山と鉄

山歩き、乗り鉄、廃線・廃道歩き、廃村歩き、駅舎探訪などの日々を記録します

白峰三山(16)

【2016年8月29日(月)】奈良田
午後1時に「白根館」にチェックイン。
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部屋の中に濡れたものを干してから、またまたお風呂へ。
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これは温泉ではなく湧き水。
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今夜のごちそうかな?
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では、入りましょう。
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ここは気温や天候でお湯の色が変わる「七不思議の湯」として知られる。
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露天風呂からは早川の河川敷を眺めることができる。
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ここでも露天風呂は独占で、名湯を思い切り堪能した。
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このときのお湯は、ほぼ無色透明だった。
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上がってからはロビーで新聞を見たり、早川フィールドミュージアム公式ガイドブック「めたきけし」を読んだり。

館内には、白籏史朗撮影の間ノ岳の大きな写真が額入りで掲げられていた。
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ダム湖に沈む前の奈良田の集落の写真があったが、かつてはかなり大きな町だったようだ。
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当時の村は水の底ではなく、土砂の下に埋まっている。
ダムができてから半世紀で上流から大量の土砂が流れてきて、堆積しているのだ。
あと50年もたたないうちに、あのダムは水を貯めることができなくなるのではないか。

いったん部屋に戻って、缶チューハイで乾杯したが、夕食の6時まで何もすることがない。
鍵屋でゲットしてきたパンフレットを見ていたら、奈良田集落の見どころを随分素通りしていたことに気づき、午後4時前に散歩に出かけることにした。
H君も「どうせ暇だから」と付き合ってくれることになった。
O君は部屋でゴロ寝を決め込んだ。

玄関にお供えしてあったのは、オホンダレ。
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奈良田には小正月にオホンダレを玄関先に飾る風習があるそうだ。
カツの木の枝に顔を彫り、頭の上に団子や木を削って作った花を乗せる。
男女一対になっていて、魔よけの意味があるそうだ。

ガイドマップを見ながら、あちこち撮影して歩く。
消防団の車庫。
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白鳳観音。
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山の神。
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再び、多良寺。
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かつては、ここで孝謙天皇が伝えた「外郎(ういろう)」という薬を作っていたらしい。
この薬は今でも小田原の薬屋で「ういろう」として売られているそうな。

ここは日蓮宗の寺のようだ。
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こちらは「南無立正日蓮大菩薩」の石碑(昭和6年建立)。
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山号は「身栄山」。
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昔使われていた立派な鬼瓦。
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歴史民俗資料館には焼畑農耕農具が大量に保存されているらしい。
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覗いてみようと思って行ってみたら、玄関前に座っていた腰の曲がったおじいさんが「いま閉めちゃったよ。時間だからね」としたり顔。
時計を見ると、4時5分。
入館は4時まで、閉館は4時半までということなので、普通なら、「見るなら開けるよ。4時半で閉めますから」ということになるのだろうけど、そんな素振りは全くなかった。
ちょっと笑ってしまった。
開けてくれても、白籏史郎写真館と合わせて600円ということなので、たぶん見なかっただろう。

そこへ行く手前に、詩人田中冬二(1894~1980年)の詩碑。
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冬二は昭和11年、奈良田を訪れて「山郷」という作品を残した。
夕暮れは雨となり 雨にまじり山焼の灰が降ってきた
父も母も兄も嫂も皆山仕事に出かけてもう七日・・・
と、厳しかった当時の山村の暮らしを写している。
その34年後の昭和45年、冬二はこの地を再訪し、その印象を「奈良田のほととぎす」という文章に残した。
「奈良田の山郷らしいカラーは殆ど失われてしまった・・・板屋根に石をのせ千木をおき、上段の間のあった家は、瓦葺スレート葺となり、台所はタイル張り電気洗濯機電気冷蔵庫まで揃えた都会並みの瀟洒な住居と化してしまった。山深く開墾小屋へ泊まりがけで開墾にゆくような人はもういなくなったらしい」
奈良田は近代化してはいけないかのような冬二の言い草には違和感を覚えないでもないが、彼の言うように村の暮らしを一変させたのは、言うまでもなく西山ダムの建設である。
この事業を主導したのは、山梨県初の県人知事、天野久(1892~1968年)だった。
天野はもともと大月市の笹子に「笹一酒造」を創業した実業家で、昭和26年の知事選で初当選。以後4期にわたり、山梨県の開発に尽くした。
現在の国道笹子トンネルや富士スバルライン、南アルプス大衆化のきっかけとなった野呂川林道の建設なども天野の仕事である。
冬二とは立場が正反対だが、奇しくも二人は同世代である。

坂を登り始めると、左手に小さな天神様。
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祠にはミミンコと呼ばれる飾りが吊り下げられていた。
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中には、菅原道真公が祀られていた。もう一人も天神様なのだろうか。
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昭和7年建立の道祖神(表側は既出)
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石垣にしつらえた階段を登る。
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路地を通り抜けてゆく。
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冬二が批判がましい感想を持った瓦屋根やトタン屋根。
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奈良法王神社はさっき参拝したので通過。
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民俗資料館の奥にあるアラク小屋「山城屋」。
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アラク小屋とは焼畑のために山に建てられた作業小屋のこと。
これはそれを再現したもの。冬二の描写通り屋根に石がのせられている。

現在の民家は赤いトタン屋根。
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再び県道に下って、西山ダム方面に向かう。
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振り返って、「白根館」を遠望。
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奈良田湖にかかる吊り橋(塩見橋)。
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そのたもとに山の神が祀られていた。
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橋は渡らないつもりだったが、H君が対岸の公園に行きたがったので、渡ることに。
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随分距離があった。
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左手には水が貯まっており、何とかダム湖らしく見える。
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右手は土砂がかなり堆積しているのが分かる。
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ここから斜面に展開する奈良田の集落を一望できた。
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吊り橋を渡り終えると、「笹山」の道標。
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笹山って、目の前に見える山のことかなと思ったら、ここから7時間以上もかけて登らないといけない黒河内岳(2733m)のことだった。

すぐ先に、「奈良田の七不思議」の説明板があった。
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この公園では、そのうちの2つを見ることができた。

1つは「塩の池」
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奈良田では塩が手に入りづらいことに心を痛めた奈良王様(孝謙天皇)が八幡神社に祈願したところ、お手洗池から塩水が湧くようになったという。

近くには製塩の碑が建てられていた。
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それにしても暗い道だ。
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その八幡神社。
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次の七不思議は「染の池」
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ここは奈良王様が衣を染めた池で、村人もここでタホ布なるものを染めたそうだ。
さらに「片葉の葦」という七不思議もここに生えているそうだが、それは見つけられなかった。

もう一度、奈良田の町並みを眺める。
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北の方角に見えたのは大崖頭山(おおがれあたまやま、2186m)だろうか。
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笹山方向に通じる隧道。
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旅館大家。
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あれこれ回って満足して宿へと戻る。
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珍しそうな鳥を発見したが、名前はもちろん分からない。
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宿に着くと、ちょうど、ここのご令息がタクシーで小学校から帰宅したところだった。
山間部ならではだ。

ちょっと汗をかいたので、もう一度お風呂へ。
またまた今度も独占だった。

(つづく)
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