【2020年6月27日(土)】洞爺湖ハウス
この週末はかなり早い段階から、芦別岳(1726m)に行く計画を立てていたのだが、天気予報が思わしくなく予定を変更。
H君の提案で八雲町の小鉾(おぼこ)岳(792m)に行くことになった。
道南に行くなら、久しぶりに洞爺湖ハウスに泊まらないかと、O君から提案があり、彼の別荘に前泊することに決定。
当日、H君はいつも通り約束より10分早く、14:50に我が家に到着。
さらにO君、Yちゃんをピックアップして、国道230号を南下する。
この日の札幌は一日中、雨の予報だったのに、晴れ間すら見えている。
しかし、中山峠から見た羊蹄山(1898m)はすっぽりと雲の中で、やはり山はダメなんだなあと、ちょっと諦めがついた。
明日も雨こそ降らなくても、眺望は期待できないだろう。
途中、O君御用達の久保田農場の売店に立ち寄る。

ここで、ヤギのメリーちゃんに再会。

O君がお買い物をしている間、残る3人はメリーちゃんと戯れていた。
メリーちゃんに会うのは確か2年ぶりだが、すっかり大きくなっていた。
掲示されている写真を見ると、平成28年4月生まれだというから、もう4歳。
立派な大人だ。

Yちゃんが下に落ちている枯れ草を口元にかざしてみたが、全く食べる気配がない。
すると、店の親父さんがブロッコリーの葉っぱを持ってきてくれて、「これなら食べるよ」と渡してくれた。
ほんとにその通りで、メリーちゃんはものすごい勢いで食べ始めた。

ぐいぐい引っ張るので、手を噛まれてしまわないかと、Yちゃんの腰が引けてしまうほど。
食べ終わると、親父さん、今度はイタドリの葉っぱを持ってきた。
これも、あっという間に平らげてしまった。猛烈な食欲である。

親父さんによると、「この子は、落ちた葉っぱとかは食べないんだよ」と教えてくれた。
結構、贅沢なやつなのだ。
そうこうしているうちに、O君が「これがすごくうまいんだ」と言ってオロフレトマトを4玉買ってきた。いずれも大玉で、喰いでがありそうである。
続いて、お馴染み「どんどん亭」へ。
今回は雨がひどくなることも想定して、テラスでのバーベキューは諦めて、屋内でしゃぶしゃぶをすることに。
分量的には豚しゃぶ500グラムちょっと、ラムしゃぶ300グラムほど(いずれも冷凍)。
野菜も大量に調達して、これまた定番の町営温泉「洞爺いこいの家」へ。

新型コロナ対策で、入館時に代表者の氏名を書かされた。
入浴料は440円。安い分、シャンプー、石鹸の備え付けはない。

ただ、洞爺湖の眺めが抜群である。
残念ながら、他にお客さんもいたので、浴室からの写真はなし。
上がってから、みんなで撮影した。

この後、コンビニに寄って、酒類と明日の朝食を調達。
買い物はさっさと済ませ、皆さんが出て来るまでの間、私は性懲りもなく撮影に勤しんだ。
こちらはコンビニの真向いにあった洞爺郵便局。

その左の木造家屋は、ビューティーサロンきくち。

目の前を走る道路はぞろ目の道道66号線。岩内洞爺線だった。

洞爺湖ハウスには18時に到着。
ちょっと寒いし、お湯を沸かす必要もあり、ストーブに点火。

もう間もなく7月だというのに、さすが北海道だ。
野菜の裁断はすっかりYちゃんのお世話になってしまったが、18時半には宴会スタート。

肉はさすがルスツ豚。全員がうなる美味しさだった。
ラムも羊らしい濃厚さで、羊はこうでなくっちゃというくらいパンチがあった。
話に花が咲き、歌も出て、9時過ぎにはお開き。
9時半には布団に入った。
私はあっという間に沈没してしまった。
【2020年6月28日(日)】小鉾岳
夜中、隣で寝ていたH君が奇声を上げた。
どこか危ないヤセ尾根でも歩いている夢を見ているのだろうか。
次の言葉を待ったが、それきりだった。
彼は時々、寝言で奇声を発するらしく、奥さんに「びっくりするから、止めて」とよく叱られるそうだ。
5時前にトイレに立つと、H君を起こしてしまったようで「おはよう」と声をかけられた。
階下では、O君がスマホをいじっている。
やはり、オヤジどもの朝は早い。
パッキングも朝食も歯磨きも6時前には終えてしまった。
私は豆パンと新商品?の味噌ラーメンパン。

焼きそばパンとどっちにするか迷った末に挑戦してみたのだが、結果は撃沈。
ほとんど味がなく、俺はコロナか!と疑ってしまうくらいだった。
6時になったところで、別室で寝ていたYちゃんに起きてもらう。
彼女の準備が整ったところで、6:40に出発。
天気は霧雨。山もおそらくガスガスだろう。
豊浦ICから道央道にのり、八雲ICで下りる。
国道沿いのコンビニで昼食を調達。
野田生から道道573号に入る。
20km近く分け入って、行き止まりの手前を右折し、林道に入る。

登山口付近には順調に8時半過ぎに着いた。
しかし、車をどこに停めていいのか分からない。
林を抜けて牧草地に出たところにあるとヤマレコなどで読んだ記憶があるが、駐車スペースというより牧草地そのものだ。

その気になれば何百台も停められる。
もっとちゃんとしたところがあるのではと林道を先に進んでもらったが、ヤブっぽくなるばかりなので、バックで引き返す。

すると、Yちゃんが登山口の標識をイタドリのヤブの中から見つけてくれた。

お手柄である。
しかし、その登山口はほとんどイタドリに覆われ、パッと見、踏み跡も見つけられないほどになっていた。
とにかく、牧草地に戻り、車をそこに停めて、出発の準備。

登山口の状態を見てしまったので、これは上半身も雨露でずぶ濡れになると判断。
全員、雨具の上下を着込んだ。

ガスは何となく薄くなってきてはいるが、そうやすやすと消えてくれそうにはない。

雨具を着ると、かなり蒸し暑いが覚悟を決めて、9時ちょうどに出発。

まずは、さっきの林道を標識のあるところまで進む。

こんな感じで、かなりイタドリが道路に覆いかぶさっている。

そして、ここから登山道に入る。

いきなりのヤブ、いきなりの滑りやすい段差で、早速先頭O君がスリップしていた。

しかし、この段差をクリアすると、ヤブはすっかり消えてしまった。

ただ、猛烈な急登が始まった。

足元の葉っぱは、雨でしっかり濡れている。

道南の山らしくブナの木が生えていた。

倒木が結構多い。

これは何のつぼみか。

こいつは何の葉っぱか。

10分ほど我慢したが、あまりに暑いので、「脱ぎましょう」と声をかけた。

ヤブもなさそうだし、男どもは大賛成でみんな喜んで脱いだ。
Yちゃんだけはダニ防止のためか「もう少し着ています」と言って脱がなかった。
彼女は結局、ずっと着っぱなしだった。
この程度では暑くて耐えられなくなるほど、汗はかかないのだろう。
脱いだら、さっそく急登再開。

この山は標高差は600mに満たないが、なかなか歯ごたえがある。

でも、時折、傾斜が緩む平和通りがあるので、気分的に随分助かる。

15分ほど登ったところで、ギンリョウソウを発見。

この後、ギンリョウソウは山ほど見ることになる。

登山口の標識に「歩道」と書かれていただけあって、わりといい道だ。

しかし、間もなく熊の糞を発見。

今日は、芦別岳のつもりで用意した熊スプレーを持ってきているが、H君はしきりに笛を鳴らしていた。
この辺りは熊の巣窟なのだ。

今度はギンリョウソウの芽。こんな状態のは初めてみた。

コケ生した登山道を進む。

ギンリョウソウの群生。


そして急登。雨で滑りやすいので、下りが心配だ。

幽霊兄弟。

この山はギンリョウソウの山かと思ったら、うんこの山でもあった。

こいつは誰かが踏んでいる。
葉っぱの組み体操。

木の根元ではカタツムリが遊んでいた。

(つづく)
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【2020年6月13日(土)】富良野西岳
富良野西岳(1331m)から下山中。
稜線の登山道と富良野ロープウェイ山頂駅への道の分岐点に達したところだ。

ここを右折してゲレンデに向かうわけだが、かなり道に草が覆いかぶさっている。
あまり歩かれていないのだろうか。

分岐からゲレンデまでの標高差は80mほど。

その間にニリンソウの群落があった。

その隣にはタチツボスミレ。上手に棲み分けている。

ロープウェイ山頂駅の屋根が見えてきた。

とうとうこれで、いわゆる登山道はおしまいだ。

14:15、再びゲレンデに出た。

振り返ると、登山道に向かってゲートのような木柱が立っている。

その標識には、ゴンドラの山麓駅まで4.5kmとあった。

GPSで測ると、3.5kmしかないのだが。
それに標識の向きが逆のような気もする。
とにかく、ここからはゲレンデを下らなければならない。

景色はいいのだが

斜面が急すぎるのが厄介だ。

登山道を通らなければ、このゲレンデを下ってきたはずであった。

では、覚悟を決めて出発。

ロープウエイ山頂駅の横を下りて行く。

当然ながら、ゴンドラの1台は山頂駅に待機している。

北の峰方面。

作業道は傾斜が急だし、足元が固いので、極力まわりの草の中を歩いた。

しかもジグを切って、なるべくゆるやかに下るようにした。

下るに従って、町も近くなってくる。

十勝連峰も近い。

十勝岳(2077m)からは噴煙が上がっている。

やはり午前中より空気が澄んできているようだ。

作業道はこの傾斜。

しかも石ころだらけである。

これは花崗岩っぽい。

100mほど下ると、高速リフトの山頂駅が見えてきた。

あちらはロープウェイの支柱である。

スキーで下るとあっという間なんだろうけど、歩くのはつらい。

下りもつらいが、ここを登るのもきついし、飽きるだろう。

高速リフト山頂駅に到着。

駅の手前からは、左に下ることにした。

ちらっと新富良野プリンスホテルが見えた。

支柱の真下を通過。

イタドリをかきわけ下る。

もうすでに、下り疲れてふらふらである。

なんと言っても、ゲレンデを標高差540mも下らなくてはならないのだ。

スキーなら、その標高差は願ったりかなったりなんだけど。

とにかく、何度も立ち止まって、撮影休憩をとる。

ただ、斜面の草地が歩ける状態になっているのだけはありがたかった。

40分ほど経過。

かなり下ってきた気がする。

ロープウェイの下をくぐると、お花畑になった。

ルピナスである。

色とりどりのルピナスが咲いている。

原産地は欧米らしい。

こちらはホウノキの花。ハスのようである。

葉っぱがちょっと黄ばんでいた。

私。

お~、やっとふもとが見えてきた。

これで苦行は終了だ。

この先は同じ道は通らず、ホテルの裏側を回ることにする。

山麓駅にもちゃんと、ゴンドラが1台待機していた。

やはり西武系である。

また来るとしたら、ピストンでいいからロープウエイを使って楽をしたい。

ゲレンデをホテル方向に横断。

歩き始めたときに見た富良野西岳に再会。

あのポコが山頂だ。

ホテルの裏を通って、正面のエントランスに回り込んできた。

6月30日まで休業とのことであった。

ちょうど路線バスが到着し、登山者2人を乗せていった。

私より随分早く登った人なのだろうか。
頂上でも会わなかったし。
てなわけで、疲れ果てて駐車場に到着。

ゲレンデ下りは1時間弱であった。
結局、ここの温泉も休業中だったので、帰り道の途中にあるハイランドふらのに行くことにした。

大きなホテルなのかと思ったら、農村環境改善センターであった。

それでも、そこそこ混んでいた。

では、いざ出陣。

ここは弱アルカリ性低張性冷鉱泉。源泉の温度は9.8℃しかない。
沸かすのにかなりの燃料を消費しそうだ。
その分、ゆっくりと湯に浸かり、ギトギトの汗を洗い流した。
驚いたことに、外に出ると、雨が降り出していた。

