山と鉄

山歩き、乗り鉄、廃線・廃道歩き、廃村歩き、駅舎探訪などの日々を記録します

杓子山

高校の同期N君からメールをもらった。
今度、東京に行くんだけど、関東近辺で手頃な日帰りの山ないかい?
彼は北海道在住。去年から山に取り憑かれ、私と同様、毎週(のように、ではない)登っている。
とりあえず、丹沢とか奥多摩、中央線沿線の山をいくつか挙げたが、どうせなら一緒に行こうということになった。

内地デビューということなので、やはり富士山が見えるところがいいだろう。
富士五湖周辺まで行くと、その日のうちに羽田空港に戻るのは、ちょっときついかな。
なんて、いろいろ考えて、中央線沿線の扇山(1138m)に決めた。
日取りは10月14日と決定。前の週の8日には、みんなと一緒に余市岳に登ることになっているので、彼とは北海道と内地で2週連続、同行することになる。
高校の時はほとんど話したこともなかったのに、不思議なものだ。

ただ、9月29日に扇山のすぐ北にある権現山に登って気が変わった。
上から眺めてみて、頂上の展望はあるらしいが、ずっとその前後は樹林帯。
初めてのお客さんをご招待する山としては、少々サービスが足りない。
どっか別のところを探すことにして、前日のうちに近くに宿をとっておくつもりだという彼には大月を指定した。
ところが、大月はどこもいっぱいだというので、仕方ない、さらに奥の富士吉田に取ってもらった。

こうなると、もう富士五湖周辺しかない。
結局、杓子山をメインとした縦走コースにした。
忍野八海で有名な忍野村の鳥居地峠から高座山を経て、杓子山、その先は鹿留山に軽く出張ピストンして、立ノ塚峠から下山するというルート。
南側が開けているところが多いので、富士山の展望を何度も楽しめる。
帰りは忍野温泉で汗を流す。我ながら、なかなかのプランだ。

鉄路で行くか、車で行くか最後まで迷ったが、現地でのタクシー利用が1回で済むという理由で、結局、もう20年近く乗っている愛車のタウンエースで出かけた。

N君とは富士吉田市内のコンビニで待ち合わせ。7時20分ごろ合流した。
富士山はよく見えているが、曇の予報。実際すでに中腹に雲が湧いている。
鳥居地峠(約1000m)には10分ほどで到着。
ここで車を駐めている人もいるが、我々は行けるところまで行く。
途中、急勾配の砂利道で登れなくなり、一旦バックして4駆に切り替え、なんとか登山口(約1060m)までたどり着いた。
体操をして7:45出発。
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5分ほどで樹林帯を抜け、ススキの揺れる明るい道に出る。
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正面は第一関門の高座(たかざす)山である。

相棒のN君も振り返って富士山を眺める。
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あとは黙々とカヤトの道を行く。
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眼下には忍野の町並み。
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途中から道はかなり急になり、滑らないように登るのが大変。
ロープが頼りだ。
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油断していると、富士山が早くも隠れてしまった。
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まあ、この後、何度も出たり隠れたりするのだが。
快晴だと、もっと鮮やかな富士山をプレゼントできるのだが、天気は私のせいではない。
それと、季節的に富士山らしい雪渓がほとんど見えないのも、少々申し訳ない。
この5日後、19日には真っ白に冠雪したのだが。

標準タイム45分のところ、35分で高座山(1304m)に到着。
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なかなか好調だ。
ここからは再び富士が顔を出してくれた。
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しかし結構な登りだった。しばし休憩。
まもなく、単独のおじさんが登ってきた。彼は「山頂には群落になっていると思ったのに、ちょぼちょぼですね」という。何の花のことを言っているのか、はっきり分からなかったが、「そうですね~」と相づち。
この人は背もたれのあるクッションマットを取り出して休憩。なかなか楽ちんそうだ。
私は簡易イスを組み立てて座っていたが、N君は興味津々。
「それって、制限体重、何㌔?」
袋を見たが、書いていない。
イスをしまうと、「案外、小さくなるんだな」とつぶやく。
確かに、これは便利な代物だ。座布団マットのように地面にどっかり座るより、足が楽。
新幹線が混んでいる時も、デッキで座ることができる。
重量級でも大丈夫なのがあればいいけど。

