山と鉄

山歩き、乗り鉄、廃線・廃道歩き、廃村歩き、駅舎探訪などの日々を記録します

飯豊連峰(3)

飯豊連峰の縦走は2日目を迎えている。
切合小屋で15分ほど休憩、7:35に飯豊山に向けて出発した。
このあたりから見る大日岳は、鳳凰三山から見る南アルプス北岳によく似ている。
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間もなく単独の女性とすれ違う。女性が飯豊に単独とは、わりとめずらしいのではないか。
このあたり、オオクマノキやモミジカラマツが咲いている。
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振り返ると、切合小屋の向こうに磐梯山が浮かんでいた。
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磐梯山はかっこのいい山だ。

このあたりからの山の連なりもすごい。
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数えてみたら、一番多いところで12列あった。

地面には花崗岩の上に水たまりができている。
昨夜の雨によるものだろう。水筒に水がなくなっていたら、腹ばいになって飲みたくなるくらいきれいだ。

草履塚の登りで、空身の人とすれ違う。これが切合小屋に置いてあった赤いザックの人だろうか。
8:10、草履塚(1908m)の山頂に立つと、水の音が聞こえてきた。
対岸の雪渓から流れ落ちる沢の音だ。
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今年は雪が多かったので、かなり遅くまで雪渓が残っているらしい。

いよいよ飯豊山が近づいてきた。
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そして、見よ、この景色を。
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ほれぼれするではないか。ほんとに日本ってすばらしい。

御西岳と大日岳の競演も見事である。
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そして、これがこれから一旦下って、最後に登る御前坂。
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なかなか厳しそうだ。私の荷物のことを少しは考えてほしい。

眺望を堪能して、もう一つ小さなピークを越えると眼下に、姥権現が見えた。
色鮮やかで、最初は誰かがザックをデポしているのかと思った。
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下ってみると、こんなお姿である。
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ちょっと恐ろしげな表情。どんな謂われがあるのだろう。
このあたり、トリカブトが群落をなしているのも、不気味だった。
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ここを過ぎると、御秘所と呼ばれる岩場。名称がいちいち信仰の山であることを伺わせる。
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途中かなり危ないところもあったが、慎重に通過した。
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さて、あとは御前坂を登るのみ。目指すはあそこ。
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考えてみれば、三国岳からの稜線は基本的に森林限界を越えており、ずっと見晴らしがよい。標高2000mに満たない稜線で、こんなに視界が開けているのは、北海道や東北の山の特徴だ。

登り始めると、さっきの鞍部のあたりをガスがさーっと駆け抜けていき、一瞬、下が真っ白になった。
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これにはあせった。見れば、大日岳の方向にも千切れ雲が浮かんでいるし、飯豊本山付近にもガスが流れている。
間に合えばいいのだが。

御前坂はガレ場で、あちこちの石に○や×の印がついている。
道が荒れてしまって、無数のルートがあるのだ。
どこを通っても登れるのだが、歩く範囲を限定して、植生の回復を狙っているのだろう。
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ガスは相変わらず流れているが、青空も見えている。なんとか大丈夫か。
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たどりついた山頂部の石垣は一ノ王子と呼ばれる。
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これが本山だと勘違いしていた。本山部分は、わりと広いくぼ地状になっており、ピークはこの一ノ王子と小屋のある場所、そしてその手前の人工的に積み上げた岩場の3つがある。
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一ノ王子はハイマツが邪魔して行けなかった。
というより、早く登頂しないと山頂がガスに巻かれてしまいそうで、あせっていた。
でも、写真は撮るので、なかなか小屋までたどりつけない。
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ようやく9:30、本山小屋に到着。
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(左は飯豊山頂)
ガスは東側に発生しているようで、今のところ山を越えて西に押し出すような勢いはない。
ということで、東側の展望はきかないが、基本的には晴れている。

小屋は三国小屋と同じような2階建ての建物で、積雪時のためなのだろう、2階にも出入り口がある。
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その右奥に飯豊山神社の鳥居と社殿があるが、今は閉まっている。
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あのコンクリートの建物の中に神様が祀られているのか。

周辺の撮影を終えたところで、小屋を覗く。
扉を開けて、「こんにちは~」と声をかけると、「何の用?」との答え。
必ず、こういうタイプの山小屋の人がいる。雇われ小屋番で、儲けなくてもいいからだろう。もう慣れた。
「バッジを下さい」
表示を改めて見ると、800円。自分にとっては史上最高。もしかして全国最高?
(え~高いなあ)
と文句を言いたかったが、言っても負けてもらえるわけはなく、さらにこのおじさんの態度が悪くなるだけなので、言わない。

