山と鉄

山歩き、乗り鉄、廃線・廃道歩き、廃村歩き、駅舎探訪などの日々を記録します

長沢背稜(下)

12月9日午前9時。奥多摩は三ツドッケの頂上にいる。
天気は快晴。気温は低いが気持ちのいい朝である。

あっち向いたり、こっち向いたりして写真を撮っていると、単独の男性が2人前後してやってきた。
1人目の人に写真を撮ってもらう。
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次の人は、この辺に詳しそうなので、聞いてみたら、奥多摩は全部歩いたという。それはすごい。この人は私と同様、棒ノ嶺まで行くという。
こちらはまずその前に、一杯水避難小屋へ向かう(9:15)。
まっすぐ尾根筋を歩いて行った方が近い棒ノ嶺へは近いのだが、小屋の写真もコレクションにしているので、行かなくてはならない。

ひとつこぶを越えて、下っていくと間もなく白い壁の小屋が見えてきた。
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扉が開いていたので、誰かいるのかなと覗いてみると、なんと昨日同宿した彼女ではないか。
彼女は酉谷山に御来光を見に行ったはずだが、私はあちこちピークを拾い集めているうちに、巻き道です~っとここまで先に来てしまっていたわけだ。

まだ9時過ぎだというのに、もうお食事をしている。
「お昼ですか」と聞くと、このまま下りてしまうと、昼前に下界に下りてしまうから、今のうちに食べているのだという。「お腹もすいたし」
若いなあ。

私も撮影休憩しか取っていないので、ザックを下ろして、少し雑談する。テルモスのお湯で紅茶を入れ、ミニドーナツをお茶うけにする。
彼女は本格的な雪山は、以前、北アの五竜に連れて行ってもらったことがあるが、その時は天候が悪く引き返したとのこと。次はテントで1人の冬泊をしてみたいと話していた。
それは、まだ私もしたことがない。まあ、夏もないんだけど。
彼女は11:30のバスだというので、そろそろ切り上げて出発することにする。
もう10:00だ。すっかり腰を落ち着けてしまった。
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この小屋は酉谷小屋の倍の広さがある。こっちには昨夜何人泊まったのだろう。
小屋の外壁にかかっている温度計は7℃を差しているが、たぶん直接日が当たっているからだろう。おそらくまだ0℃くらいのはずだ。
ペットボトルの紅茶がシャーベット状になっている。
困ったのは、ハイドレーションの管にある水が凍って、吸えなくなってしまったことだ。

ちょうどすぐ先に、「一杯水」と呼ばれる湧き水があったので、一口二口飲んでみる。
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うまいわ。

ここからは稜線のピークを気にせず、ひたすら巻き道でいい。
標高は1400m程度、やはり楽ちんだ。
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10:40、仙元峠への分岐に達する。峠と言うから鞍部にあるのかと思ったら、どうやら、この峠はピークにあるらしい。不思議だ。
でも、ピークに名前が付いているなら、そこも「登った山」にしてしまおう。

5分で頂上に到達。
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そこにある説明板によると、ここは多摩と秩父を結ぶ唯一の街道で(そんなことはないと思うが)、富士講や三峯講の人々がここを通ったという。
秩父から来た人たちはここで初めて富士山を見たという。

実際、今は木々が茂って見えないが、それがなくても今日は雲がかかっているのか富士山はどこからも見えない。
仙元は「水の源」という意味だと行っているが、おそらく「浅間」に通じるので、富士山のことかもしれない。祠にも富士山のご神体、木花咲耶姫命を祀ってあるという。
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一旦下って、登り返すと蕎麦粒山(1473m)。11:05。
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ピークは尖った岩が林立する、この稜線にしてはちょっと変わった景観。

ここからは関東平野の眺望がすばらしい。
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そして、この先は防火帯で、枯れ草の茶色い道となる。東から来る人は最後の急斜面がかなりきついらしく、みんな苦しそうな顔をして登ってくる。
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まだお腹が空かないので、通過。
次のピークである桂谷ノ峰(1380m)は標識もなく、道もなだらかでよく分からないうちに通過してしまった。
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防火帯は枯れ葉だらけ。またしてもラッセルだ。
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有間山への分岐、棒ノ嶺への分岐を確認し、日向沢ノ峰(1356m)に至る。11:50。
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ここからの眺望も悪くない。