10分ほど休んで出発。いったん大権首(おおざす)峠(まで下る。
だんだん日が差してきた。
まだまだ紅葉には早いかなと思っていたが、案外少しずつだが色づいてきていた。
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鉄塔をくぐると
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富士吉田の町並みや三ツ峠山が望めた。
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大権首峠(約1335m)には35分ほどで下ってきた。
ここから左に折れると、不動湯を経由して富士吉田に至る。
我々はもちろん直進し、杓子山に向かう。

峠にはモノレールがあり、何に使うのだろうと首をひねっていたら、間もなくハンググライダーの離陸場があった。なるほど、グライダーの資材を運ぶためのものだったのだ。
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ここは地元の忍野スカイスポーツ倶楽部というところが運営しており、教官と一緒に初心者でもフライトすることができるそうだ。
体験飛行の料金は大人で16380円とあった。
標高1350mのここから離陸して、着陸場までふつうなら5分ほどだが、上昇気流に乗ると1000mも上昇して、1~2時間のフライトが楽しめるという。
乗ってみたい気もするが、今はその暇があったら、山を歩く方がいい。

途中、ヘビと遭遇。
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様々な表情の富士を愛でながら
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標準タイム通り、大権首峠から40分、9:40に杓子山(1598m)に到着。
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ベンチでのんびり休憩。富士山はすっきりとは見えないが、晴れて気持ちがよい。
山中湖が石割山から続く稜線の向こうに見えた。
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ここで、N君は大福を、私はチョコをいただく。

なかなか順調なので、予定を変更。立ノ塚峠から下りるのは止め、加瀬山を経て、二十曲峠まで足を延ばすことにする。このペースだとお昼を食べないうちに下山できてしまうからだ。その代わり、二十曲峠にタクシーを呼ぶことにした。

20分ほど休んで10:00に出発。
正面に鹿留山への分岐にあたる子の神が見える。
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この先はわりとなだらかな道だ。
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N君に北海道の山と印象が違うかいと聞くと、「いや、あまり」と答えた後、「でも、この標高でこんなに木が生えていることはないな」と言い直した。
確かに、1600mというと北海道ではいっぱしの高山。
標高1000mちょっとで森林限界になるから、そういう意味では新鮮かもしれない。

振り返ると、黄色く色づいた杓子山。その向こうに連なるのは御坂山塊だろうか。
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30分弱で子の神(約1640m=本日の最高地点)を通過。
立派なピークなのだが、標識はこんな調子だ。
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ここから、ちょっぴり寄り道。鹿留山(1632m)までピストンする。
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ただし、ここは全く展望が利かないので、写真を撮っただけで退散。
でも、空はこんなに青い。
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子の神までの道で、結構な重装備の青年とすれ違う。
彼はどういう歩き方をしているのだろう。ちょっと興味が湧いた。

子の神に戻って、立ノ塚峠(1233m)への道は長い長い急な下り坂。
標高差400mを一気に下るから、ロープ場も何か所かある。
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ただ、富士山がようやくその全容を現してくれた。
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これが秋の富士山である。
ほとんどシルエットと変わらない。

どこで話したか忘れてしまったが、N君の標高差の物差しは、札幌の山である藻岩山と円山だそうだ。あと200m登らないといけない時は「円山ひとつ分だな」と考えるらしい。
500mなら「藻岩山に登ればいいんだ」とか。
面白いと思った。同じところにほとんど行かない私は、残念ながらそういう物差しを持てていない。
ひたすら数字だけだ。