どうやら夕立ちのようだ。

山中で出会った熟年夫婦はおそらく雨に当たってしまっただろう。
やはり早立ちするに越したことはないのだ。
こちらもしばらくは雨の中の運転となった。

でも、ちょっとだけ寄り道。富芦トンネルの脇にある林道を覗いてみた。

峠越えの旧道かと思ったら、そうではなかった。

もちろん通行止めである。

続いて三芦トンネルを通過。

三段滝の駐車場で10分ほど仮眠。
その後、桂沢ダムを見学しようとしたが、こちらも通行止め。

やむなく引き返す。

代わりに、桂沢国設スキー場を見にいった。

桂林橋を渡って

対岸へ。

ここは斜面が緩やかで、私向きかも。

すっかり雨も上がった。

次の冬には来てみようかな。

その頃にはコロナも治まっていますよう。

それにしてもキャンパーが多かった。

三笠市街で昭和建築を1軒撮影。


以前来たときに取り損ねていた物件だ。

これで満足。あとは道央道に乗ってまっすぐ札幌へ。
19時過ぎに帰宅できた。
それにしても標高差1000m、7時間近い山行はかなりしんどかった。
体力の衰えは明白だ。
次回の芦別岳周回12時間は大丈夫だろうか。
【行程】2020年6月13日
駐車場(8:29)~沢コース登山口(8:46)~第一渡渉地点(9:19)~標高565m地点(9:31休憩9:36)~雪渓地点(10:01)~水場(10:17)~尾根取り付き地点(10:37休憩10:45)~見晴台(11:19)~頂上(12:20撮影、昼食12:49)~1124mピーク横(13:28)~北の峰横(13:46)~ゴンドラ頂上駅(13:50)~登山道分岐(14:07)~ロープウエー山頂駅(14:15)~駐車場(15:12)
※所要時間:6時間43分(歩行時間:6時間10分)
※登った山:1座(富良野西岳)
※歩行距離:12.6km
※累積標高差:約1060m
【2020年6月13日(土)】富良野西岳
富良野西岳(1331m)に登頂し、スキー場コースを下っている。

2か所目の雪渓を通過したところだ。

20分ほどで標高1150m付近まで下ってきた。

正面は1124mピーク。

足元はエゾノリュウキンカのお花畑。

黄色がくっきりしているのも好きだが、葉っぱの形がかわいい。

やはり水気の多いところに生えている。

これはまさに球体。今にも生まれてきそうだ。

13:10過ぎ、初めて人とすれ違った。

熟年夫婦。スキー場のゲレンデを登ってきたのだろう。

この時間にまだこの辺りだと、下山は17時近くになるのではないか。

まあ、今は日が長いから暗くなることはないと思うが、十分気を付けてほしい。

富良野西岳の山頂はすっかり後ろに後退した。

その代わり、右前方に富良野盆地が見えてきた。

キバナコマノツメ。

その左に北の峰(1084m)。

あそこに行く前に1124mピークを巻かなくてはならない。

さっき遡上した沢の谷がV字形に開いてきた。

素晴らしい構図である。

富良野の町並みを望遠で。

富良野西岳の裏側。

さっき歩いた富良野西岳山頂に通じる稜線。

合わせるとこうなる。

1080mくらいまで下ると、道はほぼ平らになった。

振り返ると、シーラカンスのような雲が流れていた。

でも、間もなく砕けてしまった。

1124mピークが近づいてきた。

ハクサンチドリ。

アヒルに乗った少女。

の、成れの果て。

雲とたわむれるのは面白い。

さっきより空気が澄んできた気がする。

あの坂、よく登ったなあ。

ハッチ、まだつぼみですよ。

オオカメノキの花の影。

なんだか、この道はのどかで楽しい。

樹木の背が高くなってきた。


やっと1124mピークの横を通過。

このあとの登りは北の峰だけだ。

北の峰のピークは踏めるかなあ。

地形図を見ると、登山道はピークからずれているが、ほんの数十mって感じ。

何とかヤブこぎできる程度だといいのだが。

それはそうと、雲があちこちに発生してきた。

天気は午後から崩れる予報だったけど、その予兆だろうか。

これが富良野西岳のまさに裏側。ニセピークが2つあることが分かる。

断崖になっている表側と違って、表情がやさしい。

マイズルソウ。

この先が北の峰のピーク(1084m)なのだが、ヤブこぎできそうもないので登頂は断念した。

悔しいが仕方がない。

ツバメちゃんに慰めてもらおう。

あとはスキー場へ一直線だ。

黙々と歩を進める。

樺戸連峰に続いてタコチュー。

ダケカンバの乱舞。

幹から直接誕生。

というわけで、頂上からほぼ1時間でスキー場のリフト山頂駅に出た。

ここが登山道の出口。

ちょんと突き出したピークを左手に見ながら

まずはリフト降り場に行ってみた。

夏のスキー場はなんとなくわびしい。

でも、ここはさすがに整備が行き届いている感じがする。

さすが天下のFURANOだ。

下山するには、おそらくこのままゲレンデを下ればいいのだろうけど、踏み跡がさっき見えたピークに通じているので行ってみた。

改めて地形図を見るとピーク経由でも下山できそうだ。

結局、小ピーク経由の登山道で下ることにした。

キバナコマノツメを愛でつつ、ちょっとした坂を登る。

小ピークの高さは1070mほど。何の標識もなかった。

戻らず、このまま前進。

ゲレンデを歩くより、登山道の方がいい。

もう、このあたりで富良野西岳の山頂も見納めかな。

ハクサンフウロ。

正面は1042mピーク。

道はあの山を越えて、北側のゲレンデまで通じているらしい。

しかし、そこまで行くと戻ってくるのが大変なので、今日は途中からあのゲレンデを下る。

あそこに戻らないといけないのだ。

右手に約1040mのピーク(1042mピークとは別)。

ここからまだ750mも下らなければならない。

苦行である。

今度は十勝連峰を正面に見ながら歩く形になる。

ふもとまでは、多分あと1時間以上かかるだろうなあ。

地形図を見ながらちょっと不安になってきた。

1042mピークへ登り始める手前で右に下りる道を行くつもりなのだが、もしかして廃道になっていたりしないだろうか。

GPS上は分岐点のあるはずの地点まで来たのだが、それらしき道は見当たらない。
げげ、マジかよ。
さっきのピークからも130mも下ってきているんだから、戻るなんて冗談じゃない。
念のため、もう少し進んでみたら、ヤブに紛れて標識が現れた。