「下から来たのかい」と聞くので、そうだと答えたら、「何時間かかった?」とまた質問。
「6時前に出たので3時間半くらい」と言うと、「それは驚異的だ」と驚く。
そうかなあ、標準タイムは三国岳から4時間10分だから、早めではあると思うけど。
話しているうちに、どうやらこの人は、私が今朝、登山口の川入から来たのだと思っていることが分かった。
「違いますよ。今朝は三国からですよ。川入から標準タイムで9時間半。3時間半で来られるわけないじゃないですか~」と言うと、
「だから驚異的だと言ったんだ。それなら普通だ。まあ早い方だが」
「さっき、三国小屋には2人いたって言ったじゃないですか~」
「それなら、『あと2人』とか『私の他に』って言わないと、あなたが泊まっていたかどうかは分からない。言葉は正確に使わなくちゃならん」
こりゃ、だめだ。こういうことを笑い話にできない人らしい。
議論してもバカバカしいので、「それは失礼しました」で終わりにした。

気を取り直して、神社に改めて参拝。二礼二拍手一礼で登頂のお礼と今後の安全登山を祈願し、9:45出発。
山頂はもう目と鼻の先。
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大日岳の雲が発達してきたが、とにかくここからは起伏の少ない気持ちのよい稜線歩きだ。
これまでの荒々しさとは全く違う、北海道の山のようなたおやかな表情になる。
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左手下にかわいい池塘群を眺めながら、緩やかな斜面をゆっくり登る。
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10時ちょうど、飯豊山頂(2105m)に立つ。
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頂上には細長い標柱と小さな石の祠、古い三角点がある。
そして、トンボの乱舞。

ここは飯豊本山よりわずかに3m高い。しかし、山体としては本山の方がメインでこちらはただの出っ張りに見える。
本山を飯豊山頂として、このピークは別の名にしても良かったのではないか。
実は飯豊連峰で一番高いのは大日岳の2128m。
そもそも飯豊山が最高峰なわけではないのだから、ここは西飯豊山でもよかったような気がする。

それはとにかく、百名山の頂上に、登山者が1人もいなかったのは初めてだ。
全体に歩いている人も少ないし、もう飯豊のシーズンは終わったのかなという気もする。

振り返ると飯豊本山と一ノ王子(右)が見える。
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一ノ王子はトトロの耳のようだ。

西方眼下には70mほど標高が低い駒形山(2038m)が見える。
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わずか70m低いだけで、こんなに下に見えるのに驚く。
ここ飯豊山頂の小型版のような形だ。

北西方向には、明日歩く予定の天狗岳(1979m)がくっきり見えるが
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烏帽子岳だけが、なかなか雲の中から顔を出さない。
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大日岳のすっかり雲に隠れてしまったが、御西への道は楽しそうだ。
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逆に東のガスが薄まり、飯豊山から北に延びる大嵓(だいくら)尾根が姿を現し、宝珠山(右奥)がうっすらと見えてきた。
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こちらは上級者コース。いつか来ることがあるだろうか。

山頂で、当然休憩。
ひろさんにもらった羊羹とイチゴとトマトのゼリーをいただきながら、地図を広げ、あちこちの山を確認する。豊かな時間だった。

立ち去るのが少しもったいないが20分ほどで出発。
駒形山への登りで、単独の男性をすれ違う。
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随分焼けていたので、「縦走中ですか?」と聞くと、「4泊5日。バテました」と謙遜していた。
30代くらいだろうか。やはり若い人は感じがいい。
と今まで若い人を礼賛してきたが、もしかしたら高齢者は疲れていて、口も開きたくないという状態なのかもしれないと、ふと思ったりもした。

飯豊山は西から見ると、それなりに美しいプロポーションをしている。
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どっしりした本山とスレンダーな山頂がセットで、ひとつの山ということでいいのかもしれない。
いろいろと考えが変わってすいません。

駒形山には10:40着。
ここからは西からの飯豊山が一望できる。当然ながら手前にある山頂の方が高い。
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本山は、南から見ると、あれほど立派なのに、こちらからだとただの斜面の突起にしか見えない。不思議なものだ。
そう考えると、どこから見ても、変わらぬ威厳を見せる富士山とか槍ヶ岳などは、本当に名峰中の名峰なのかもしれない。

下ると、笹の道。
振り返ると、駒形山と飯豊山の競演。
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アサマフウロのほか、霧ヶ峰では8月上旬にはとっくに終わっていたニッコウキスゲも見ることができた。
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今、三国岳から見えていた雪渓の稜線近くを歩いている。
雪が解けて、川になって、流れていく音が聞こえる。いい音だ。地球の音である。
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あちらから見えていたということは、こちらからも見える。
はるか遠くに、三国小屋も切合小屋のザレ場も、磐梯山も。
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手前には、竜安寺の石庭のような雪渓。
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今日は意外に足がよく上がる。ザックの重さにも慣れたようだ。
人間は大したものだ。ただ、今日も休み休みとは言え、5時間以上歩いてきて、少々疲れた。草月平というところで、ザックを下ろし、しばし休憩。お菓子を食べる。

なんか、ちょっとモンゴルを思わせる風景だ。
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ケルンがモンゴル草原のオボーに見える。

腰を下ろして地面に近づくと、また別の世界も見えてくる。
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タカネマツムシソウは花びらが散ると、緑の団子のようになってしまうことも発見。

さて、視線をまた1m60cmに上げて歩き出すとしよう。

つづく
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