山と鉄

山歩き、乗り鉄、廃線・廃道歩き、廃村歩き、駅舎探訪などの日々を記録します

大平山・石割山(上)

1月14日の大雪は関東南部の方が深かった。
河口湖で積雪41cmとの報道が流れたのを覚えている。でも、富士山周辺のハイキングコースなら、トレースが付いているだろうと高をくくっていたが、そうは問屋が卸さなかった。
3時間近いラッセルを強いられてしまった。
今回はその奮闘記。

1月20日(日)、新所沢6:11発の電車で出発。
大月では、乗り継ぎの富士急に3分の待ち合わせ時間しかなく、精算のための登山客が改札に殺到していた。富士急はスイカやパスモが使えないのだ。
そんなにあわてなくても、日本の鉄道はみなさんを置いて発車してしまうわけがないですよ~。
こちらは素直に一旦JRの改札を出て、切符を買い、悠然と富士急の改札を通過する。
電車はロングシートでちょっと面白くなかった。
でも、車窓には真っ白に冠雪した富士山の雄姿が右に左に見えて、血湧き踊る感がある。

8:35富士山駅到着。御殿場行きのバスは8:48。少し時間があるので、トイレに入ってみたが、ひとつも出てくれなかった。
それにしても、この駅名が気に入らない。
昨年4月に、富士吉田駅から富士山駅に変更されたのは、富士山を世界遺産にするための運動の一環らしいが、それでいいのか。

確かに富士山頂に一番近い鉄道駅であることは間違いないが、こういう命名は基本的に慎みを欠いていると思う。
富士山はみんなのもの。富士急だけのものでも、山梨県だけのものでもない。
吉田という歴史ある地名を捨ててしまったことに、富士吉田市民から目立った反対が出なかったことも残念でならない。

バスは河口湖駅発なので、数分遅れて到着。
乗客は私のみ。と思ったら、後ろにもう1人いて、途中で下りて行った。
私は山中湖畔のホテルマウント富士入口のバス停で下車(9:10)。
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本当は、登山口直下の大出山入口まで行きたかったが、道志行きのバスしか山中湖北岸は経由しない。
でも、今日も快晴で、湖畔をしばらく歩くのも悪くない。

幸い歩道が除雪してあり、湖岸を歩くことができた。
湖は岸辺だけ薄く氷が張っているが、沖は水のまま。
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帰りにタクシーの運転手に聞いたら、ここ10年ほどは結氷していないという。
やはり温暖化なのだろうか。
私が大学1年の時の2月に自転車で来た時は、厚く氷が張り、雪原のようだったのに。

正面の大出山山頂にある白亜のホテルが、はバス停の名前にもなっているホテルマウント富士。
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一度は泊まってみたいとは思うが、たぶん一生泊まらないだろう。

湖畔では白鳥が羽を休めていた。
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おっと、肝心の富士山を忘れていました。
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いつ見てもほれぼれするお姿だが、山中湖からの富士山はわりとすそ野の凸凹が多い。

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今日は富士山に登っている人がいるのだろうか。
湖畔はこんなに穏やかだが、雪煙が上がっているから、あちらは風が強いのだろう。

途中で歩道の除雪も終わり、しばらく車道を歩かされたが、15分ほどで分岐に到着。
ここからは上りとなる。
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30分ほどで登山口に着いた。
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つぼ足程度だが、トレースは付いている。予想通りだ。
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歩きにくいのは、昨日と同じだが、まあ仕方あるまい。積雪は50cm程度か。
雪質はまだサラサラなので、そこは助かる。

ところが15分ほど歩いて、花の都公園への分岐で足跡はそちらの方に行ってしまい、私が進むべき大平山方向は、美しい処女地になっている。
ゲゲゲの鬼太郎である。
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しかし、かと言って引き返すわけにもいかない。
ここはトレースがなくても道が分からなくなる心配はない。
どれだけ時間がかかるのか分からないが進むしかない。
幸い、雪はサラサラなので、道を切り開いていく快感を味わうことはできる。

えっちらおっちらとラッセルして20分。
最初のピーク、長池山(1178m)に着いた(10:15)。
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足跡は野ウサギのものである。
金峰山でも同じものを見つけて、あのときは何の足跡か分からなかったが、たまたま前夜NHKで雪山の番組をやっていて、それで教えてもらった。
やつらは夜活動するのだろうか。山で野ウサギを目撃したことがない。

ここからの富士山の眺めもすばらしい。
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今日はこれを満腹になるまで味わうことになる。まずは1杯目、ごちそうさま。