大袈裟でなく、命拾いした感覚になった。

もしこの道がなかったら、このまま直進して、北側のゲレンデまで行くしかないと思っていただけに助かった。

(つづく)
【2020年6月13日(土)】富良野西岳
富良野西岳(1331m)の頂上近くまで登ってきた。

標高1240mを超えると、稜線はしばらくほぼ平坦になる。

時刻は間もなく正午。

左前方には富良野盆地が展開している。

正面は新緑越しの芦別岳(1726m)。

天気は完璧。全く変わる気配がない。

右手の斜面に残雪が見えてきた。

紅白のめでたい風景である。

雪渓は巨大な岩の露頭の下に襟のように残っていた。

6月も中旬ともなると、1200mを超えてもしっかり新緑になっている。

ニセピークを振り返る。

あそこは南北ゲレンデの境界にあたる1042mピーク。

最後の登りに差し掛かった。

その途端、前方に山頂の標柱が見えてきた。

意外に近いことに感激。

あと、ひと息である。

頂上付近の東斜面は断崖になっている。

眼下に見えるこんもりは815mピークであろう。

山裾にも雪が点々と残っている。

南東の方角はるか向こうに山の連なりが見えるのだが、どこなのかは不明。

オトギリソウに似たこの花々も調べ切れなかった。

右手には、富良野西岳の弟分、1237mピーク。

あそこに登山道は通じていない。

さあ、頂上は目前。

あと1分だ。

それにしても激しい壁だこと。

頂上に立つ前に一度振り返って

12:20、無事に登頂。

4時間近くかかってしまった。

しかし、この絶景を独り占めである。

飯の前にしっかり撮影を済ませよう。
こちらはまず歩いてきた稜線。

富良野盆地と十勝連峰。

富良野の町並み。中央の一番大きな建物は富良野協会病院である。

今日の出発点、新富良野プリンスホテル。

北の方角はるかに大雪連峰。

その右にトムラウシ山(2141m)。

そのさらに右には、オプタテシケ山(2013m)、美瑛富士(1888m)、美瑛岳(2052m)が連なる。

この画面は、左から美瑛岳、十勝岳(2077m)、富良野岳(1912m)。

富良野岳の手前は前富良野岳(1625m)。右は境山(1837m)だろう。

境山の右に見えるピラミッドは下ホロカメットク山(1668m)。

その右は南富良野を経て十勝方面。

今立っている頂上の先っちょはこうなっている。

さて南に展開する芦別岳なのだが、未踏の山だけにちょっと難しい。

もちろん最も高いのが芦別岳の山頂で、その右は約1700mのピークである。
これはすぐに分かった。

芦別岳の右に屹立するピラミッドだが、最初は夕張マッターホルンかと思ったが、芦別岳のすぐ横にあるので、おそらく中岳(1493m)なのであろう。

その左奥に見えているのは夕張岳かなと一瞬思ったが、これもそんなわけはなく無名の1436m峰に違いない。

中岳の右手前に見えるボコボコした山は、これまた無名の1272m峰だと思われる。

そのさらに右、間近にあるのは布部岳(1338m)。ここよりも高い。

布部岳の右に飛び出た突起は、これまた無名で約1260mのピークである。

どんどん右に移って、さっきも見た1237mピーク。

ここは一等三角点らしいのだが、ちょうど「一」の部分が欠けていた。

記念撮影を済ませてから

簡易イスに腰掛けて、お昼にした。
今日は、残りご飯をおにぎりにして、残り物をタッパーに詰めてきた。

晴天の下、360度の大パノラマに囲まれて食べるランチは至福のひとときである。

しかも誰にも邪魔にされないのがいい。

30分ほどのんびりして、名残惜しいが下山開始。

保護するコンクリートが土砂流出のため宙に浮いてしまった三角点に別れを告げた。

下山は、来た方向と逆の南側に下る。

こちら側に下ると山頂の断崖がよく分かる。

岩場にめずらしくタチツボスミレが咲いていた。

それでは、さらばじゃ。

地形図では、稜線上に少しだけ道が通じているように書かれているが

どうやら廃道になっているみたいだった。

入口らしきものすら確認できないまま、道は稜線を外れ始めた。
そこにはカウベルが吊り下げられていた。

ここから一気に200mほど下らなければならない。

間もなく雪渓が現れた。

今回初の雪渓歩きだが、10mほどだったので夏道を見失うことはなかった。

これだけ天気がいいと雪渓歩きも気持ちがいい。

踵を踏み込んで元気に下った。
すぐに夏道に復帰。

どんどん標高を下げながら

山頂を振り返る。

白と青と緑。心が洗われる。

ただ、路面は雪解け水で沢状態。

靴が汚れるので、なるべく避けて歩いた。

滑るのもいやだし。
沢コースでもないのに、「沢下り」である。

水気が多いので、ツバメオモトが咲いている。

そして、もちろんエゾノリュウキンカも。

何かたまっているのかな。

雲ひとつない青空のもと

軽快に下っていく。

大きな段差をロープで下ると

またまた雪渓にぶち当たった。

踏み抜き穴があったので、慎重に横断した。

(つづく)
【2020年6月13日(土)】富良野西岳
富良野西岳(1331m)の沢コースを登っている。

ちょうど、沢を詰め終わり、尾根に取り付くところだ。
振り返ると、さっき見えた岩峰が、さらに尖った姿を見せている。

足元にはツバメオモト。

さっき休んでから1時間経ったし、沢登りもやっと終わったので、急斜面だがここでしばしひと息入れることにした。

いやいや、疲れたばい。

8分ほど休んで出発。道はつづら折りで登っていく。

この斜面にもツツジが多い。

しかも色が濃い。

たくましげなダケカンバを見ていると

力をもらえる。

だんだん例の岩峰の高さまで登ってきた。

あの向こうには富良野スキー場のゲレンデが展開しているはずである。

植生的にはダケカンバが優勢になってきた。

誰か、この子の名前を教えてください。

わらびの友達?にご挨拶をしていたら

いきなり展望が開け、十勝連峰が現れた。
中央から左へ富良野岳(1912m)、十勝岳(2077m)、美瑛岳(2052m)である。

眼下には富良野の町並み。

ちょっぴり雪も残っていた。

ここまで来ると、例の岩峰がピークでも何でもなかったことが分かる。

なんだかちょっと不思議。でも同じ現象は天塩岳でも経験した。

この山は本当にツツジがきれいである。

地面にも花びらがたくさん落ちている。

エンレイソウはそんなに多くなかった。

再び展望が開けた。

十勝連峰の雪もだいぶなくなったと改めて思う。

美瑛岳(左)と十勝岳(右)。

中央の赤い屋根は北海道中心標の石碑がある富良野小学校。
駅前のホテル「ラビスタ富良野ヒルズ」も見える。

中央は空知川にかかる五条大橋。

樺戸連峰に続き、こちらにもまだチシマザクラが咲いていた。

振り返ると、見晴台の看板が掛かっていた。

しかし、ここから頂上まで50分とは。
最後の渡渉地点(頂上まで2時間15分と書いてあった)から、まだ40分も歩いていないのに。
かなり得した気分だ。

オオカメノキ。

ゼンマイのお化け。

最終渡渉地点の標高が約810m。
そこから標高差300mほどの急登が続く。

標高1070mくらいまで来ると、雪が解けたばかりという雰囲気になってきた。

まだ緑が少なく、草が寝たままだ。

実際まだ雪が残っている場所もある。


でも、雪が登山道を覆っていることはなかった。

振り返ると、北の峰の台地。

今日はそよ風程度だが、普段は風が強いのだろう。

やっと傾斜が緩んできた。

標高が高くなって、暑さもだんだん感じなくなってきた。

南富良野方面の山々。

根曲りダケカンバ。

緑の中のピンクはよく目立つ。

オオカメノキの白もすがすがしい。

どうやら稜線に出たようだ。

同時に大展望が広がる。

眼下は豊かな富良野盆地。

正面にはニセピークが見えている。

この先は眺めのいい稜線歩きだ。

農地もすっかり緑に染まっている。

プリンスホテルが意外に近く見える。

右手(西側)の方も見えるようになってきた。

このとんがりは、お隣の1124mピークであろう。

はるか遠くに暑寒別岳(1376m)を望むことができた。

稜線の右側を回り込む。

標高1180m付近の超塩基性岩類。
この露頭には細粒凝灰岩,黒色泥岩,枕状溶岩など様々な岩相が見られるという。

再び富良野盆地を一望。

中央の白い建物はふらの西病院。その左奥は富良野緑峰高校である。

北東の方角に旭岳(2291m)が確認できた。

今年初見参のゴゼンタチバナ。

オトギリソウに似ているけど、花が白い。誰だろう?

これは凝灰岩の露頭。

いや~快晴ですわ。

またピークが見えてきたが、あれもまだ頂上ではない。

最後に標高差80mほどの登りが待っているはずだ。

それにしても、このだらだら稜線がかなり長い。

その分、岩石の露頭も多い。

まだ森林限界には達していない。

何度も拝める十勝連峰。

雪渓に沿って進む。

それでも今年は、雪は少な目なのだろう。

再度、富良野市街。市役所なども見えている。

中には何が入っているのかな?

稜線の西側は時折風が吹いて気持ちがいい。

またまた岩石の露頭。

富良野西岳は主に白亜紀の地層から成っているそうだ。

ニセピークを過ぎたら、いきなり正面に芦別岳(1726m)が現れた。

何と言う、荘厳なお姿なのだろう。

北アルプスの山を彷彿とさせる峻厳さであった。
足元の岩石にも注目しながら進む。

この白い岩は何だろう。花崗岩ではなさそうだけど。

(つづく)
【2020年6月13日(土)】富良野西岳
富良野西岳(1331m)を沢コースで登っている。

ひっそりとニリンソウ。

本日2度目の渡渉。

さっき濡らしたスパッツをめくり上げていたので、きちんと装着し直す。
飛び石渡りは無理なので、スパッツに浸水を防いでもらうしかない。
どっぷん作戦で無事にクリア。

でも、どんどん渡渉は繰り返される。

水量はかなり多くて、必ず足首以上はある。

渡渉に比べれば、こんな倒木はものの数ではない。

1時間ほど歩いたので、何もないところだが、ここで休憩をとる。

先週の樺戸連峰が疲れたのは休憩を取る回数が少なかったからだろうと反省し、きちんと1時間ごとに休むことにしたのだ。
石に腰掛けて、5分ほどボーっとしてから出発。

渡渉の回数はしばらく数えていたのだが

結局分からなくなってしまった。

おそらく20回近くあったと思う。

こういう道に出ると、これで渡渉は終わったのかなと思うのだが

全くそんなことはなかった。

ツツジを愛でる平和なひととき。

しばらく右岸を歩いている。

右岸には大きな岩が結構あった。

ちょっと変わったシダ?なので撮っておきました。

ツツジ1輪。

標高はすでに600mを超えた。

しかし、沢は一向に細くならない。

前方に巨大な落石がゴロリ。

倒木はちゃんと切断してくれていた。

このかわいい葉っぱのスミレはキバナノコマノツメ。

ここは左側をへつって進む。

雪解け水がほとばしっている。

やはりこの時期は水量が多い。

エゾノリュキンカを発見!

へつりの最後はロープで登山道に戻る。

右頭上に岩峰が見えてきた。

1064mピークかと思っていたが、後で違うことが判明した。

だんだん、どこを歩けばいいのか分からなくなってきた。

ピンテに頼らず、道がなくなったらどんどん渡渉する。

どこを歩いても、標高800mあたりまでは沢伝いに行くことは間違いないのだから。

石は花崗岩なのかしら。

白く光っている。

そこにフキの緑がよく映える。

右岸と左岸を行ったり来たり。

エゾノリュウキンカとサンカヨウの競演に出会えた。

エゾノリュウキンカは友達タイプだが、サンカヨウは恋人にしたい。

古株。

この山のツツジは遠くから見ると、時々ピンテかと思ってしまうくらい色が濃い。

やや、沢が流木で埋もれている。

しかも雪渓が残っている。

ちょっと面倒だが、雪渓を登って、流木をやり過ごした。

ここは中洲状になっているところを進む。

このルートがこんなにワイルドだとは思わなかった。

これはエゾノリュウキンカの咲く前かな。

今度は倒木。雪のせいだろうか。

もちろん、ピンテに従う。

またしても残雪。

でも、その下はエゾノリュウキンカの楽園だった。

この花と雪渓はとても相性がいい。

雪と水が大好きな花なのだ。

しかも、まとまって咲くので、とっても華やか。

渡渉の疲れをしばし癒してくれた。

それにしても、ここでこんなに雪があるということは、上流にもたくさんあるのだろうか。

でも、それは杞憂で、この先、雪渓に行く手を阻まれることはなかった。

いや~実に美しい。花が咲いたら、さぞかし見栄えがするだろう。

さて、また渡渉の繰り返しだ。

もう、どっぷんは気にならないが、川底の石が滑るのだけは気を付けないとならない。

振り返ると、十勝連峰の一部が見えた。あの尖っているのは下ホロカメットク山(1668m)だろうか。

わ~、アイヌねぎだ~。でも今日は収穫しない。

おや、湧き水がある。

沢コース分岐の概念図に出ていた仙人の泉だ。

奥の伏流水から水を引いているわけだ。

ちょうど500ccボトルのアクエリアスがなくなるところだったので、それを飲み干して、この湧き水を補給した。
ついでに一口。うん、冷たくて、うまい。少しだけ生き返った。

これでエキノコックスの心配も、水が足りなくなる心配もなくなった。

標高750mまで詰め上げてきた。

この葉っぱはマルバダケブキだろうか。

そのつぼみ? 自信はないけど。

このルート、かなりお花を楽しめる。

それにしても、昨年買ったこの登山靴は全然、水が中に浸みてこない。
最初に、防水スプレーを1缶分かけてしまったのが効いているのだろう。

このなめらかな葉っぱはツバメオモト。

6月になって、だいぶ花の名前も思い出してきた。

そろそろ沢筋の道は終わりだろうか。

沢の岩も大きくなってきたことだし。

右岸で、大きな段差を超えるところがあり、ここで沢ともおさらばかなと思ったが

そうは問屋が卸さなかった。

ただ、しばし沢からは離れて

普通の道を歩く。

水から離れたところにもエゾノリュウキンカ。
つい最近まで雪渓が残っていたのかもしれない。

おや、左岸から右岸への渡渉地点になにやら木札がぶら下がっている。

読みにくいが「西岳方向 2時間15分」と書かれている。

ここで沢とは別れて、尾根に取り付くようだ。
(つづく)
【2020年6月13日(土)】富良野西岳
この週末は日曜日に用事ができたので、土曜日に単独で登ることになった。
さて、どこに行こうか。札幌近郊は、もうほとんど行き尽してしまった。
条件は、H君がすでに登ってしまっているはずの山だ。
思い付いたのが、富良野西岳(1331m)だった。
リサーチしてみると、登山口まで車で2時間。
登山道は沢コースとスキー場コースがあり、周回できるようだ。これは素晴らしい。
ヤマレコのレポによると、渡渉もあるらしいので沢靴もザックに詰め込んで、朝6時に出発した。
天気は、やや霞んでいるが快晴。今日は札幌で最高気温が30℃まで上がる予報だ。
アクエリアス2㍑と麦茶350ccを持参したが、これで間に合うだろうか。
足りなくなった場合に備えて、空になったボトルに沢水を詰めて行けばいい。
エキノコックスが心配だが、おそらく飲まないで済むはずだ。
最初から随分赤信号に邪魔されたが、札幌ICには20分ほどで着いた。
道央道は最近やけに車が少ない。まだ自粛能が完全に払拭されていないのだろうか。
走りながら、朝食のサンドイッチをいただく。
7時前に幾春別を通過。
途中、桂沢湖周辺にあったはずの桂沢観光ホテルの跡地を確認しようとしたが、事前にちゃんと調べておかなかったせいで、特定することはできなかった。
三芦トンネル、富芦トンネルを抜け、8時頃、富良野市街に入った。
スキー場入口手前のセコマで行動食を調達。豆やグミ、飴玉などを購入した。
北の峰町で国道38号を右折すると、正面に富良野スキー場が現れた。

