ、生返事。
「でも、あす用事があるから早めに帰らないといけないんだよな」
などと言うので、思わず「じゃあ、和名倉は難しいですね」と思わず言いそうになったが、ぐっとこらえて「お住まいはどちらなんですか」と聞いた。
「青梅です」「じゃあ、この辺は庭ですね」
などと、なんとかはぐらかした。
たぶん、こちらが「そうですか、じゃあ一緒に行きましょう」と言ったら、来たのかもしれない。私の反応をうかがっていたのだろう。
申し訳ありません。場持ちがしないタイプなもので。

朝食は5時。行き先は別でも、彼は私と一緒に出発するつもりで、私が食べ終わるのを待っている。なんだか気に入られてしまったようだ。
朝食は、また丼いっぱいのご飯、岩魚かなにかの甘露煮、ふきのとうの甘酢漬け、生卵、白菜の漬物、梅干し、麩の味噌汁。
DSC_0586.jpg
4人組みの1人は「御飯を減らしてくれ」とご主人に言いに行っていた。
前夜は、炊き込み御飯の一部を紙コップに入れていた。今日の昼のおにぎり代わりにするつもりかもしれない。

5:15に出発。
DSC_3576_2014050621135257f.jpg

まずは将監峠まで防火帯の直登。
DSC_3578_201405062113554b6.jpg
テン泊の人と合わせて、偶然3人連れになる。
この方は、雁坂峠まで縦走して下るそうだ。それは長い。
あとで登山地図を見てみたらコースタイム9時間20分のロングコースだった。

私が写真を撮りながら登る。
DSC_3579_201405062113575ba.jpg
大菩薩嶺(右、2057m)と雁ヶ腹摺山(左、1874m)。

そのうち、おじさんとは随分離れてしまい、将監峠(約1795m)で「それでは」と行ってしまった。
DSC_3580_20140506211325301.jpg
本当に分かれるのは、ここではなく、この先の山の神土なのだが。まあ、いいか。
正面に見えるのは西御殿岩の稜線。

峠を左折して、ところどころ雪の残るだらだらした道を登る。
DSC_3586_201405062113286d4.jpg

左手、朝日に輝いているピークは牛王院平。
DSC_3587.jpg

この先の、七ツ石尾根との分岐で、さっき別れたおじさんがしゃがんでタッパーを開けている。
思わず「ここで朝食ですか?」と素っ頓狂なことを聞いてしまった。
「いや、カメラの電池がなくなってしまって」
予備のバッテリーをタッパーに入れていたのだった。
彼は「なぜ、私がこっちに来ているのか」と不審に思ったかもしれないが、その理由はこの先の「山の神土」の分岐で気づくことだろう。

途中、萬羽日出夫さんの慰霊碑を発見。
DSC_3594.jpg
昭和49年5月1日、享年18歳とある。
今からちょうど40年前の同じ時期だ。生きていれば58歳。
季節はずれの雪に巻かれてしまったのだろうか。
東洋大学工学部ワンゲル部。静かに手を合わせて通過する。

小屋から25分ほどで、山の神土に到着。
DSC_3596.jpg

さわやかな高原状の場所だ。
DSC_3598_20140506211301e22.jpg

さて、ここから先は未知の道となる。
DSC_3599.jpg

時折、樹木が切れて、ササ原となり見晴らしがよくなる。
DSC_3607.jpg
DSC_3602.jpg
昨日は拝めなかった富士山とやっと出会えた。

東にはずんぐりした竜喰山(2012m)やギザギザの三ツ山(1949m)。
DSC_3609_20140506211235edc.jpg
最も奥には雲取山(2017m)。

水場あり。手ですくって飲む。冷たくて、うまい。
DSC_3603.jpg
ヒバリが鳴いている。「ピーチク、ピーチク」とほんとに歌の歌詞のように鳴く。

尾根に乗ると急に風が強くなり、さっき脱いだばかりなのにウインドシェルをもう一度着込む。
しかし景色は最高。
DSC_3613_20140506211237471.jpg
大菩薩嶺の上に富士山が浮かぶ。