正面に天祖山(中央)と雲取山(左)、芋ノ木ドッケ(右)。
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こちらは三ツドッケ。
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ここでお昼にしようと思ったが、風が強くて寒い。
展望レストランは諦めて風の来ないところまで下る。棒ノ嶺に行く分岐に、ちょうどいい倒木があったので、ここに腰掛けて、お昼とする。
温かいものはお茶のみ。昨日のぱさぱさになったおにぎりと、マカロニサラダ、焼き豚の残りなど。すっかり体が冷えてしまった。

12:15出発。ここから先は、2001年版の「奥多摩」では点線になっているが、2011年版の「奥武蔵・秩父」では実線になっている。地形図には表示なし。
所要時間は、棒ノ嶺まで2時間半。

分岐の先は、いきなりとんでもない傾斜の下り。
標識がなければ、道を間違えたと思うだろう。かつて点線だったことがよく分かる。
これで標高差100mほどを一気に下る。その先はしばらくなだらかなアップダウンだ。
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ただ、この道には相当古い階段があったり、有間山や有間ダムへの分岐があったりで、昔から歩かれていた道ではあるようだ。
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それにしても、こんな道から分岐する道は、踏み跡もさらに不明瞭そうで(山地図には点線もない)、赤テープがない限り歩けそうもない。
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鉄塔の下まで来ると、眺望が開け、今登ってきた日向沢ノ峰や有間山、蕨山が見えた。
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今年3月に登った山だ。

この先1087mの小ピークは避けたいなあと思っていたら、右手に踏み跡程度の巻き道があった。本道は直進だが、ここは右を行く。

この稜線の道は地形図には書かれていないが、地形を見ながら歩いていると、この先は緩やかな登りだとか、次は急な下り坂だとか、きちんと現在地を確認しながら歩ける。

そんな風に歩いていると、とくに目立ったピークでもないなだらかな場所に「クロモ山」と書いたテープがあった。
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地形図には標高の表示すらない場所である。
これで、「やったあ、また一つ登った山を稼げた!」と喜べればいいのだけど、「もしかして、さっき巻いてしまった1087mピークにも山の名前があったのでは」と失敗したような気持ちになる。貧乏性だ。
もう、この道には二度と来ないだろう。仕方ない。

この後もいくつものこぶを越え、927m小ピークも越えて、958mピークの長尾丸山に着いたのは13:35。
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ここには、こんなしゃれた看板がかかっていた。結構新しい。
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でも、とくに眺望はないので、あっさり通過。

100mほどまた一気に下り、左手に林道が見えるコルに出る。
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このあたりからは、奥武蔵の山々が一望できる。
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そして、槇ノ尾山(945m)へ登り。これが長い。
頑張って登って、やっとなだらかになったと思ったら、次の急坂が出てくる。
の繰り返しで、精神的に疲れた。
頂上には14:10着。
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ここには看板が道標にくくりつけてあった。

元気だったら棒ノ嶺の先、黒山、岩茸山を経由して御嶽駅まで縦走し尽くそうと思っていたが、とても時間的に無理そうなので、棒ノ嶺から川井駅方面に下ることにした。

槇ノ尾山からは60m下ってまた80m登る。
いい加減、いやになってくる。
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ほんで、14:30棒ノ嶺に到着。
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ここは10月に一度来ているが、あの時は曇っていて何も見えなかった。
今日はよく見える。男体山は無理だったが。
大持山(左)と武甲山(右)
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手前から伊豆ヶ岳(尖ってる山)、丸山(鉄塔のある山)、赤城山。
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坂戸市街と筑波山
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子(ね)の権現(左手前)と高山不動(右奥)
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顔振(こうぶり)峠と東松山市街。
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そして東京都心とスカイツリー。
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人気のある山だけに、眺望も抜群だったのだ。

こちらが到着した時は、5~6人のパーティーが下山するところ。
残る2組4人はそれぞれベンチとテーブルでおしゃべりの真っ最中。
いずれも名栗側に下りて、さわらびの湯に入って帰るのだろう。