ちなみに、この「道道北の峰線」はナンバーで言うとちょうど800号であった。
それはともかく、突き当りの富良野スキー場北の峰ターミナルに到着したが、登山口がよく分からない。
車を停めて、もう一度スマホで調べ直すと、登山口はここではなく、もう少し南にある富良野ロープウェー乗り場の方だった。
富良野スキー場はコースが大きく2つに分かれていたのだ。全然知らなかった。
改めて登山口に向かうと、正面に富良野西岳(左)と尖った北の峰(1084m)が現れた。

新富良野プリンスホテルの駐車場に到着したのは8:15。

予定より15分も遅れてしまった。
広い駐車場には、10台以上の車が停まっていたが、みな登山者だろうか。
それとも宿泊客か。
サンダルから登山靴に履き替え、念入りにストレッチをして、8時半に出発。
駐車場のすぐ横に、富良野温泉紫彩の湯の入口がある。

帰りはここに入ればいいや。なんて便利な山なんだ。
ロープウェー乗り場のあるところが登山口なのだが、そこまで300mほど歩かなければならない。
歩き初めてすぐ、右手に富良野ドラマ館なるレトロな建物があった。

昭和17年(1942年)に「下富良野駅」から「富良野駅」に改称された当時の駅舎を再現した建物なのだそうだ。
富良野プリンスホテルが運営するショップで、富良野を舞台にした倉本聰のテレビドラマ「北の国から」「優しい時間」「風のガーデン」のオリジナルグッズを販売しているという。

しかし、新型コロナの関係で休業中だった。
開店していても、先を急ぐので立ち寄りはしなかっただろうけど。
その右奥に、ニングルテラスなるエリアへのゲートがあったが、こちらも休業中。

15棟のログハウスが連なる、ロマンチックなショッピング空間なのだそうだ。
若いカップルのデートには、いいところなのかもしれない。
富良野スキー場は北側のゲレンデ下に富良野プリンスホテル、南側のゲレンデ下に新富良野プリンスホテルがあり、その間はピクニックガーデンとして整備されている。
いろんなことを初めて知った。

少し歩くと、左手にドーム状の建物が見えてきた。
きっと、あれが温泉施設なのだろう。下山後が楽しみだ。

ハイスピードリフト1の横を通過。

5分かからずにロープウェー乗り場に到着した。
ここまで車で来られたようだ。ま、いっか。

駐車場の手前に小さく、富良野西岳登山口の標識があった。

ロープウェーのまわりに、なにやら人が集まっている。

このロープウェーは夏季も運行するのだが、今年はコロナの関係で6月いっぱいお休みするようだ。

建物の間を通って、ゲレンデに出ると、集まっている方々から、挨拶をされた。

これから山開きの神事をするそうだ。

「登山道はこちらでいいんですよね~」と確認して進む。

ゲレンデは広く、作業道もたくさんあるので、確信が持てないのである。

とりあえず、この道を行けばいいらしい。

振り返ると、早くも十勝連峰を望むことができた。

リフトの向こうには目指す富良野西岳が見えている。標高差は1000mもある。
この時点では気づいていなかったが、左端の小さな突起が山頂であった。

ゲレンデの中の作業道を登っていく。

再度振り返ると、雲をかぶったトムラウシ山(2141m)も見えてきた。

新富良野プリンスホテルの裏側。

スキー場コースと沢コースとの分岐がどこなのか、よく分からないが、とにかく左寄りに進んでいったら、それらしき道があった。

このドラム缶を過ぎると

西岳概念図の標識が登場。

どうやら、ここが分岐のようだ。

しばらくは林道のような道である。

暑いので、日蔭は助かる。

熱がこもるので帽子も脱いでしまった。

左手に砂防ダムが見えてきた。ここまで駐車場から20分。

ダムの手前に入林届のポストがあった。

もちろん、記入。あんなに車があったのに今日は誰も入っていないようで、私の前は10日に1人だけだった。

砂防ダムを乗り越えて進む。

この先は沢の音を聞きながら歩くことになる。

雪解けのせいか、路面はかなりぬかるんでいる。

水が流れているところもある。

こういうところが一番困る。なるべく草の中を行く。

迎えてくれた最初の花はクルマバソウ。

間もなく、沢が寄り添ってきた。

かなりの水量だ。

靴を濡らさずに渡渉できるだろうか。

くぐった倒木には

サルノコシカケの赤ちゃんがたくさん生まれていた。

沢の水はとても澄んでいる。

この子たちはズダヤクシュかな。

背の低い草花が地面を覆っているこういう雰囲気が好きだ。

いきなりピンテが続出してきたが、なんの兆しだろう。

一応、道は間違っていないようだ。

分かりにくいがシカの足跡。

名も知らぬ花。

名も知らぬ草。

最初の渡渉地点に到達した。

水量も少なく難なくクリア。

「なんだ、口ほどもない」と思ったら、これはただの枝沢だった。

次の渡渉も枝沢なので、ひとまたぎ。水が透き通っている。

その先で本流のすぐ脇に出た。

なんとここを渡らなければいけないようだ。

飛び石を伝っていけば何とかなりそうなのだが、石にコケがむしていて滑るのである。
せっかく沢靴を持ってきたのだから履き替えればいいのだが、渡り始めてしまったので戻るのも面倒だ。
結局、最後は飛び石は諦め、どっぷんして通過した。

スパッツをしていたが、両足の足首に若干浸水してしまった。
(つづく)
【2020年6月7日(日)】樺戸連峰
浦臼山(718m)で10分ほど休憩して出発。

ライオンズクラブの山頂標識も通過。

さあ、三角点探しである。
右手のやぶの中にあることは分かっているが、問題はどこから突入するか。
地図ロイドで現在地を確認しながら進むと、右手にピンテを発見。
同じことを考える人はいるもので、おそらく三角点に行きたい人のための印だろう。
中に入り、やぶの薄いところを左に10mほど進むと、ちゃんとありました。

Yちゃんも大喜びである。

すぐやぶから脱出して、登山道に復帰。

5分ほど下ったところから、滝川市街を望むことができた。

こちらは奈井江方面。

奥に見えたこの山は同定できなかった。

眼下の牧草地の下端に赤い屋根の家。浦臼の市街地から見えた丘の上の家かも。

標高を徐々に下げていく。

湿度が下がってきたのか、下界もよく見えるようになってきた。

何でも撮りますよ。

フキの花。フキノトウの成れの果てである。

奈井江火発。

樺戸連峰の案内板があった場所を14:40過ぎに通過。

ゴールまであと2.5kmだ。

旧林道を黙々と下る。

イタドリ地帯を通過。


バギバギの木(笑)も通過。

もう6時間以上歩き続けて、疲労もピークだが、あとは惰性だ。

往路では見えなかった浦臼山山頂方面。

タニウツギのところまで下ってきた。

カラスアゲハが蜜を吸っているのを、これもYちゃんが発見。
やはり目がいい。

この沢は暗渠で渡る。

何の花?

見覚えのある砂防ダム。

路面の流れで靴を洗う。

登山口近くのゲートを通過。

というわけで、15:15過ぎにゴール。

下りは2時間45分かかった。
いや~疲れました。15.5kmも歩かされた。
車にザックを放り込み、靴を脱いでいると、1台のワゴン車が到着。
30、40代くらいの男性が下りて、「ここ走れますか?」と話しかけてきた。
トレランの人らしい。神居尻山を周回した後、ここまで偵察に来たのだという。
「樺戸山までは快適ですが、その先はササの切株が尖っていて難しいと思います」
と今日の感想をそのままお伝えした。
帰りの林道は晴れていて、朝と比べて全然怖くなかった。
里に出たら、車を停めて、廃屋コレクション。

町場まで下りてくると、朝は雲に隠れていた樺戸連峰を一望することができた。

下山後の温泉は当初、浦臼温泉に行くつもりだったが、反対方向だし、やっぱり止めた。
帰る途中にある月形温泉も考えたが、3年前に行ったことがある。
この近くで行ったことのない温泉は?と考えて、新しのつ温泉たっぷの湯を思い出した。
あそこなら、そんなに遠回りにならない。
中間地点だから、運転時間も分散されて眠気防止にもなる。決めた!
ルートはナビに任せて直行。
16時半前に到着した。

「たっぷの湯」とは近くの地名「達布」から採っているのだろう。

17:15待ち合わせにして、いざ入湯。

ここは、含ヨウ素-ナトリウム-塩化物強塩温泉(弱アルカリ性高張性高温泉)。

源泉の温度は52.5度で、ph値は7.5だそうだ。

湯は若干黄色みを帯びており、かなり塩味がした。

(HPより)
ゆっくり浸かって、かなり疲れが取れた。

(HPより)
湯上りドリングはお試し商品で100円だったファンタルロ。

コロンビアで国民的人気だそうだ。それなりに美味しかった。
記念撮影のテーマは「たっぷの湯」にちなんで「たっぷり」。

ここから北西の方角に樺戸山地のスカイラインを望むことができた。

左からピンネシリ、待根山、双耳峰っぽい隈根尻山、そして樺戸山。
隈根尻と樺戸の間は深くえぐれており、まさに大キレットと呼ぶにふさわしい状況を呈していた。
それでは17:20出発。Yちゃんは19時前に自宅に送り届けることができた。
帰りに、O君家に寄って、この前の忘れ物を受け取ろうとしたが、呼び鈴にも電話にも反応がなく、断念。
Yちゃんからおすそ分けしてもらったタケノコをO君に渡すことができなかった。
玄関先に置いてくればよかった。
そんなこんなで19時半に帰宅。
ロングコースでかなり消耗したが、Yちゃんのおかげで楽しい山旅であった。
ありがとうございました。
【行程】2020年6月7日
登山口(8:36)~案内板(9:18)~浦臼山(9:56休憩10:04)~782mピーク(10:22)~844mピーク(10:51)~861mピーク(11:05)~樺戸山(11:18休憩11:26)~隈根尻山(12:00昼食12:29)~樺戸山(12:58休憩13:02)~浦臼山(14:06休憩14:17)~三角点(14:21)~案内板(14:42)~登山口(15:17)
※所要時間:6時間41分(歩行時間:5時間40分)
※登った山:3座(浦臼山、樺戸山、隈根尻山)
※歩行距離:15.5km
※累積標高差:約1010m
【2020年6月7日(日)】樺戸連峰
樺戸連峰3座を踏破して、往路を引き返している。

足元の黄色い花はキンポウゲの仲間だろうか。

ダケカンバのダンスを愛でながら下っていく。

浦臼の町並みの向こうに奈井江火力発電所が見えた。

この枯れ木ですが

シカの横顔に見えません?