鹿留山から1時間近くかかって、11:35、やっと立ノ塚峠まで下ってきた。
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忍野へ下る道は美しい木のトンネルになっている。
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もうお昼の時間だが、何も見えないくぼ地で食べるよりは、何も見えなくても山頂がいい。
もう少し頑張るか、と言ってそのまま進む。
なだらかな歩きやすい道だ。
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途中、左後方に御正体山
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左前方には石割山が見えた。
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昼前に加瀬山(1275m)に到着。
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ベンチも展望もない林の中の山頂だったが、迷わずここで昼食にする。
私はおにぎり2個と飯豊連峰の残りのにゅうめん。

ここでは、2年後に迫った高校の同窓会幹事期のことを少し話した。
「温泉にみんなで行くなら、懇親会の翌日ではなくて、その日のうちに移動してしまった方がいいんじゃないか? 一旦家に帰ってまた出てくるの面倒じゃん」
「なるほど。じゃあ、その企画をやった23期にどうしたか聞いてみるよ」
実は、懇親会のあと、箱根に行って、夜はゆっくり温泉で酒を酌み交わし、翌日はそれぞれ山歩きやゴルフ、観光と好きなことをして楽しもうという計画を練っているのだ。
第二の修学旅行ってわけ。

タクシー会社に電話して、12:20に出発。1時に二十曲峠(約1150m)来てもらうことにした。
だらだらと下って、12:50に到着。
ここは富士山眺望の名所らしい。富士八景に指定されている。
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鹿留山は1713年に木材伐採の入会地として許可されたとのことで、以来、この峠は村の住民が朝な夕なに通う道となり、大山祇神社が祀られたという。
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鹿留山から引かれた清水も豊かに流れており、ハイカーの拠点にもなっている。
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顔を洗って、喉を潤したところで、タクシーが到着。
鳥居地峠まで戻ってもらう。
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ここから先、愛車が置いてあるところまで悪路をタクシーに行ってもらうのは心苦しい。
N君にはここで待っててもらい、10分ほどの林道を登る。
無事、愛車はあった。
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忍野温泉へは少々迷ったが、N君がスマホでナビをしてくれて、無事到着。
お客さんは誰もおらず、2人だけで独占し、のんびり浸かった。
彼は高校・大学と空手をやっていたが、社会人になってやめた途端、体重が増え始めたんだそう。
でも、山を始めて10㌔痩せたらしい。私も同じだ。

2:45、富士山駅に彼を送り届け、お別れ。
6時過ぎに帰宅した。

今日の山行は5時間ほど。ほとんど歩くペースも同じで、お互いそんなに気を遣わず、わりと勝手に歩いた。ともに、そうぺちゃくちゃしゃべる方でもない。
淡々とした、でも何だかほのぼのとした山旅だった。
彼とは28日にまた北海道の山を登る予定。山頂付近はもう雪だろう。

【コースタイム】
登山口(7:45)~高座山(8:20休憩10分)~大権首峠(9:00)~杓子山(9:40休憩20分)~鹿留山(10:35)~立ノ塚峠(11:35)~加瀬山(11:55昼食20分)~二十曲峠(12:50)、鳥居地峠(13:15)~登山口(13:25)
=歩行4時間25分
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コメント

富士山キレイですね。
簡易イスを買って、来年は「内地の山」にも登りたいと思います。

  • 2012/10/22(月) 20:48:57 |
  • URL |
  • ひろさん #-
  • [編集]

自分の山行をこのように記録したことはないから感動しました。素晴らしい。
ちなみに、椅子はいろいろ調べましたが私が使うにはあと40kg減量する必要が有るようです。

  • 2012/10/22(月) 22:23:53 |
  • URL |
  • N君 #ELXim8qg
  • [編集]

Re: タイトルなし

ぜひ、内地デビューしてください!
こちらでも来年は遠足やります!

  • 2012/10/22(月) 23:36:20 |
  • URL |
  • かたこりまさかり #-
  • [編集]

ぎゃはは。まじ?
もっと頑丈なイスがあると思うけどなあ。
それはともかく、日曜日の予報が思わしくないね。
芽室岳行きたいけどなあ。

  • 2012/10/22(月) 23:38:26 |
  • URL |
  • かたこりまさかり #-
  • [編集]

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