山と鉄

山歩き、乗り鉄、廃線・廃道歩き、廃村歩き、駅舎探訪などの日々を記録します

烏場山

今年は何だか、ケガや故障が多い。
夏には、頸骨の癒着で左腕がしびれるようになり、上州朝日岳でスリップして小指を剥離骨折、今度は帯状疱疹で右脇腹から下腹まで神経痛になった。

帯状疱疹は子供の頃にかかった水疱瘡のときのウイルスがそのまま体内に潜伏していて、加齢に伴い免疫力が低下すると発症するというものらしい。
疲れやストレスが引き金になるとのことだが、ほとんどストレスレスな生活をしているので、おそらく加齢だろう。

そういうわけで、先週は大人しく超軽めのプランにした。
標高266m。房総半島の烏場(からすば)山である。
この山は内房線の和田浦駅が玄関口なのだが、昨年、内房線と外房線の乗りつぶしに来た時、ここ和田浦に下りて、名物の鯨料理を食べた。
その時に、観光案内所にあった「花嫁街道ハイキングコースマップ」というのを、名前が気に入って入手しておいた。このコースで登るのが烏場山である。

真冬用の山としてとっておくつもりだったが、あまり体をいじめるわけにもいかないので、まだ冬には早いが、行ってしまうことにした。

新宿発の特急わかしお1号の終点安房鴨川から3つ目の和田浦に9:39着。
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体操をして45分に出発。まずは車道を花嫁街道入口まで歩く。
天気は晴れたり、曇ったり。

沿道には、背の高さを競うような生け垣が続く。
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途中にあるうなぎ屋さんの「うな陣」はちょっと怪しい店。
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これだけでも、かなり危ないが、裏にはこんな文字も。
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踏切を渡ると、道は登り坂。
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駅から40分ほどで登山口に着いた。
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花嫁街道はその昔、山間部の上三原集落と海辺の集落を結ぶ生活路で、学校への通学路としても利用されたという。
かつては花嫁行列もここを通ったことから、登山道として整備されるにあたり「花嫁街道」と呼ばれるようになったとのこと。
かつての街道らしく、経文石やじがい水、駒返しなどの地名が残されている。

ほぼ海抜0mからの登山なので、超低山と行っても、260mの標高差がある。
しかも、駅から烏場山までは7kmもあり、思ったより歩きでがある。

花嫁街道入口から第一展望台までは、植林の中、いきなり標高をぐいぐい稼ぐ。
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右手でガサっと音がすると思ったら、ヘビさんだった。
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植林帯が終わると、照葉樹林。南国らしい、ちょっと不気味な森だ。
第一展望台は、展望台というわりには木々が邪魔をして、ほとんど展望はない。
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なので、通過。

ここからしばらく、切通っぽい道が続く。
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第一から500mほどで第二展望台(標高202m)。
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木の根が激しい。

ここからは和田浦の町並みの向こうに太平洋が望める。
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ベンチでしばし休憩。
こんもりした照葉樹林の丘陵が連なる。
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この先はマテバシイの林。
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なかなかの密林である。
これはマテバシイのどんぐり。普通のより少し尖っている。
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この林を通り抜けると、木々の間に烏場山らしき稜線が見えた。
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展望台から400mほどで経文石。
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かつての道は岩の下を通り、50年ほど前までは見上げると、かすかに梵字が読み取れたそうだが、風化が進んで今は見えない。
現在、道は岩の上を通っているが、ヤブをこぎ、クモの巣を払って、下まで行ってみたが、やはり梵字は見えなかった。
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じがい水は「自我井水」と書き、かつては山中のかくし田の水源として使われたらしいが、清水らしきものは見当たらなかった。
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このあたりまで来ると、時々、右手の展望が開ける。
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あれは、千葉県の最高峰・愛宕山(408m=全国最低)。
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遠くを船が行く。
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駅から2時間以上かけて、山間の集落への分岐・駒返しに至る。
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ここで、海辺から来た馬は山の馬とバトンタッチして、引き返したということなのだろうか。

12:20、見晴台に到着。
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ここからは正面に太平洋が望め、ベンチがたくさんある。
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ここでお昼にする。おにぎり2個。