うわ~、844mピークの登りが見えてきた。

登りはいやだよう。

しかし、登らないと帰れない。

あの三日月湖は新沼かな。

おお、だいぶ雲の高さが上がって、芦別岳(1726m)から夕張マッターホルン(1415m)を経て夕張岳(1668)までの山並みが姿を現した。

これも、視力1.5のYちゃんが見つけてくれた。
今回は彼女にすっかりお世話になりっぱなしである。
で、これがその芦別岳。

マッターホルン。

夕張岳。

なんと南の方角には、札幌周辺の山々も見えるではないか。

樽前山(左、1041m)に風不死岳(右、1102m)。

雲の上に恵庭岳(1320m)。

天気がよくなって、いろいろ見えくるのでうれしい。

とはいえ、登りが楽になるわけではない。

隈根尻山(971m)もだいぶ遠ざかった。

根曲り竹ならぬ、根曲りダケカンバ。

844mピークに立つと、さらに先の稜線が展開した。

相変わらずアップダウンの繰り返しだ。

今回はピストンなのに、実は同じ道を歩いている気がしない。

天気が変わったからかしら。

ハクサンフウロも元気を取り戻した気がする。

ただ、疲れていることには変わりない。

登りは息も絶え絶えだ。

782mピークへの道。

まだ、あのバギーとバイクの人は作業中だろうか。

もし、いたら乗っけて行ってもらいたいくらいだ(笑)

浦臼の町並みがさっきよりくっきり見える。

782mピークは尖っている。

ツタの絡まる木と再会。

空が真っ青になった。

タコの口。

844mピーク方面を振り返る。

すっかり疲れてしまったので、Yちゃんに先に行ってもらった。

往路の忘れ物、ミヤマカラマツ。

Yちゃんはなんと登りで走っている。若い、さすがアスリートだ。

私は追いつく気はさらさらなく、写真を撮り続ける。

間もなく、バギーが置いてあった場所まで戻ってきた。

しかし、彼らはすでに帰った後だった。

残念ながら乗せてもらうことはできなかった(笑)

しかし、後はもうほとんど下るだけだ。

課題は三角点探しを残すのみである。

くキンポウゲの仲間かな。

時刻は14時を回った。

樺戸山(890m)を出てから1時間が経過した。

浦臼山(718m)はもうすぐそこである。

14時過ぎに浦臼山に到着。

ここで少し休ませてもらった。
簡易イスを取り出して腰を下ろしたが、Yちゃんは座らない。大した体力だ。
(つづく)
【2020年6月7日(日)】樺戸連峰
浦臼山(718m)、樺戸山(890m)を踏破して、最終目的地の隈根尻山(971m)を目指している。

(これは樺戸山)
隈根尻への登りはほぼ3段になっており、1段目の始まりでロープが現れた。

ただ、このロープはわけの分からない場所にある。道が切り替わったのだろうか。

シラネアオイに元気づけられ、必死で登る。

振り返ると、だんだん樺戸山の全貌が明らかになってきた。

1段目の頂上はあそこだ。

何度も立ち止まって振り返る。あれが今日歩いてきた稜線だ。

1段目を登り切り、テラス越しに樺戸山を眺める。

カバとは全く関係ないのだが、こうして見ると、カバに見えないこともない。

シラネアオイは急斜面がお好きのようだ。

この子は誰の赤ちゃんだろう。

2段目を通過。

この忘れ物はキツネさんかな。

細長いタケノコを発見! でも、これはあまりおいしくなさそうだ。

ふと振り向くと、こんな急登でもYちゃんは収穫活動を忘れていなかった。

これは細いけど、まあまあかな。

シラネアオイ通り。

清楚である。

赤い葉っぱ。

完全な直登だ。

685m峰の後ろから三角山(708m)が姿を現した。

3段目を登り切ると、分岐の道標が立っていた。

右は、待根山(1002m)への道。

入り口こそまだ道の痕跡が残っているけど、おそらくこの先は完全にやぶと化しているのだろう。
あそこまで線をつなげたい気もするが、不可能だ。

隈根尻の頂上はもうすぐそこである。

天国への階段を登ると

そこに古い標柱と、樺戸山と同じ携帯型の新しい山名板があった。

時刻はちょうど正午。登山口からほぼ3時間半かかった。

立派な方位盤があったので、ここに腰を下ろして昼食とする。

その前にすべきことをしておかないと。
山頂から西に続く尾根。地形図には少し道が続いているように書かれていたが、完全に消滅していた。

南の方角。中央右は三角山。

南東に樺戸山。随分低く、ここからだと、大した山には見えない。

浦臼山への稜線。あそこを延々戻らなければならないとは・・・

北にピンネシリ(左、1100m)と待根山(右)。昨年登ったが、ガスで真っ白だった。

北西には神居尻山(947m)。あそこに登ったのは3年前の猛烈に暑い日だった。

神居尻、ピンネシリ、待根。3役そろい踏み。

この標柱は1975年に建立したものらしい。
ライオンズクラブは関係なさそうだ。

360度のパノラマを楽しんだ後、記念撮影。
今回のYちゃんのテーマは「隈」にちなんでクマだそうだ。

というわけで、やっと昼食。今日もコンビニおにぎりだ。

それにしても1000mに満たない山に3時間半もかかるとは、北海道の山は本当に遠い。

30分ほど休んで出発。

さて、帰りは何時間かかるだろう。

目標は2時間半。15時半には登山口に戻っていたい。

さようなら、ピンネシリさん。

まずは、樺戸山への大キレットをもう一度クリアしなくてはならない。

標高差170mを一気に下る。

樺戸山の斜面の植生の違いがおもしろい。
雪崩がどんどん山を削っているような気がする。

振り返ると、Yちゃんが横向きで下りている。

下りは苦手なのだそうだ。

所々に小さな残雪がある。

孤高のダケカンバ。

それにしても、お尻の前に靴に穴が開いてしまいそうな、ササの切り口だ。

Yちゃんも「トレランシューズにしないで本当によかった」とH君、O君に感謝していた。

1段目のテラスでひと息。

あそこが樺戸山と隈根尻山の鞍部。

何でも撮ります。

間もなく、あれを登ることになります。

使い物にならないロープを通過。

下りに15分近くかかった。

左の谷は、於札内川の源流部。

そこに雪渓が残っていた。

鞍部の突起。

ようし、登るぞ~!

とっくに汗だくだけど。

朝方は雨が降っていて寒かったので、Yちゃんに防寒具を用意するよう伝えたが、全く必要なかった。

ロープが苔むしている。

でも、上の方のロープは使わせてもらった。

13時前、やっとこさっとこ樺戸山に到着。

往路は34分かかったが、復路は29分だった。
息が切れたので、標石に腰掛けて休ませてもらった。
山に登り始めた頃より確実に体力が落ちているような気がする。
「山は逃げない」と言うのは迷信で、実は「山は確実に逃げる」のである。
体力の問題もそうだし、自然災害で登れなくなることもある。
今年などは新型コロナで登れなくなった。
もちろん危険な時は撤退するが、「登れる時に登っておく」。これが鉄則だ。
よくよく標柱を見ると、登山道がここまで開通したのは昭和46年(1971年)8月4日とある。

比較的新しい山だったのだ。

5分弱の休憩で出発。

この先もアップダウンだが、下り基調なので、気分的には少し楽だ。

オオカメノキに見送られ、気合を入れる。

帰り道は復習、撮りもらしたものを回収していく。

二つに分かれている三日月湖は、浦臼町の東沼と西沼だろうか。

赤味を帯びた平和通り。

ササのない路面はほんとに天国だ。

広大な石狩平野。

チシマザクラよ、さようなら~

(つづく)
【2020年6月7日(日)】樺戸連峰
浦臼山(718m)を後にして、樺戸山(890m)に向かっている。

目の前に見えているのは884mピーク手前の小ピーク。

引き続き道はわりとしっかりしている。

赤い若葉を愛でつつ。

10:40頃、小ピークを通過。

ここからしばらくは比較的平坦な道になる。

右手にピンネシリ(左、1100m)と待根山(右、1002m)。
あちらにはかつて隈根尻山(971m)から縦走路がつながっていたが、今は廃道になっている。

樺戸山から南に延びる尾根。

北西の風が強いはずなのに、なぜか木は北に傾いている。不思議だ。

すでに森林限界に達しているようで、ありがたいことにずっと見晴しがいい。

やっと844mピークが見えてきた。

その直前が急登だ。

ロープが設置されているほど。

右手に隈根尻山。このあたりまで来てやっと、あの山が隈根尻だと確信が持てた。

844mピークへ最後の登り。

左手は深く切れ落ちている。

沿道にハクサンフウロ。

884mピークの手前で単独男性とすれ違った。

私は気づかなかったが、Yちゃんによれば汗だくだったという。
アップダウンのピストンが相当応えているのだろう。
10:50頃、844mピークを通過。

ピークを回り込むと、隈根尻山への登りが見えてしまった。

あれは相当きつそうだ。

あれが隈根尻だということは、樺戸山(890m)はあの右の高いピークだろうか。

左前方の斜面にはまだ細い雪渓が残っている。

来週にはなくなっているかもしれない。

右手、隈根尻山の山腹に林道が切られているのが見える。

あれも、おそらくもう廃道になっているのだろう。
ピンネシリと待根山が並んで見えてきた。

こうなると、おっぱい山である。
O君、H君に脅されたササの断端は今のところ、ほとんどない。

本当にあるのだろうか。
このあたりまで登ってくると、まだつぼみのままのツツジもあった。

開いたばかりのツツジの花は真っ赤だ。

露に濡れて健気である。

道が真っすぐになった。

ここで、今度は単独女性とすれ違った。

車が3台あったので、これで計算は合う。

この先にはもう誰もいないはずだ。

なんと、まだチシマザクラが咲いていた。

春の名残である。

足元の道がちょっと崩れて、土の中の石が露出していた。

樺戸山への最後のこぶとなる861mピークを11時過ぎに通過。

ここでやっと樺戸山の姿をすっきりと拝むことができた。

あそこがここより30mも高いようには見えないのだが。
右は隈根尻。

ピンネシリと待根山はお姿がいいので何度も撮ってしまう。

樺戸山から南に延びる尾根。

隈根尻。

さあ、樺戸山は目前だ。

周辺はササとダケカンバの世界である。

ダケカンバは本数が少ないので、1本1本の形がよく分かる。

自然が制作したアートのようだ。

陽が射すと新緑が実に鮮やかである。

樺戸山へ最後の登りに差し掛かった。

左手には石狩平野を流れる石狩川。

かなり青空が広くなってきた。

樺戸山から南に延びる尾根の東側はかなりの急斜面である。

歩いてきた稜線を振り返る。

ツツジに励まされ

ラストスパート。

と思ったら、もう少しあった。

バンザーイ、なしよ(これ、分かるかなあ)。

オオカメノキにご挨拶したところで

樺戸山に登頂。時刻は11:18、浦臼山から75分ほど。
コースタイムより15分速かった。

この三角点みたいな標石もライオンズクラブが設置したものだった。

まずは眺望を確認。北東の方角に先週登った音江連山。右端はイルムケップ山(864m)だろう。

南尾根。

忘れずに記念撮影。山名板が手に持てるようになっていたので、活用させていただいた。
Yちゃんは山名にちなんで、「カバ」のイメージだそうである。

8分ほどの休憩で出発。

コースタイムでは、あそこまで60分ということだったが、そんなにはかからないだろう。

今、11時半前なので、目標は正午だ。

ここから90mほど下り170m登らなければならないが、いきなりのササ。

ロープはあるものの、猛烈に急な坂で、かつササの断端がひどい。

O君、H君が言っていたのは、ここのことだったのだ。

何度も立ち止まって、体勢を整える。

転んだら、お尻の穴が増えてしまうからだ。

Yちゃんも慎重に下ってくる。

10分近くかかって鞍部まで達した。

ここからの登り返しが相当にシビアだ。

一応、樺戸山を振り返っておく。

朝は雨だったのに、すっかり青空になった。

南西の方角に立ちはだかるのは、おそらく685m峰(左)。

樺戸山の山腹は急すぎて雪崩の頻発地帯なのか、草付きの悪いところがある。

わりと迫力のある斜面だ。

登りはやはり超ハードである。

ササを刈った後にフキやイタドリが跋扈している。

ササの断端はこんなに長い。

尖っているし、早くも次世代が顔を出している。

あな、おそろしや。
(つづく)
【2020年6月7日(日)】樺戸連峰
浦臼山(718m)を目指して登っている。

時々、展望が開ける。見えている湖は砂川遊水池である。
Yちゃんに「あれはマガンで有名な宮島沼だよ~」と言ったが、全く方向が違っていた。
ウソをついてごめんなさい。

標高650mを超えて、やっと道は平たんになった。

今度は左手に浦臼山の山裾と奈井江方面の田園風景が展開した。

水田が谷戸の奥まで入り込んでいるのが分かる。

石狩平野の中央を石狩川が貫いている。

足元にはハクサンチドリを発見!

