山と鉄

山歩き、乗り鉄、廃線・廃道歩き、廃村歩き、駅舎探訪などの日々を記録します

飯豊連峰(6)

飯豊連峰縦走も終盤戦を迎えている。
今日は3日目で9月1日。門内小屋近くでお昼を済ませて、扇の地紙(1889m)を過ぎたところで、ガスの中に入った。
それでも振り返ると、これまで歩いてきた山々が見える。
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左から大日岳、北股岳、胎内山である。

ここから先、地神山(1850m)までは、ずっと目指すべき山が見えないまま、だらだらのアンプダウンが続く。
最後の急坂をあえぎつつ登り、12:40に地神山に登頂。扇の地紙から所要35分。
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展望は西側(新潟側)のみ。正面は南北になだらかに連なる二王子岳(1420m)。
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今日は随分疲れた。体調が悪いのかとも思ったが、歩いている時間のせいだと気がついた。
初日も2日目も重いザックを背負って歩いた時間は5時間程度。
でも、今日はすでに7時間半に達している。
少しずつ食料が減って軽くなっているはずだが、「わあ軽くなった~」という実感はあまりない。「重すぎる」とも思わなくなったが。

いずれにしろ、この装備では1日の歩行時間は8時間が限度かもしれない。
7月には2泊3日で1日9時間以上歩く計画を立てていたが、無謀だった。

ここで15分ほど休憩。靴を脱いで足を楽にしてあげる。
草地にしばし横になった。
どうやらガスが晴れる気配もないので、12::55に出発。
少し下って登り返したところが地神北峰(1800m)。10分ちょっとで着いた。
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明日はここから右に丸森尾根を下って天狗平・飯豊山荘に下る予定だ。
飯豊山荘までのバスは8月いっぱい(なんと昨日!)で終了したので、その下の飯豊温泉・飯豊梅皮花荘まで1時間余計に歩かなければならない。
明日のコースタイムは6時間余。このうち4時間は急な下りで、標高差1400mを一気に下る。少々憂鬱。長時間の下りは嫌いだ。

今日は左の道へ行き、頼母木(たのもぎ)小屋に泊まる。明日はここ地神北峰まで1時間ほど登り返さなければならない。
この区間はピストンになるが、今日はガスで何も見えないので、明日歩く意味もある。
だけど、下りはかなり急なので、これを明日登ると考えるとげんなり。
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このあたり早くも黄葉が始まっている。
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ただ、相変わらず前方はガスで何も見えない。

下りきって、わずかに登り、しばしなだらかな道をゆくと、頼母木山(1730m)へはまただらだらした登り。13:35着。
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のっぺりした山容で、そんなに目立つ山とも思えないが
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標柱は福島、山形より新潟の方がしっかりしている。
ちなみに、御西岳からここ頼母木山への稜線はずっと新潟と山形の県境だったが、ここから先は完全に新潟県となる。

あとは小屋に行くだけだが、なかなか着かないでどんどん下る。
それでも10分ほどで、ガスの中からやっと小屋が姿を現した。
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13:50。今日はもう歩かなくていい。

ここには管理人が2人もいて、挨拶すると、「今月(つまり今日)から営業期間外だから無料」だという。めちゃめちゃラッキー!
トイレについても料金のことは何も言われず、備え付けの紙を使ってくれと言われただけ。
早速、お世話になる。ちょうど、出したかったところなのだ。

このトイレの中には自転車があり
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用を足した後はペダルを回転させて、おがくずと混ぜる仕組みになっている。
これはなかなか面白い。

外はガスで何も見えないから、ひとまず小屋に荷を下ろして、ゆっくりする。
今日は誰もいない。
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まずは、すぐそばまで引いてある清水を補給。顔を洗って、部屋に戻り、着替えをし、マットをふくらませ、腹ばいになって本日のメモを付け始める。

しばらくすると、30代くらいの男性が1人やってきた。
福島の人で、小国のほう、つまり天狗平から登ってきたらしい。
飯豊は好きでよく来るのだとか。話好きのようだが、寝床は2階に作っていた。

3時頃ガスが晴れてきたので、外に出て、少し回りの写真を撮る。
これは今下ってきた頼母木山だ。
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これは地神山。
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こちらは北西の尾根道にあたる大石山(奥)である。
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二百名山の朳差(えぶりさし)岳にはまだ雲がまとわりついている。
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管理人さんとしばらく雑談した。
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これは南方面の展望だが、中央が二ツ峰(1642m)、その奥に大日岳から西に続く烏帽子山(1573m)、その右が蒜場(ひるば)山(1363m)。

ちょっと疑問に思っていたことを聞いた。
「御西岳」は普通「西岳」で済むはず。「御」が付いているってことは、信仰の対象だったのか? とくに特徴のない山だが・・・
答えはこういうことだった。
御西岳自体ではなく、その西にある大日岳が信仰の対象だった。でも大日岳は飯豊本山のように登拝する山ではなく、ただ眺めて拝む遥拝する山だった。
その遥拝所が御西岳だった。だから、福島県の県境が山形・新潟の県境に分け入って、御西岳まで続いているのだ、と。う~ん、勉強になる。

この小屋は胎内市の管理で、7~8月までが営業期間、それ以外は無料開放しているとのこと。
ただ管理人は水場とトイレの管理のため、営業期間でなくても6~11月までは週に1回点検のため上がってくるという。
11月には水場のホースをはずし、トイレを冬囲いして下山する。
ここは雪で管理棟は埋まってしまうが、小屋は風の通り道で、1階しか埋まらないので2階から出入りできる。