マップによれば、ここにトイレがあるはずなのだが、トイレ跡さえ見当たらない。
仕方ないので、陰でする。

ここから間もなくの第三展望台では始めて北側の展望が開け、五十蔵の集落が見下ろせる。
なんだか桃源郷のようだ。
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そして最後の急坂を登り切ると、烏場山山頂。12:55。なんと駅から3時間以上もかかってしまった。
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山頂はそれほど広くはなく、その縁をベンチがすき間なく囲んでいる。

山頂にいは誰もいなかった。
この日会った登山者は4人だけ。紅葉にはまだ早いし、花の季節でもないこんな時期に来る人はめったにいないのだろう。

ここからは南北の眺望が楽しめる。
左の双耳峰は富山(350m)、その右奥は伊予ヶ岳(337m)だろうか。
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こちらは海側。手前は大塚山(175m)かな。
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千倉方面の海も遠望できた。
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烏場山は「新日本百名山」「房州低名山」ということになっている。

さて、下山。もう1時を過ぎたので、予定していた14:33の電車には間に合いそうにない。急がず、1時間後の電車にする。
ここから先は「花婿コース」ということになっている。
別に、この道を花婿が歩いたということではなく、あっちが花嫁なら、こっちは花婿、と名称を付けただけだろう。
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1kmほど下ると、標高236mの旧烏場展望台に出る。
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「旧」の意味するところはよく分からない。

ただ、ここからは烏場山の形がはっきりと見えた。
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さくさくと下っていくと、見晴台(171m)に出る。
道は単調だが、こうして随所に見どころを用意してくれると、めりはりがついて嬉しい。
見晴台の手前で、もう1回、烏場山を望むことができた。
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見晴台では正面に大蔵山。
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さらに下ると、金比羅山(121m)。
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マテバシイの山である。

頂上直下に小さな祠があった。
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あたりに瓦が散乱しているところを見ると、かつては社殿もあったのだろう。

すぐ下には、なんと六脚の鳥居跡があり、篤い信仰を集めていたことを伺わせる。
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その下には手水鉢。
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あまり風化していないので、大正くらいのものかと想像したが、なんと文政七年とある。。
たぶん、この祠が金比羅さんなのだろう。

このあたりで滝の音が聞こえてきた。なかなかの音量である。
しばらく急坂を下ると、黒滝に出た。
黒と言うより茶色い。水は濁っていて、必ずしもきれいではない。
前日までの雨のせいだろうか。
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滝のそばには、向西坊入定窟なるものがあった。
向西坊はもともと元助といい、赤穂浪士の1人・片岡源五右衛門の家臣だった。
元助は切腹した四十七士の菩提を弔い、向西坊と名乗って全国を行脚、黒滝が気に入って、この地に住み着いたという。晩年、天命を知ると、滝のそばの岩窟に入り、食を断って念仏を唱え、入定したとのことである。時に1732年のことであった。
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向西坊はこんな歌を詠んでいた。
「折々も濁りもやせん黒滝の水も浮世の中を流れて」
当時から、時々は濁る滝だったらしい。

長者川の縁に作られた道をたどって
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里に出たところが「はなその広場」。
この先400mで花嫁街道入口に合流。来た道を戻る。
駅には15:10に到着。歩行距離13.5km。
ハイキングにしてはそこそこハードだった。
海がもう少し青く見えたら言うことなかったが、なかなか新鮮な山行だった。
帰りは、館山経由、新宿さざなみ4号で帰宅した。

【コースタイム】
和田浦駅(9:45)~花嫁街道入口(10:25)~第二展望台(11:00休憩15分)~駒返し(12:00)~見晴台(12:20昼食20分)~烏場山(12:55休憩5分)~見晴台(13:45休憩5分)~金比羅山(14:10)~黒滝(14:25)~和田浦駅(15:10)=歩行4時間40分
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コメント

マテバシイのどんぐり、初めて見ました。可愛いですね。
山は逃げないですから、少し休養が必要です。

  • 2012/10/25(木) 08:08:30 |
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