この真っ赤なのはタニウツギのつぼみだろう。

平和な白樺通りを進む。

木々の間からピンネシリ(1100m)らしき山が見えるのだが、うまく写真が撮れない。

左手の法面が樹木の根っこの土が流出して空洞になっている。

なにか動物が潜んでいそうだ。

マイズルソウの群落。

この尾根道はとても広くて歩きやすい。

浦臼山はバイクでも山頂まで行けてしまう山なのか。

実際に、あのバイクとバギーの姿が見えないところを見ると、行ってしまったのだろう。

右前方に目立つ山が現れた。

あれは最終目的地である隈根尻山(971m)だろうか、それとも手前の樺戸山(890m)だろうか。この時点では、まだ確定できていない。

またまたハクサンチドリ。

この時点では、名前を思い出せず、Yちゃんには「思い出すまで、しばらく待ってね」と言うしかなかった。

しばらく平和通りなので、うれしい。

時々、展望が開けるのも、なおうれしい。

あそこに見える三日月湖はトイ沼だろうか。

あのスキー場は神威岳(467m)のかもい岳国際スキー場だと思われる。

気持ちのいい新緑の白樺並木だ。

曇ってはいるが、浦臼山にかかっていた雲は取れたようだ。

わお、今年初めてちゃんと咲いているシラネアオイに出会った。

そして、タチツボスミレの大群落。

また、左手が開けたので、覗いてみた。

すると、Yちゃんが「何かありますよ」と教えてくれた。

ほんとだ。よく見ると、浦臼ライオンズクラブが昭和45年(1970年)8月1日に設置した山頂標識であった。

でも、Yちゃんはちゃんとネットで情報収集してきたらしく、「この標識に騙されるな、本当の山頂はもっと先だと書いてありました」という。
ここが山頂だと思い込んで、引き返してしまう人もいるのだろう。
私はろくに調べてこなかったので、ボーっと歩いていたのだが、地図ロイドを確認すると、すでに三角点は過ぎている。
この先に山頂があるということは、三角点より高い場所なのだろう。
となると、ここから500mほど先に720mの等高線があるが、そのあたりだろうか。
それにしても、この標識は死角にあるので、全く気付かなかった。
Yちゃんのおかげである。
三角点の確認は帰りにすることにして前進する。
すると、ものの1分で、山頂に着いてしまった。

ここはとくにピークでもなければ、眺望もまるでない。
そんな場所に標識を立てたのは、ちょっと広く場所が取れたからだろうか。

よく見ると、この方位盤も浦臼ライオンズクラブが同じ年の8月25日に設置している。

浦臼町が設置した山名板の方が新しいように見えるので、町が「追認」したようにも思えるが、もっと古い山名板がかつてここにあって、それを更新しただけかもしれないので、断定はできない。
いずれにしろ、ちょっと不思議な配置ではあった。
ちなみに、この方位盤の変な模様は、たぶんライオンズクラブの頭文字「L」だろう。

とにかく、1座目ゲット。記念撮影をして初めての休憩をとる。

簡易イスを取り出し、腰を下ろした。
ここまで標高差470mを1時間20分かけて登ってきたが、Yちゃんがアスリートで疲れた様子を全く見せないので、休まずに来てしまった。
私の方が疲れてしまった。
ボンゴ豆をいくつか口に放り込み、10分弱で出発。
前方には樺戸山に至るまでのアップダウンがはっきりと見える。

地形図で確認すると、782m、844m、861mと大きなピークが3つもある。
さっきも見えたあの山は、それらとはやや距離が離れているので、やはり隈根尻だろうか。

とにかく、まだまだ先は長い。

幸い、しばらくは平坦な道である。

バギーとバイクはもっと先まで行っているようだ。

左手の谷底に雪渓が見える。

その表面は枯れ葉や枝などで覆われていた。

再び、シラネアオイ。

しっかり花びらが開いていると実に美しい。

ハクサンチドリも負けていない。

登る前に地形図をさっと見たとき、この平坦な道が印象に残って、音江連峰より楽だと思ってしまった。これが間違いのもとであった。

もう年なのだから、ちゃんと事前学習をしてから出かけるようにしないと。

浦臼山を振り返る。

浦臼山から約800m、15分近く歩いたところにバギーとバイクが停めてあった。

すぐ脇のササやぶの中から、がさごそと音がする。
やはり彼らの目的はタケノコ採りだったようだ。
エンジンが掛けっぱなしなのは、その音を戻る場所の目標にしているのだろう。
ここから782mピークの本格的な登りとなる。

バイクではもう登れないような道だ。

いきなりササの背丈が高くなった。

さっきの標識からピークまでの標高差は40mほど。

左前方に664mピークが見下ろせた。

最初のピークは5分ほどでクリア。

もちろん、山名板などはなく、「登った山」は稼げない。

右手にオンコの木。さすがに音江連山のように保護はされていなかった。

ここから50m近く下る。

新緑が目にまぶしい。

なんか陽が射してきたのかな。

青空も覗いてきた。

これはラッキーだ。

ラッキーついでに、ピンネシリ(奥)と待根山(右手前、1002m)も姿を現した。

ピンネシリの頂上にはちゃんと純白の気象レーダーがのっかっている。

前方には次なる844mピークが迫る。

左側の東斜面は樹木がほとんどない。完全な雪崩地帯だ。

生えているのは、ダケカンバ2本のみ。

こいつは随分ツタに絡まれているが生きているのだろうか。

それにしても、結構きつそうだ。

ピークに「前樺戸山」なって山名板があるといいのだけど、あるとは思えない。

稜線の道を振り返る。

さっき前方に見えていた664mピークも後方に回った。

(つづく)
【2020年6月7日(日)】樺戸連峰
今週は、H君が所用のため不参加なので、私が行き先を考えなくてはならない。
でも、H君から「隈根尻はいいよ~、3座稼げるから」と言われていたので、あっさりそこに決めた。
地図やヤマレコで確認したら、距離は音江連山周回よりも3kmほど長いものの、アップダウンはそれほどでもないと思ったからだ。
しかし、それは大間違いであったことを後で知ることになる。
H君、O君、Yちゃん、Mちゃんと私の5人で「南区グレートトラバース」というfacebookのグループを作っているのだが、そこで呼びかけたところ、YちゃんとMちゃんが参加してくれることになった。
しかし、当日は起きてびっくり。なんと小雨が降っている。
確か天気予報は、晴れ時々曇りだったはずだが。
目的地の浦臼町の予報を見ると、終日曇りで降水確率は40%。
現地も雨だったら断念することにして、一応出発することに決めた。
朝6時に中央区の自宅を出発。ワイパーを時々動かしながら、Yちゃんの家に向かって南下すると、川沿あたりで雨は止み、路面も乾いている。
こっちは雨降っていなかったのか。
雨は、もしかしたら札幌の一部のみの局所的なものなのかもしれない。
そう期待しよう。
6時半前にYちゃん家に到着すると、もう彼女は家の外に出て待っていてくれた。
すぐに反転して、中央区にあるMちゃん家へ。
到着したよ~とメールを送ろうとしたら、彼女から不参加のメールが入っていた。
雨なので、サッカーの練習に行く息子さんの送迎をしなければならなくなり、行けなくなってしまったとのことだった。
それは実に残念。結局、2人だけの山行ということになった。
国道275号を北上する最中も、小雨が降ったり、晴れ間が見えたり、落ち着きのない天気だ。
周辺の山々にも低い雲がかかっており、あまりテンションが上がらない。
これは登っても、ガスで真っ白だなあ。
風が吹いて寒かったりして。
雨になったら、同窓生がやっている旭川の旭山コナールにでも行こうかなあなどと考えていたが、どうやら天気は持ちそうだ。
浦臼市街に入って、最終コンビニで昼食のおにぎりを調達、トイレも済ませた。
今回はマスクを忘れてしまったので、お店の方にご迷惑だなと、ちょっと緊張した。
登山口はコンビニのすぐ先の道を左折し、行き止まりまで行けばいい。
正面に見えてきた浦臼山(718m)はほとんど雲に隠れていた。

今日は修行じゃわい、と覚悟する。

道は途中からダートとなり、天気のせいか森が暗く非常に心細い。
今にもクマが出てきそうな雰囲気だ。

しかし、登山口に到着すると、車が3台ほど停まっていて、めちゃめちゃホッとした。
タケノコ採りの人なのかもしれないが、先行者がいるのはありがたい。
登山口の標高は約245m。
今日は浦臼山、樺戸山(890m)を経て隈根尻山(971m)まで歩き、来た道を引き返す15km超のピストンコースである。
累積標高差は1000m以上。頑張らなくては。
ちなみに、今日のYちゃんの靴とスパッツはおニューである。

昨年夏にここを登ったことがあるH君とO君から「ササを刈った断端がひどいのでハイカットの靴の方がいい」と、アドバイスがあったので昨日買ってきたのだそうだ。
これが本当に後でものを言うことになる。
軽くストレッチを済ませて、8時半すぎに出発。
登山道は砂防ダムの手前を左に延びている。

