山と鉄

山歩き、乗り鉄、廃線・廃道歩き、廃村歩き、駅舎探訪などの日々を記録します

江差線(下)

来年廃止予定の江差線に乗って、12:55、江差に着いた。
江差に来るのは確か3回目だが、江差線に乗ったのは初めてだ。
廃止前に生涯に1回だけ乗りに来たという人も多いことだろう。
今日8月26日(月)は平日だが、まだ夏休みということもあってか、かなりのテッちゃんたちで車内は賑わっていた。
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次の上りは、16:16。3時間以上あるので、町を散策することにする。
実は、この町をゆっくり歩いたことはないのだ。
駅は町から随分離れているので、時間節約のためタクシーを利用する。
鴎島まで運んでもらった。
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浜では、近所の保育園の子供たちだろうか、楽しそうに水遊びをしていた。
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もう海水浴シーズンはとっくに終わっているが、この日も暑かったからなあ。
私も24年前に勤務地の山形からここへ車で来たことがあるが、その時もまだ1歳になる前の息子をここで遊ばせたっけ。

これは鴎島の象徴でもある瓶子(へいし)岩。
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伝説では、神から瓶子を授かった折居という姥が、瓶子の中の水を海に流し込むと、ニシンの群れがやってきて、江差の人々の生活の糧になったという。岩は、その瓶子が逆さになって固まったものとのこと。
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後ろに見える桟橋は、当時はなかった気がする。
「かもめの散歩道」という。
かつては崖の下に遊歩道が設けられていたが、その後傷んでしまったようだ。
これはかつての遊歩道。
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瓶子岩は見る角度によって、全く印象が異なる。
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こっちから見ると女性の横顔のようだ。

かもめの散歩道を渡り終えると、北前船の係船跡がある。
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江差に近代的な港が整備される前は、鴎島が江差の港だった。
この木の杭は、北前船のロープをつないだものだそうだ。

島の北端に回り込むと、荒々しい岩場に出た。
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そこに立ちつくす女性が1人。
何をしてるんだろうと思ったら、彼(夫?)が素潜りをしているのを見守っているだけだった。

鴎島の内側はこんなに静かなのに
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外側はかなり波が高い。
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左に見える男性が潜っていた人だ。

ここから階段で島の台地の上に上がる。
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途中に人の横顔のような岩が。
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登り切ると、テカエシ台場跡がある。
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江戸後期に外国船の来航に備えて松前藩が設置した砲台の跡だ。

見下ろすと千畳敷。
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海のかなたに奥尻島が見える。
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あそこにはまだ行ったことがない。
北海道南西沖地震による津波で海岸線は壊滅的な打撃を受けたので、古い建物はほとんど残っていないだろう。
でも鍋釣岩はこの目で見てみたい。

あれは渡島大島。
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面積は約9.7㎢。日本の施政下では最も大きな無人島だ。
二重のカルデラからなる火山島で、最高峰の江良岳は標高が737mもある。
上陸するには、近くの漁船をチャーターするしかないが、文化庁の許可が必要らしい。
単純な登山目的では、お金があっても、行くのは難しいようだ。

台地の上には厳島神社が鎮座している。
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1610年の創建と伝えられ、石鳥居を寄進したのは石川県の船頭たちらしい。
天保9年(1838)の刻印がある。北前船華やかかりし頃だ。
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当時ここには全国から商人が集まったのだろう。

手水鉢も手が込んでいる。
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なんと、干支の方位盤が彫り込んであるのだ。こんなのは初めて見た。

その隣には、江差追分がらみの功労者の銅像や石碑がある。
こちらは初代浜田喜一の銅像。
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説明板によると、師は大正6年(1917)生まれ。5歳の時に、病床にあった父に代わって「江差節大会」に出場し、「神童」の名をほしいままにしたという天才だ。
その後、江差追分の普及に尽力し、民謡歌手としては初めて歌舞伎座で公演したという逸話もあるそうだ。昭和60年に68歳で亡くなっている。