下りは滑るように駆け降り、なかなか気持ちがいい。
だが、すぐ次のピーク、飯盛山(約1195m)への登りとなる。
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目指す大平山は、あのアンテナのある山。無雪期なら何てことないが、この雪では足に鉄玉をつけられているようなもので、思いの外遠く見える。
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ひたすら、一歩一歩、雪に自分の足跡を刻みつけていく。
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ただ、この足跡を誰かがたどって歩いてくるのかと思うと、ちょっとした優越感はある。

10:40、飯盛山に到着。
DSC_5159.jpg

富士山のすそ野の向こうに愛鷹山系が見えてきた。
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ラッセルを初めて1時間。そろそろ休みたいが、一面の雪で腰を下ろすところがない。
とりあえず、このまま進む。
次のピークが、前半のメイン大平山である。

ちょっと路面の様子が変わってきた。
表面が固くなったモナカ状態の部分が増えてきたのである。
こうなると、足をこれまで以上に高く上げないといけないし、踏み抜いた深さが場所によって異なり、リズムがつかめない。
これが意外に堪えた。傾斜もきつくなり、10歩あるいては休むという体たらく。
ペースは一気に落ちた。
大平山への道は登山道と車道があるので、一旦車道に行きかけたが、もちろん車道も雪に埋もれており、そっちの雪の状態はむしろ悪いくらい。
あっさり、登山道に引き返す。

トレースを刻む快感などどこへやら、「もういい加減にしてくれ!」と叫びたくなる。
とうとう足が上がらなくなったところで、わかんに履き替える。
表面がもう少し固ければ、わかんも役に立つのだろうが、アイゼンと同じように踏み抜いてしまうので、どっちが楽なのか分からないくらい。
でも、とにかく、山頂まではわかんに頼ることにした。

途中、休みながら振り返ると、南アルプスが見えてきた。
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おなじみの、右から荒川三山、赤石岳、聖岳である。

いま歩いてきた長池山、飯盛山を右に見下ろす位置で富士山を仰ぐ。
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12:10、ようやく大平山(1296m)にたどり着く。
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花の都公園への分岐からここまで、標準タイム45分のところ、休みなしで2時間半かかった。3倍以上かかったことになる。疲労困憊である。

ここにはベンチがあったので、ここに座ってお昼にする。
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しかも、この先はトレースがあるではないか。
は~やっと、この苦行から解放される、と明るい気分でおにぎりにぱくついた。

眺めもさすがにすばらしい。
3杯目の富士山と山中湖。
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ここからは王岳や鬼ヶ岳の向こうに南アルプスの白峰三山も見えた。
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相変わらず、空は真っ青だ。

あちらは一昨年の暮れに登った高指山(1174m)と富士岬平。
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風もなくぽかぽか陽気なので、雪が湿ってくるのが、ちょっと心配。
でも、この先はトレースがあるんだから大丈夫だ。

ところがどっこい、ひばりの子。
な、なんと、トレースは湖畔から直接登ってきた人のもので、これから行く平尾山に続く縦走路にはついていない。
うう、めまいが。夏なら、石割山を越えて、日向峰を経由し山伏峠まで行けるのだが、この調子では石割山まで行けるかどうか。
ここからの標準タイムは90分。かける3で270分=4時間半。
今は12:30過ぎなので、とっくに暗くなってしまう。
とは言え、エスケープルートはいくつもあるので、行けるところまで行くことにする。

正面には丹沢の山々。
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あちらも雪が深そうだ。

愛鷹山系の位牌岳(左)と越前岳(右)。
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こんなにきれいに二つのピラミッドが見える角度は、そうないのではないか。

御正体山(1682m)もろくな展望はないらしいが、いずれ登らなければならない。
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とにかく下りだけは勢いよく進む。
次のピークは大窪山(約1285m)。
あれがこれから足を踏み入れる処女地だ。
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あの大雪以来、誰も歩いていないところを私が先陣を切って進むんだ。
そんな風に気持ちを鼓舞しないと、とてもふんばりが利かない。
一見、緩やかに見えるが、そうではないのだ。

処女地と言いつつ、様々な動物がこの雪原を歩いている。
さっきは野ウサギだったが、これはキツネだろうか。シカほど大きくない。
DSC_5211.jpg

これは何だろう。
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イノシシかシカが背中を雪にこすりつけてヌタを打ちながら、ジグザグに進んでいったのか。
それにしても派手な動き方だ。

そして、私の前に道はない。
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私の後に道はできる。
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(つづく)




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