入林届のポストがあったので、記入しておく。

車が3台あるのに、記入されているのは1人だけ。
しかも、6:45に出発している。随分早起きだ。

道はもともとは林道だったという雰囲気。

出発してすぐ、オフロードバイクとバギーを積んだトラックが到着した。
どういう方々なのだろうか。

今金町のカニカン岳にもあった、道標をくわえた樹木を発見。

その先でチェーンのゲートが現れた。この先は車両通行止めだそうだ。

フキの陰に隠れていた「樺戸連峰登山口」の標識をYちゃんが見つけてくれた。

もともと林道だったので、勾配は比較的緩い。

この前までフキノトウの季節だったのに、もうフキがこんなに成長している。

その上を、こんなに大きなカタツムリがゆっくりと進んでいた。

ここでも、量は少ないが、いきなりクマ?の糞。

でも、こんなに人が歩いているので、きっと出ては来ないだろう。

沿道にクルマバソウ。

心が和む。

この時期の葉っぱは虫食いもなく、とても美しい。

路面は所々ぬかるんでいるが、ちゃんと避けて歩ける。

タニウツギも咲いていた。

Yちゃんも「きれい」と喜んでいた。

この白い花は分かりません。

出発して10数分後に、さっきのバギーが追いついてきた。

ゲートのカギを開けられたわけなので、おそらく許可された方なのだろう。

後ろにカゴがあるので、やはりタケノコ採りかしら。

続いて、バイクも。2人はお仲間のようだ。

2台を見送った後は、排ガスの臭いがしばらく立ち込めた。

でも、我々にお辞儀をして通過していったので、いやな気分にはならなかった。

旧林道はしばらく続く。

フキのほか、イタドリももうこんなに成長している。

ちょうど9時に展望が開けた。砂川方面だろうか。

背後でナナカマドが白い花を咲かせていた。

不気味な枯れ木が現れた。

先端は人為的に切断された痕跡がある。なぜこんな切り方をしたのか謎だ。

しかも、その枝が道を遮断していた。

バギーはこの程度の障害なら乗り越えられるようだ。
「バギバギっと折っていくんじゃないんだね」とボケたら、Yちゃんは大笑いしてくれた。
優しい子だ。

間もなく、単独男性が早くも下りてきた。

風体からして登山者ではなく、タケノコ採りだろう。
あのザックの中にタケノコが大量に詰まっているに違いない。

再び、展望が開けたのは9:10過ぎ。依然として、どんよりと曇っている。

登山口から40分ちょっとで、「樺戸連峰案内板」と書かれた看板のある場所まで来た。
ここで標高はちょうど500m。

もしかしたら、以前はここまで車で入れたのかもしれない。
案内板をよく見ると、コースタイムが書かれている。
ここから浦臼山までが50分、樺戸山へはさらに90分、その先隈根尻山までがちょっと読み取りにくいが60分か。
合計すると3時間20分。そんなにかかるのか!
道はここから細くなり、いきなり急になるが、バギーたちはまだ先まで行っている。

左手に反射板が現れた。

Yちゃんに「これ、何ですか?」と聞かれて、まともに答えられなかったので調べてみた。
どうやら、放送や通信用のマイクロ波反射板というもののようだ。
電力会社や通信会社、放送局などが見通しがきかない山間部で、電波を反射させるために設置したものだという。
全然知らなかった。ボーっと生きてちゃいかんね。

またまた展望が開けた。

北東に見えているのは426mピークであろう。

すぐ下は於札内川の谷か。

このあたりかなりの急登だ。

ツツジに励まされて登る。

タチツボスミレを撮るのは、かがまないといけないので、ちょっとつらい。

野イチゴも同じこと。

わ、すごい群落。

登り始めてからちょうど1時間が経過した。

(つづく)
【2020年5月31日(日)】音江連山
剣山(529m)、音江山(795m)、無名山(804m)と3座を制覇して、最後の沖里河山(802m)に向かっている。

背丈の高いササの道を下る。

正面に見えているのが沖里河山だ。

途中、巨大なサツノコシカケを発見。

直径30cmくらいあった。

間もなく、道は登りに転じる。

これを登り切れば、あとは下るだけだ。

ロープが出てきたが、頼るほどの傾斜ではない。

途中、4~5人の青年グループがアイヌネギを収穫していた。
売るのか、自家消費するのか。ものすごい量だった。

いったん抜かしたが、すぐ追いついてきたので、先に行ってもらった。

無名山から30分かからずに、沖里河山に到着。

山頂は立派な展望台になっていて

ここにも巨大な山名板があった。

とにかく、展望が素晴らしい。例によって順に見ていこう。
すぐとなりが神居山(799m)のカムイスキーリンクス。

東は大雪山。

左奥に見えるのは天塩岳かなと思ったら、ニセイカウシュッペ山(1883m)であった。

その上に半月が浮かぶ。

眼下は深川の水田地帯。深川は米どころである。

奥に見える山はおそらくポロシリ山(730m)だろう。

蛇行する石狩川。

その向こうに暑寒別岳(1492m)を主峰とする増毛山地。

西にはさっき登った音江山。

今朝渡った深川橋。

北東の方角には旭川の町並みも望めた。

展望台の柵は観光案内図になっている。


なぜかUFOが。

古い望遠鏡があったので、さっそくYちゃんが覗いている。

なんとまだ壊れておらず、わりと見えるという。

でも、コインの投入口はふさがれていた。

すぐ下に駐車場が見えて、何台も車が停まっていた。
これじゃあ、山というより観光展望台である。

最後に記念撮影(変顔バージョン)。

ここには15分ほど滞在して、出発。
半分読めなくなった道標が傾いてササに埋もれていた。

駐車場まではしっかりした階段である。

駐車場までの標高差はわずか20mほど。

あっという間に着いてしまった。

この説明板は意味が分かりにくいのだが、かつて音江山が「エン・ルム・ケップ(尖った頭を削った神の台座)」、沖里河山が「オトゥイェポク(そびえ立つ山より細流のある郷)」と呼ばれていたそうで、いつの間にか東西取り違えて、現在のような名前になったらしい。

理由は不明とのことである。
さて、ここからは延々、林道歩きだ。

当初は、女性陣2人を待たせて、男性陣で車を取り行き、女性陣をここまで迎えに来るという案もあったのだが、2人とも大丈夫だというので、4人そろって歩いて下ることにした。

駐車場には山菜採りの方への遭難防止の看板があった。
登山者への呼びかけはないのは、遭難は山菜取りの人ばかりだからなのだろう。

駐車場から見た下界の眺め。

この林道はイルムケップスカイラインと呼ばれていて、昭和46年(1971年)に当時の深川市長の発案で建設されたと、さっきの案内板に書いてあった。

工事は陸上自衛隊旭川施設大隊が行ったそうだ。

間もなく林道分岐。ここは左折する。
ふもと(豊泉)まで4.5kmもあるようだ。

1時間以上かかりそうだけど、まあ下るだけなのだから、いいだろう。

ずっとおしゃべりをしながら歩いていたが、かなり下ってきたところで視界が開け、正面に剣山と思しき突起が見えてきた。

H君は「やはり、あれは山だね」と太鼓判を押していた。

私もこれで心置きなく「登った山」に加算できる。

ところで、沖里河温泉の跡はまだ先なのだろうか。

左手に分岐する林道があったが、この奥ではなさそうだ。

さらに下る。

すると、左手に小さな祠が。

左に小さな石碑が見えるが、そこには「山神」と刻まれていた。

近くに遺構のような石もあったが、用途は不明である。

というわけでイルムケップスカイラインは終了。

この分岐を左に行くと、どうやら温泉跡のようだ。

皆さん疲れているだろうに付き合わせて申し訳ない。

早速、左手にゴミ捨て場状態になった残骸が現れた。車庫だったのだろうか。

今度は、右手の待合川を渡る丸木橋。とても、これを行く気にはならない。

対岸に崩れ落ちた建物の屋根が見える。温泉跡だ。

屋根付きの橋がつぶれていた。
ここには「♨鳩乃湯」とでも書かれていたのだろうか。

しかし、これでは、とても向こう岸には渡れない。

望遠で覗くだけで諦めて引き返すことにした。

詳しいことは分からないが、ここは含硼酸重炭酸土ルイ食塩泉というめずらしい泉質の温泉で、茶褐色を呈し、強炭酸味・サビ臭があったらしい。

往年はこんな建物だったようだ。

(ネットより)
明治38年(1905年)の開業で、混浴の内風呂しかなかったという。
廃業したのはいつなのか分からないが、この様子ではもう20年以上は経っている気がする。
というわけで見学は終了し、スカイライン入口まで戻ってきた。

登山道に戻ってきたのは15時前。
ほぼ6時間の行程で、計画通りだった。さすがH君。

ザックを車に放り込んで、深川イルム温泉アグリ工房まあぶに向かう。
近くだったので、すぐに着いた。

ここは源泉の温度が18.6℃、ph値7.6の低張性弱アルカリ性冷鉱泉である。

なぜかウルトラマンが迎えてくれた。

それでは出陣。

かけ湯をしてすぐに露天へ。
誰もおらず独占だ~と思っていたら、次々に人が来る。
でも、誰も湯船に入って来ないで、ベンチで休んだりしている。
ソーシャルディスタンスを取っているのかなと思ったが、浴室に戻って分かった。
ものすごく室内が暑いのである。
彼らは私たちが湯から出るのを待っていたのではなく、単に涼みに出てきただけだったわけだ。
こちらも体を洗って、さっと内湯にも入り、40分ほどで上がった。
女性陣を待つ間、ノンアルで喉を潤す。

全員そろったところで16:20頃に出発。
途中、砂川SAに寄って、18時半くらいに帰宅。
アップダウンが激しく、かなり応えたが、メンバー的にも新鮮な楽しい山旅であった。
【行程】2020年5月31日
登山口(8:58)~剣山(9:35)~音江山分岐(10:36休憩10:50)~音江山(11:16撮影11:28)~音江山分岐(11:51)~762mピーク(12:09)~無名山(12:36昼食13:04)~沖里河山(13:27撮影13:43)~駐車場(13:46)~沖里河温泉跡(14:52)~登山口(14:55)
※所要時間:5時間57分(歩行時間:4時間40分)
※登った山:4座(剣山、音江山、無名山、沖里河山)
※歩行距離:11.8km
※累積標高差:約900m
【2020年5月31日(日)】音江連山
音江山(795m)に登頂し、無名山(804m)に向かっている。

正面には沖里河山(802m)が見えている。

音江山と小ピークの鞍部まで下りてきた。

形のいい葉っぱなので撮りました。名前は分からない。

右手に芦別岳(1726m)を主峰とする峰々。

左手には深川の市街地と石狩川。

とても贅沢な稜線歩きである。

今見えているのは、左が無名山、右が762mピーク。

小ピークを越えて、さっき休んだ分岐へと下る。

音江山から23分で分岐点に到着。

そのまま通過する。

無名山までは、あと1.5kmだ。

その手前に立ちはだかるのが762mピーク。

右手に刈り込み道が分岐していたので、行ってみたらイチイ(オンコ)の木が現れ、その回りのササが刈られていた。

おそらくオンコの木を守っているのだろう。
無名山の頂上部は、かなりの急登のようだ。

完璧なエンレイソウを発見!

これも見事。Mちゃんもしっかり写真を撮っていた。

随所にある「音江連山登山コース」の標柱。

またまたオンコの木。

そして純白の花を咲かせたオオカメノキ。

この花の名前が分かりそうで分からないのである。

あなたはだあれ?

