山と鉄

山歩き、乗り鉄、廃線・廃道歩き、廃村歩き、駅舎探訪などの日々を記録します

陸羽東線・陸羽西線

7月20~22日は出張に引っかけて、鳥海山に登ってきた。
出張先は、①未乗車区間の鉄道を利用できる②近くに登り甲斐のある山がある、という条件で探し出した。山形県最上町。鳥海山へはちょっと距離があるが、翌日登るのだから問題ない。この日は天気に恵まれ、最高の山行となった。

まずは乗り鉄。
20日、東京を7:16発のはやて101号で出発。9:14古川着。
ここで未乗車区間の陸羽東線に乗り換える。
陸羽東線の起点は東北本線の小牛田(こごた)で、小牛田~古川間を残してしまうことになるが、これはやむを得ない。
9:20発の普通新庄行きに乗り込む。
この路線は「奥の細道ゆけむりライン」の愛称があり、列車の正面には紅葉と青葉をあしらった「奥の細道」のロゴがラッピングしてある。
列車は2両編成のキハ111。白い車体に緑の縁取りと赤いラインが印象的だ。

しばらくは古川の住宅街を縫い、次の塚目(つかのめ)を過ぎると田園地帯となる。
わが国有数の米どころだけあって、一面の美田だ。
車内はボックス席とロングシートを組み合わせたセミクロスシート。もう通学時間も過ぎて、高校生は誰もいないのに、かなり混んでいる。
が、塚目、西古川と駅に停まるごとに、どんどん下りていく。
おかげですぐにボックス席に移ることができた。

空には、厚い雲がたちこめている。
5つ目の岩出山は結構大きな町だ。旧駅舎が鉄道資料館になっているのが車窓から見えた。
次の有備館は、仙台藩の学問所「有備館」が目の前にある駅。
この有備館は東日本大震災で倒壊してしまい、現在、解体工事中だ。

平野はどんどん狭くなり、川渡(かわたび)温泉あたりから、もう山あいの風景になる。
鳴子温泉郷をすこし過ぎたあたりが、車窓から温泉街を一望できるポイント。
列車は急勾配を、うなりを上げながら登ってゆく。

鳴子峡に差し掛かると、トンネルと鉄橋の連続。紅葉のシーズンは絶好の撮影ポイントになる場所だ。
山形県に入る手前にある中山平温泉駅にはSLが展示されていた。
ここで宿泊客か4人が下り、車内はガラガラ。
10:19、1時間ほどで堺田に到着。下車したのは私ひとり。
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駅舎はホームの待合室と兼用。
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ここはその名が示す通り、宮城と山形の県境に位置し、太平洋と日本海の分水嶺をなしている。
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ふつう、高山の稜線や頂上が分水嶺であることが多いが、こんな人里にあるのはめずらしい。
しかも、ここは駅の真ん前で、水が左右に分かれて流れていくのを見ることができる興味深い場所だ。
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ここから太平洋側の北上川河口(石巻)まで116km、日本海側の最上川河口(酒田市)までは103kmである。

歩いて国道沿いにある旧有路家、通称「封人の家」に向かう。10分とかからない。
途中ハスの花が咲いていた。
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封人の家は松尾芭蕉が「奥の細道」の旅の途中、梅雨に降り込められて2泊した関守の家。
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「蚤虱馬の尿(ばり)する枕もと」の句を詠んだ家だ。
一見、「ずいぶんな田舎に来たものだ」というマイナス感情の句に見えるが、さにあらず。
ひとつ屋根の下に馬と一緒に暮らすこの地の人々の心優しさをユーモアたっぷりに詠んだのだ。

山形勤務時代にここには数回来たことがあり、懐かしい。もう28年ぶりくらいになるだろうか。当時と全く変わっていない(重要文化財なのだから当然だけど)。
すこし寒いくらいだったので、いろりの火がありがたかった。
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しばらく管理人さんと雑談をして、お昼を食べに出る。
最初はネットで調べた、歩いて15分のところにある蕎麦屋に行くつもりだったが、管理人さんが向かいに美味しい店があるというので、お言葉に従った。
「封人の茶屋 時空」である。
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ここは農家が経営している週3回だけ開けるお店で、自家栽培のそば粉を手打ちで出している。やはり自前で養殖している岩魚の唐揚げもあるというので、そのセットを注文。山菜の天ぷらも付いて1000円だ。
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そばはとびきりうまいというわけではないが、十分おいしい。
それより、岩魚。唐揚げの味付けも絶妙なのか、これが絶品。単品でもう1尾追加してしまったほどだ。ごちそうさまでした。

堺田13:15発の普通新庄行きに乗る。
赤倉温泉、立小路、最上と過ぎ、次の大堀で小学生が10人ほど乗ってきたが、その次の鵜杉でみな下りてしまった。
瀬見温泉、東長沢あたりで晴れてきた。
この最上盆地の車窓風景もなかなか見応えがあった。
南新庄の手前で奥羽本線と合流するが、南新庄駅は陸羽西線のみの駅だ。