その方が交通の便もいいし、歩く距離も短いが、同じ道はなるべく歩きたくないので、あえて奥多摩側に下る。
14:40出発。
地形図で見た通りの急坂。ここから一気に標高差570mを下る。
まずは植林の中の小刻みなつづら折れの道。これはこれで歩きやすい。
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階段もつたって谷まで下りてくると、祠があり、この先は沢沿いの道になる。
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沢と言っても勾配は楽にならない。
わきは石垣を組んで、わさび田になっている。
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こんな山奥に分け入って仕事をするのだから頭が下がる。

途中、横顔がゴリラに似ている岩を発見。
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正面から見ると顔にすら見えないのだが。

大丹波川まで下りて来たところに8段のわさび田があって、びっくり。
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でも、奥多摩で生わさびを売ってるところ見たことないんだよなあ。
名産って看板もないし。

このあたりの大丹波川は渓流沿いに4つのキャンプ場がある。
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奥から順に、奥茶屋、百軒茶屋、中茶屋、清東園。
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いかにも昔からの街道にあった茶屋がキャンプ場に衣替えしたことを思わせる名前だ。
キャンプ場としては多分昭和30~40年代は流行ったのだろうが、今はどうなんだろう。
アウトドアブームで持ち直しているのだろうか。
それにしても4軒は過当競争のような気もしないではない。
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ただ、どれも雰囲気のいいところで、家族連れにはもってこいの場所だ。

15:50清東園バス停に到着。
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バスはここまで入ってくるが、事前に調べていた通り、奥多摩駅行きは16:50。
あと1時間も待つ気はないし、山村の風景も見たいので、当然このまま歩く。

そうすると、こういう古い商店を見つけることもできる。
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まだこんな懐かしいホーロー看板も残っている。
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16:24、下りのバスと八桑のバス停ですれ違う。
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ここで、東京都山岳救助隊のネーム入りユニホームを着ている人たちを見かけた。
そのうちの一人に「お疲れさまでした」と声をかけられたので、「訓練ですか」と聞いたら、「捜索です」との答え。誰か遭難したようだ。救助できたのだろうか。

北川橋では古い橋の橋脚を見つけ、ニンマリ。
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南平には、茅葺きの家があり「ふるさとの味」と看板が出ているので、何か作っているのだろう。
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このあたり、クリスマスの飾り付けをしている家が多いのが不思議だ。

この隣に、「なかい」という釜めし屋があった。ぼんやり明かりを灯していて、なかなかいい雰囲気だったが、寄って行くと真っ暗になってしまうので、ここは我慢することにした。
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蝉沢あたりまで下ってくると、すっかり暗くなってしまい、写真はもう無理。
国道には午後5時過ぎに達し、5分ほど歩いて、松乃温泉「水香園」に立ち寄り湯。
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入ってみると、なかなか格式の高そうな宿で、入浴も1000円。
先代は大正末期に、夢枕のお告げでここを掘ったら温泉が出たとのこと。
アルカリ泉なので、つるつるして浴槽に入る時、転びそうになってしまった。

さっぱりして、18:18川井発の電車を目指して出発。19:49新所沢に到着。
1泊2日、18時間45分にわたる山行の終了です。
比較的マイナーなコースでしたが、そこがまた何とも言えない雰囲気で、楽しうございました。

全行程を振り返っておきます。
8日:東日原(8:05)~鍾乳洞分岐(8:30)~八丁橋(9:05)~1355m地点(10:55休憩11:00)~天祖山(12:20昼食12:40)~梯子坂ノ頭(13:40)~水松山(13:55)~滝谷ノ峰(15:15)~酉谷山(15:50撮影15:55)~酉谷峠(16:05休憩16:10)~酉谷避難小屋(16:15)
9日:小屋(6:35)~日向谷ノ頭(6:50)~坊主山(7:05)~七跳山(7:45)~大栗山(8:15)~ハナド岩(8:25撮影8:30)~三ツドッケ(8:55休憩20分)~一杯水避難小屋(9:30休憩10:00)~仙元峠(10:45)~蕎麦粒山(11:05)~日向沢ノ峰(11:50昼食12:15)~クロモ山(13:05)~長尾丸山(13:35)~槇ノ尾山(14:10)~棒ノ峰(14:30撮影14:40)~奥茶屋(15:30)~清東園(15:50)~松乃温泉(17:10)

(おわり)

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