並んで立つのは小路豊太郎翁の碑。
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こちらは江差追分に尺八伴奏を導入した方だそうだ。

鴎島の上はきれいな芝生になっており、吹き抜ける風が気持ちいい。
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かなたに見えるのは、遊楽部岳(1277m)と白水岳(1136m)であろう。

中央には土塁に囲まれた鴎島灯台。
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鴎島には江戸時代後期に常燈が設置され、近代的な灯台ができたのは明治22年(1889)。当時は木造だったが、昭和26年に現在のコンクリート造りに建て直された。
光の届く距離は約19kmだそうだ。

灯台の上からは鴎島南端のクズレ鼻方面がよく見える。
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下りて、そちらに向かう。

途中、江差追分節記念碑が立つ。
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江差追分が全国的に有名になったことを記念して、昭和7年に建てたもので、碑文には当時歌われていた代表的な歌詞「松前江差の鴎の島は地から生えたか浮島か」と刻まれている。

振り返ると鴎島灯台と日本海、そして遊楽部岳。
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本当に美しい。ため息が出るほどだ。

右手には、開陽丸が見えてきた。
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この船はもともと幕府がオランダに発注した軍船だ。
明治維新に伴い新政府に引き渡さなくてはならなくなったが、当時の幕府海軍副総裁だった榎本武揚が断固、これを拒否。他の艦船も引き連れて北上、箱館を経て、江差に至る。
これが1868年11月14日のこと。
その翌日、暴風雪により、江差沖で座礁、沈没した。

その後、1873年と1974年に引き揚げや潜水調査が行われ、様々な遺留品は、「開陽丸青少年センター」に展示されている。それが、あの船だ。
今回は時間の都合により、見学は割愛した。

遊歩道を行く。右手の海底に大きな穴が二つ。
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弁慶の足跡だそうだ。義経は平泉で死んだのではなく、北へ逃れてジンギスカンになったという北行伝説があるが、弁慶も義経と共に北海道に逃げてきたらしい。
それにしても、こんな大きな足跡を付けては、すぐに見つかってしまいそうだ。

弁慶の足跡は自然の造形に違いないが、これは一体何だろう、
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自然のものか人工のものか。謎だ。

クズレ鼻もなかなか荒々しい景観を見せてくれる。
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こちら側には、キネツカと呼ばれる台場跡がある。
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これは江差南側の海。
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対岸に江差の町並みを望む。
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灯台近くに戻ってきた。廃業してしまった民宿花月。
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このままにしておくと、あっという間に荒廃していくだろう。
潮風に吹きさらしだもの。

というわけで、鴎島をぐるりと1周して下りてきた。
かもめの散歩道とは逆方向に海岸を行くと、風化した橋がある。
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この洞門をくぐり抜けた先に何があるというわけでもない。
遠くの方に馬岩が見えるだけだ。
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これも義経伝説。義経の愛馬だったとのこと。

道の駅ならぬ海の駅開陽丸のアンテナショップ、ぷらっと江差はオランダを意識した建物のようだ。
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さて時間は2時半。さすがにお腹が空いてきた。
もう二日酔いも治ったことだし、ここらで昼飯にしよう。
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海の幸の豊富な土地だし、ニシンそばも有名なのだが、頼んだのは「とまとチキンカレー」。
理由はすぐに出来るから。どうも味気ない性格だ。

ここからがやっと町歩きになる。
「いにしえ街道」なる通りに入る。
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入口近くにこんな珍しいものがあった。
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アネロイド式気圧計だそうだ。
アネロイド式って何だ?
調べてみると、内部を真空にした金属製容器が気圧に応じて膨らんだり凹んだりするのを、針の動きに変えて気圧を読むものだそうだ。
ここの気圧計は、昭和3年に関川家が江差町に寄贈したもので、直径30cmの円盤に長針が「シケ」「雨」「ぐずつく」「晴れ」「カラカラ」などを示す英語の文字を指す仕組みになっている。当時、気圧計は親方しか持っていなかったので、漁師たちはこの気圧計を見て、天気を推測したのだという。
現在も現役だというから驚いた。