14:14新庄着。新庄にはミニ新幹線(山形新幹線)が乗り入れている。
次の酒田行きは同じ列車だ。だったら、なぜ最初から酒田行きにしないのか、ちょっと不思議。
待ち合わせ時間が20分以上あるので、少し構内を探検。
新幹線と在来線が同じ線路を走るミニ新幹線ならではの、在来線と新幹線が並んでいるというめずらしい光景を見ることができた。
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14:37新庄発。ここから陸羽西線。「奥の細道最上川ライン」の愛称がある。
この路線、山形勤務時代に鶴岡に出張する時、乗ったはずなのだが、確たる記憶がない。
ということで未乗車区間に分類してあった。今日乗れば、やっと正式に乗車区間に格上げできる。
走り始めて気づいたのだが、新庄からも鳥海山が大きく見えたのには、びっくり。
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最上峡が見たくて、右側の席に陣取ったのだが、肝心の最上川は防風林やトンネルのため、あまりよく見えない。白糸の滝も一瞬で通り過ぎてしまった。

清川でいきなり平地が開ける。庄内平野だ。
南野からはずっと鳥海山を眺めていた。平地からせり上がる優美な山体に雪渓の白い筋が幾本も入っている。ほれぼれする。
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頂上付近の雲は、明日は切れてくれるだろうか。
陸羽東線は余目(あまるめ)まで。ここからは羽越本線に入って酒田に向かう。
15:37酒田着。
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さっきは長袖に着替えるほど寒かったのに、ここは暑い。車内で肌着になって、半袖にまた着替えてしまった。

今夜の宿泊地、象潟までは普通秋田行き(2両編成、クハ700)に乗り換える。
次に乗るのは電車だ。
残念ながらロングシート。西日が当たって暑いが、海を見るため西側の席を選ぶ。
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しばらくは真正面に鳥海山を見て走る。さぞかし、運転士さんは気持ちのいいことだろう。
(磐越西線では磐梯山、小海線では浅間山をそれぞれ真正面に見て走る区間があった)
庄内も米どころ。見渡す限りの水田だ。

南鳥海駅の手前でゆるく左にカーブし、鳥海山はようやく車窓に現れる。
依然として頂上に雲があるが、遊佐あたりまで来ると、やけに大きい。
吹浦からやっと待望の日本海が左手の車窓に広がる。
穏やかで実に青い。
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かなたに平坦な飛島(とびしま)が浮かんでいた。

16:14象潟着。ここも2度目の訪問。30年ぶりくらいになる。
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象潟に来たら、蚶満寺(かんまんじ)に行かなくてはならない。しかし、歩くには少々距離がある。
観光案内所に聞いたら、レンタサイクルがあるという。
貸し出し時間は5時までだが、それを過ぎても鍵を駅員に返却してくれればいいという。
それはありがたい。

まず駅前の山形屋旅館に荷物だけ預け、軽快に寺まで出かけた。
象潟も芭蕉ゆかりの土地だ。
ここで詠んだのは「象潟や雨に西施がねぶの花」。解説は省略する。
このあたり、芭蕉が訪れた頃は九十九島と呼ばれる多くの島々が浮かぶ潟だった。松島とも並び称される景勝の地だったが、1804年の大地震で土地が隆起し、一夜のうちに陸地になってしまった。
現在、海は田んぼになり、島々は古墳群のように点在している。
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その一つに登ると、鳥海山が頂を見せてくれた。
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山に登る前日に、その姿をあちこちから眺めるというのは、相撲の仕切りのようなもので、だんだん気力が充実してくる。

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随分、日も傾いてきて、田んぼに島の影が映る。
子供たちも野外学習から帰るところだ。
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寺に戻る。拝観料は300円。5時を過ぎて、もう受付は閉まっていたが、掃除をしていた方がチケットを切ってくれた。
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境内には当時の歴史を語るさまざまな痕跡がある。
これは芭蕉句碑。
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宝暦年間に芭蕉の70回忌を記念して建立されたものだ。

おもしろいのが「木登り地蔵」
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これがお地蔵様にそっくりだからということだろう。
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鳥海山からすっかり雲がなくなった。
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明日に期待して宿に戻る。
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ここは女将さんが旅館を、ご主人が床屋を同じ建物の中でやっている珍しいところだ。
食事はこんな感じ。
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生ガキともずく、つぶ貝が売りのようだ。
いずれもうまかった。とくに、もずくのしゃぶしゃぶが美味だった。

東北の夜は涼しく、冷房いらず。すこしだけ窓を開けておくだけで熟睡できた。
さて、あすはいよいよ鳥海山に足を踏み入れる。
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