ズームアップしてみよう。
DSC_3614.jpg
雪はこのくらいあった方が富士山らしい。

手前は牛王院平。
DSC_3626.jpg

小ピークの北側を巻くと、てきめん残雪となる。
DSC_3629.jpg

正面に尖塔のリンノ峰が迫ってきた。思ったより標高差がある。
地形図上では70mほど。
下半分はササだが、上は樹林。またシャクナゲ林で、消耗するだけして登頂できなかったりするとイヤなので、登山道をはずれてのピークハントは断念。
ほんとは小屋のご主人に登る踏み跡はあるかと聞きたかったのだが。
ここも北側を巻く。雪がかなり残っていて、通過に10分もかかったが、スパッツやチェーンは装着せずに、こらえた。
ひと安心して、リンノ峰を振り返る。
DSC_3633_201405062112052d2.jpg

ここから西仙波(前仙波、1983m)までは50mほどのだらだら登り。
DSC_3634_201405062112080dd.jpg

ピークはこの先かなと思ったら、山名板が現れた。
DSC_3637_20140506211209f92.jpg
案外早く着いてしまって、この標識がなかったら危うく通り過ぎてしまうところだった。
とくに眺望はないので通過。

東仙波(奥仙波、2003m)までは眺めのいい稜線歩き。
風もだいぶ治まった。
これはリンノ峰と富士山のコラボ。
DSC_3644.jpg

竜喰山。
DSC_3646.jpg

左には竜喰山、大常木山、飛龍山が折り重なるように見える。
DSC_3651_20140506211137c3b.jpg

左手には、秩父、西上州の山々の向こうに浅間山を望む。
DSC_3655_20140506211139337.jpg

西仙波の稜線の向こうに、唐松尾山の稜線。
DSC_3657.jpg

雲をまとわせた木賊山(2469m)、その隣に甲武信岳(2475m)、右に三宝山(2483m)。
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手前に立ちはだかるのは雁坂嶺(2289m)。

奥にゾウの背中のような和名倉山(2036m)。
DSC_3668_201405062111459ba.jpg

奥秩父の核心部。
DSC_3669_20140506211111757.jpg

右に見える鋸状の山は両神山(1723m)か。
DSC_3671_20140506211113f0f.jpg

正面に東仙波のピーク。
DSC_3675.jpg

このササ原も山火事の跡なのだろうか。
DSC_3676.jpg

そして、7時前、東仙波に登頂。
DSC_3683.jpg

ここから眺めは、だぶりになるので説明は省略。
DSC_3685_20140506211049959.jpg
DSC_3686.jpg
DSC_3687_20140506211052151.jpg

これは南に下る尾根。
DSC_3688_201405062110547f4.jpg
ここは撮影のみで通過する。

(つづく)

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コメント

新しいのになったね

萬羽日出夫は、東洋大学で遭難した学生です。ご冥福をお祈りいたします。
新しい飾りが好印象です。ただ、和名倉山の入山が依然厳しいでしょうね。

  • 2015/09/25(金) 03:30:11 |
  • URL |
  • アジア #ntjF/dm2
  • [編集]

Re: 新しいのになったね

萬羽日出夫さんのお知り合いでしょうか。
改めて、ご冥福をお祈りします。

  • 2015/09/25(金) 06:07:22 |
  • URL |
  • かたこりまさかり #-
  • [編集]

萬羽日出夫さんは

私もその慰霊碑が気になっていましたが、雪や滑落などの遭難ではなく、東洋大学ワンゲル部の活動として新人いじめのようなシゴキが行われ命を落とされたようです。

いわゆる登山による遭難であればまだしも、このような形で命を落とすのは遺族の方にとって残念なことでしょう。

  • 2017/09/13(水) 12:01:16 |
  • URL |
  • 通りすがり #l9Wmp7Rc
  • [編集]

ご指摘をいただいて検索してみたところ、ヤマレコにそのようなコメントが載っていましたね。
詳細はよく分かりませんが、おいたわしいことです。

  • 2017/09/13(水) 16:58:52 |
  • URL |
  • かたこりまさかり #qBOWr7po
  • [編集]

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