これはとてもよかったのだが、この「いにしえ街道」がインチキくさい。
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もともとある古い家を修復したのなら問題ないのだが、昔風に新たに作ってしまった家が散見される。
別に文化財ではないのだから自由だけど、いいことをしているようで分かっていない、というところが切ない。

これなどは明らかなまがいものだ。
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北海道新聞江差支局。

このパン屋さんは改装しただけのようだ。
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で、本物はこれ。横山家である。
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国の重要文化財。時間の都合で内部見学は割愛。

となりのニシンそば屋さんも、泣く泣く通過。
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900円だそうだから、そんなに高くはない。
でもニシンは、もうここで獲れたものではないだろう。

この道から、何本も高台に通じる道がある。
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それぞれに名前が付いていて、これは法華寺坂という。
ほかに北前坂、馬坂などがあった。

これも本物。すばらしい。旧江差町役場本庁舎。
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平成5年まで現役として使用されていたとのこと。
これは弘化2年(1845)に建設されたもので、修復・建て増しをしながら使われてきたものを、使用できる部材は再利用して、建築当初の姿に復元したものだそうだ。
なかなか格好のいい建物だ。

近くに九艘川橋の石造欄干の跡。
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向かいには、こちらも国重要文化財の中村家。
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これは裏側。
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一旦国道に下りて、役場と江差追分会館の外観を確認。
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今度は高台に向かう。奉行坂を登ると、中腹に旧檜山爾志郡役所。
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明治20年建築の洋館で、北海道では唯一現存する郡役所である。

目の前には「土方歳三 嘆きの松」。
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言い伝えでは、榎本と土方がこの場所から開陽丸の沈没を見守り、土方がこの松の木を叩いて悔しがった。その後、木に瘤ができて曲がっていったのだという。

こうして見ると、ちょっと長崎のよう。
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高台からは、横山家や鴎島が一望。
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こちらは鴎島の全景。
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まさに「地から生えたか浮島か」という眺めだ。

歩いてみて分かったのだが、江差の市街地は海岸べりの港近くではなく、高台にあった。
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とても意外だった。

日も傾いてきた。駅に向かう。
市街地からは10分ほどの距離だった。
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着いた時はまだ列車は入線していなかったが、トイレで唸っている間に、みんな乗り込んでしまい、帰りは窓際には座れなかった。
今度は1両編成なので、さっきよりさらに混んでいる。
正面に乗り合わせた人は、40代くらいの男性。来る時も同じ列車だった人だ。
ずっと、コンパクトカメラで車両を入れ込んだ風景写真を撮り続けていた。

私はと言えば、時々、景色のいい場所でパチリ程度。
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北海道は品種が早生なのか、稲ももう黄金色に染まっていた。
夕日のせいか実に鮮やかだった。

時々うとうとしているうちにトンネルを過ぎて、吉堀駅。
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そして再び木古内。
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このまま函館に向かう方々が多かったが、こちらはここで特急スーパー白鳥42号に乗り換え、新青森経由で帰京する。

初めて下り立った新青森駅(在来線)。
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こちらは新幹線ホーム。
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私が乗る東北新幹線はやぶさ20号。
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グリーン車前では女性アテンダントがお出迎え。
私は普通の指定席。

乗り換えの待ち合わせ時間内に、そばを食べてしまったので、車内では寝るだけ。
もう真っ暗だし。
で、本当に大宮まで3時間まるまる寝てしまった。

待っていたのは豪雨。川越から本川越まで10分ほどの歩きで、傘はあったもののズボンはずぶ濡れに。
帰宅したのは日付変更線を超えてから。長い1日だったけど、楽しい帰省でした。


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