頼母木山から北にのびる西俣尾根が冬山の入門コースで、この小屋は冬でもよく利用されるらしい。GWはまだ雪だらけだが、よく人が来るとのこと。
ただ、最近その時期に若い人が遭難死したんだとか。
ガスにまかれて道に迷い、携帯で救助要請できたのに、ガスが晴れてヘリが発見した時には事切れていたのだそうだ。
GWの雪は固く、手で雪洞を掘るのは無理。冬のビバーク装備は用意していなかったらしい。GWは晴れていると夏山よりも楽だったりするが、天候が一変すると冬山同然になる。自分はまだ、GWの雪山に行ったことはないが、気をつけなくては。

少し早めだが、5時前に食事にした。
ライスが一つ足りないことに気づいたので、今夜は岳食カレーうどんとゆでソーセージ、焼き鳥の缶詰。ここには常に大量の水が出ている洗い場があるので、そこで食器も洗った。

4時過ぎから猛烈な風が吹いてきた。
食事が終わって外に出ると、また薄いガスが出ており、さっきは見えていた新潟市街も
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すっかり見えなくなった。
夕日もガスの中に沈んだようだ。

7時前の天気予報。東京は雨だが、新潟は晴れと聞いて、安心して眠る。
夜中の2時、依然として強風が吹いているが、夜の景色が見たくて、トイレに出る。
薄いガスを通して見える満月が不気味。
姿を現した朳差岳もおどろおどろしい感じがした。

翌9月2日は、4時20分に起床。手早く朝食。フルーツ缶詰は昨夜のうちから、洗い場の桶で冷やしておいた。冷たくてうまい。
寝ながら考えていたのだが、ルートを変更することにした。

ガスに隠れていた頼母木山や地神山は夕方、小屋から遠望できてしまった。
むしろ目の前にある朳差山に登りたくなった。
予定通り、山形側に下るとバスもあり、公共交通機関のみで帰京できるのだが、朳差岳に登って新潟側に下ると、タクシーを利用しなければならず、約1万円の出費となる。
しかし、こんな所へはめったに来られない。思い切ることにした。

遭難した際に備え、管理人さんに予定を変更した旨を伝えて、同宿の方より先に5:40に出発。
やはり起きてから1時間以内に出発というのは、「大」をすると難しい。
前夜、広々と部屋を使えたので、とっちらかしてしまったせいもあるが、とにかく、朳差への分岐にあたる大石山へと下り始めた。

それにしても山で暮らして、まる3日過ぎたが、食料さえ担がなくて済むなら、何日でも山にいられそうだ。なにしろ、やっと家に帰れるという気分じゃなく、ああ今日で終わりかあと、さびしんぼになってるんだから。
まあ、そんな風に思えるのも、天気に恵まれたからかもしれない。

背の低いササの道で、あっと言う間にズボンの裾がずぶ濡れになる。
15分ほどで、同宿の人に抜かれてしまった。彼はどんどん離れていく。
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彼は朳差をピストンして、車の置いてある山形側に戻るようだ。ほとんど空身である。

今朝はその朳差岳(1636m)が鮮やかに見える。
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朝日に照らされる緑が誠に美しい。

左前方には新潟市内が昨日よりもはっきり見える。
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しかもその向こうに横たわるのは、なんと佐渡ではないか。
今日はものすごく空気が澄んでいる。昨夜の強風がみな吹き飛ばしてくれたのか。
今も風はやや強めだが、天気は上々だ。

奥胎内に下る道と朳差への分岐にあたる大石山(1560m)へも、気持ちのよさそうな道だ。
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向こうの青いのは日本海である。

二王子山の上にはまだ残月。
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このあたりの山地図の表記は若干まぎらわしい。
同宿の彼は分岐が大石山だと言っていたが、地図を素直に見ると、その手前の1567mピークが大石山であるかのようにも見える。
どっちが大石山か分からないので、とりあえず手前の1567mピークで道を少しはずれて、ハイマツに分け入り、最も高い場所に立つ。こうしないと登ったことにならないからだ。

しかし、分岐に着くと、大石山・標高は1562mの標柱があった。
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彼が正しかった。小屋からは35分で到着。大きなザックを置いて、アタックザックだけで朳差に向かう。
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30mほど歩いたところで戻り、さっき脱いだゴアを持って行くことにする。
6:20出発ということになった。
標準タイムだとここから1時間50分かかる。途中、鉾立峰(1573m)を越えなくてはならない。

これは鉾立峰から西に延びるアゴク峰の稜線。
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手前が鉾立峰だ。
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振り返ると頼母木山や頼母木小屋が見える。
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正面には朳差小屋。
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いずれも、風景に溶け込んでいる。

先の人はどんどん下り、もう鉾立峰の登りに取りかかっている。すごいスピードだ。
こちらも、大石山の全容が分かるくらいに下ってきた。
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しかし、またまた不穏なことに地神山の背後にまたガスが発生してきた。
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まだ6時半、昨日よりも早い。早すぎる。

下りきる直前に、単独男性とすれ違う。
挨拶しても固く返すだけ。すでにかなり疲れている様子。
朳差小屋に泊まっていた方だろう。

さて、こちらも鉾立峰の登りに差し掛かる。
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遠望したおりには急登のように見えたが、適度なジグザグで、しかも平坦な面があるので、比較的楽。何度も止まって振り返っては写真を撮った。
大石山から頼母木山、地神山へと続く山並みがなかなか雄大だ。
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彼はもう山頂に着いている。
DSC_5372.jpg
こちらから手を振ったが、気づかずに行ってしまった。

つづく
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