さあ、またまた登りが始まった。

無名山も近づいてきた。

左は沖里河山。この2座の間は意外に近そうだ。

沖里河山のアップ。たおやかな山容である。

深川の町の向こうに横たわるのはポロシリ山(730m)だろうか。

路傍に、まだ葉っぱだけだが、コバイケイソウの群落が現れた。

こちらはナナカマド。

12:10に762mピークを通過。

どうせならここにも名前を付けてほしかった。
向こうが「無名山」なら、こっちは標高をとって「名無似山」とか。

ここから50m下って、100m登らなければならない。

なかなか手ごわそうだ。

この子も不思議な葉っぱである。

お馴染みマイズルソウ。

わりと大きなアイヌネギを発見! もちろんMちゃんが収穫した。

このあたりはもうアイヌネギ畑である。


採り放題だが、キリがないので、2人ともこれ以上は手を出さないことにしたようだ。


それにしても、今日はずっと雲ひとつない。

これはコバイケイソウではなく、もしかしたらバイケイソウかもしれない。

Yちゃんが発見したザゼンソウ。

有名な花だが、私はあまり出会ったことがないので、うれしかった。

無名山への急登が始まった。

私とMちゃんはちょっと遅れ気味。

Mちゃんは疲れてきたのか、ちょっと前傾気味なので、もっと背筋を伸ばした方が楽だよと教えてあげた。

坂の途中、景色のいいところで小休止。
暑寒別岳(1492m)で目の保養。

まだ、雪山だ。

中央の尖峰は群別岳(1376m)、その左は奥徳富岳(1346m)だろう。

蛇行する石狩川。

さっき登った音江山。

その奥に樺戸山地。一番高いのがピンネシリ(1100m)だ。

それら全景。

もう一度、石狩川。

イルムケップ山(864m)の登山口にあたるエルムダム。

というわけで、762mピークから30分弱で無名山に登頂。

それにしてもデカい山名板だこと。

音江山との格差は歴然としている。
ここまで来ると、「差別」と言ってもいい。
ただ、地形図の表記は804mなのに、ここには805mとある。
私は、地形図の数字を採用させていただく。
それはともかく、ここからの眺望は素晴らしい。
順に見ていこう。
南にイルムケップ山。

ここから縦走路があったそうだが、今は廃道になっている。

南東の方角に十勝連峰。左から美瑛富士(1888m)、美瑛岳(2052m)、そして中央右に噴煙を上げる十勝岳(2077m)。

右端に聳えるのは富良野岳(1912m)。

左端はオプタケシケ山(2012m)。

美瑛富士と美瑛岳。

主峰、十勝岳。

上ホロカメットク山(1920m)やら上富良野岳(1912m)やら。

東には大雪山。右端が旭岳(2291m)である。

そのずっと右にトムラウシ山(2141m)。

名だたる名峰がそろい踏みであった。

満足したところで、昼食。
今日はあぶり焼きソーセージのおにぎりと稲荷寿司である。

結構、お腹いっぱいになった。
食後のウォーミングアップは深川盆地。

登ってきた道。

目指す沖里河山。

それでは13時過ぎに出発。

沖里河山までは1.2kmだ。

空はいつまでも青い。

この先はそんなにアップダウンはきつくないのでありがたい。

これなら30分くらいで着くだろう。

立派な樹木たちも応援してくれているし。



ここまで5時間ほど歩いているが、Mちゃんも元気そうなので、少し安心。

これなら、沖里河山山頂直下の駐車場で待っていてもらわなくても、みんなで一緒に登山口まで下れそうだ。

(つづく)
【2020年5月31日(日)】音江連山
音江連山を縦走中。1座目の剣山(529m)を過ぎたところだ。

沿道にはツツジの花が咲いている。


そして足元には、アイヌねぎ(行者ニンニク)。

小さいけれど、マイズルソウに混じってたくさん生えている。

女性陣はせっせと収穫しながら進んだ。

倒木が目立ってきた。

そうした木には大きなサルノコシカケ。

今日もいい天気。若葉が青空に映える。

左手に沖里河山(左、802m)が現れた。

望遠にすると、頂上の大きな山名板が確認できる。

こちらは音江連山の最高峰、無名山(804m)。

やはり眺望が得られるとうれしい。

音江山への分岐がある稜線までは最後に標高差70mほどの急登がある。
ここが踏ん張りどころである。

足元は一面のマイズルソウ。

中にはもう花を付けているものもあった。

この子はエンレイソウ。茶色い花が一輪。

そして、この清純な花はサンカヨウ。

振り返ると、田植えが始まった深川の町並みが見えた。いい季節になった。

やっと稜線が見えてきた。

10時半過ぎ、登山口から1時間40分ほどかけて音江山分岐に到着した。

ここにも「音江山→」の道標は全くない。
不思議に思って、後日、深川市教育委員会生涯学習スポーツ課に問い合わせてみた。
すると、音江連山登山コースを設定した際、この分岐点から音江山への道は「測量路」の扱いで、登山禁止になっていたらしい。
(教育委員会はコース設定を平成20年(2008年)頃と言っていたが、道標に「鶴の湯」とあるのをみると、実際はもっと古いだろう。鶴の湯は2004年にはとっくに廃業していたのだから)
実際、ネットで「登山禁止」と書かれた資料も発見することもできた。
しかし、現地に「立入禁止」の看板があるわけでもなく、それどころか、きれいにササ刈りされていて、登山者は自由に歩いている。
誰がササ刈りしているのか?と尋ねてみたら、登山コースは教育委員会が業者に委託してやっているが、音江山への道については分からないという。
「測量路」というからには、国土地理院かなと思い、そちらにも問い合わせてみたが、北海道地方測量部では「うちが管理している道ではない」とのことだった。
業者がこちらも登山コースだと勘違いしてやってしまったのか(ちょっと考えにくいが)、地元の山岳会「深川岳悠会」が自主的にやっているのか(岳悠会と教育委員会は一緒に山開きを開催したりして交流があるので、教育委員会が知らないわけもない。よって、これも考えにくい)、謎は深まるばかりである。
いずれにしろ、一般登山者にとって、この音江山の扱いはいかにも不自然。
実際、音江山への道は登山者にふつうに歩かれているのだし、現状では万が一道迷い遭難などがあった場合、道標を設置していない市の責任が問われかねない。
現状を追認した対応をした方がいいのでは、と僭越ながら要望しておいた。
とにかく、ここで大休止。
沖里河山まで2.6kmか。思ったより遠くはない。

ここから残雪輝く暑寒別岳(1376m)が望めた。

前方に無名山が見える位置に腰を下ろした。

無名山への登山道は、かなりの急登だ。

行動食を食べていると、沖里河山の方から6人のグループがやってきた。
手に手に収穫物(タケノコ)を入れたレジ袋を提げている。
H君は「まだ早いらしい」と言っていたが、それなりには生えているようだ。
彼らは、きっと車で沖里河山の頂上直下まで来て、音江山までピストンするのだろう。

その方が時間的には短縮できるが、剣山に寄ることはできない。
4座すべてゲットしようと思ったら、周回するしかないのだ。
15分ほど休んで、われらも出発。

まずは標高差20mほどのこぶを越えないといけない。
が、この稜線からの眺めは素晴らしかった。
左手に見えてきたのは、十勝連峰。

左端がオプタテシケ山(2013m)、真ん中よりちょっと右が美瑛富士(1888m)、右端が美瑛岳(2052m)である。
南東の方角には、たおやかなイルムケップ山(864m)が近い。

南に展開しているのは芦別岳(1726m)を主峰とする芦別山地。

その右に夕張岳(1668m)も見えている。

右端の突起は前岳(1501m)であろう。
いや~見事な山岳展望である。

こちらも収穫を手に音江山を目指す。

こぶを越えた鞍部から頂上までの標高差は70mほど。

その登り道が見える。

若干、雪も残っていた。

イチゲの仲間かしら?

このあたりのササはかなり背丈が高い。
そんな中でも、Yちゃんの獲物を狙う視線は鋭い。

青紫のタチツボスミレ。

音江山の頂上が見えてきた。

もう少しだ。

それにしても、ここのササは誰が刈ってくれているのだろう。
ありがたいことではあるのだが。

登るにつれ、今度は右手に沖里河山が姿を現した。

そして、とうとう出ました大雪山!
右が旭岳(2291m)、左は比布岳(2197m)。
左端に張り出しているのは、おそらく愛別岳(2113m)だろう。

その左に連なるのは、トムラウシ山(2041m)のはず。

さらに右に目を転ずると、十勝連峰。
中央の十勝岳(2077m)からは噴煙が上がっている。

眺望に気をよくして、最後の登りに取り掛かる。

ダケカンバもすっかり夏の装いだ。

分岐から25分ほどで音江山に登頂。

せっかくの一等三角点なのに、山名板は真っ二つに折れている手作りの小さな板があるだけだった。
音江山冷遇の象徴である。

とにかく、やっと登頂して、一堂ホッとひと息。

奥に道が続いているので、偵察に行ってみた。

地形図に道は表記されているが、そんなに幅広にササが刈っているわけではなく、どこまで通じているのかは分からない。
眼下には深川の穀倉地帯が展開していた。

田んぼに水が張られたばかりで、湖のようだ。

ここからは南西の方角に樺戸山地のピンネシリ(1100m)が見えたが、大雪山方面は死角になって見えなかった。

ここで最初の記念撮影。

10数分ほどで引き返す。
H君から「無名山で昼食、この先はまじめに歩こう!」と号令がかかり、一堂苦笑い。
ちょっと、ネギ摘みで時間を食ってしまった。

さっきの分岐まではピストンである。

下りながら見た、大雪山系の全貌。

イルムケップ山。

その稜線の凹みから覗く十勝連峰。

尖塔が印象的な芦別岳。

音江山の登山道は「登山禁止」区間とは思えないほど、歩きやすい。


これから登る沖里河山(左)と無名山(右)。

再び芦別山地を眺めて、今回はおしまいとしましょう。

(つづく)
【2020年5月31日(日)】音江連山
音江連山は深川市内の石狩川左岸に連なる山塊である。
これまで仲間内で何度か山行が計画されたが、その都度、様々な事情でお流れになってきた。
5月25日に緊急事態宣言が全面解除になったので、今回決行することにした。
一応、自粛警察を警戒して、遠征先を札幌ナンバー圏内にしておいたわけだ。
今回の参加者は、私のほかにH君、Yちゃん、そして新メンバーとしてMちゃん。
H君は高校同期だが、Yちゃんは9期下、Mちゃんは8期下である。
当日の朝はいつもの通り、H君が迎えに来てくれた。
約束より5分ほど早い6:05。今日はすでにMちゃんが乗っている。
この後、Yちゃんの家に寄り、滝野、里塚霊園経で北広島ICから道央道に乗った。
この日も昨日に続き、めちゃめちゃいい天気である。
気温は28℃まで上がる予報だ。
高速からは、やや霞んではいるが四方の山がまる見え。
テンションが上がる。
多分、音江連山からは大雪の山々を間近に望むことができるだろう。
途中、砂川SAでトイレ休憩。

なんと、ここは日本最北のSAであった。

砂川が一番北とは、ちょっと情けない気もする。
ここで今朝の残りを出し切るつもりだったが、不発に終わった。
それより、個室のカギが小物置き場になっているのを発見!

これは以前、テレビで見たことがある。
この「発明」でトイレの忘れ物がゼロになったそうだ。
確かに、ここに置いたスマホをよけなければ外に出られないのだから、忘れることはないだろう。素晴らしいアイディアだ。
ところで昼食を調達しなければならないのだが、深川ICから登山口までの間にコンビニはありそうにない。
手前の滝川で下りることも検討したが、結局、深川で下りて、登山口とは逆方向だが、深川市街のコンビニに行くことにした。
ICを下りると、すぐ先の道の駅ライスランドふかがわにセブンイレブンがあるという表示が車のナビに表示されたが、撤退したのか、それらしき店は見当たらなかった。
やはり市街地まで行くしかない。
その途中、左手に音江ハイヤーの事務所(広重車庫)があった。
2階は鳥の棲み処になっていたが、まだ現役であった。

メインストリートのセブンイレブンでおにぎりと稲荷寿司を購入。
改めて登山口へ向かう。
石狩川を渡る深川橋から正面に音江連山の全容が一望できた。

右のピークが音江山(795m)、左のピークが沖里河山(802m)、中央やや左の突起が無名山(804m)であろう。
最高峰は無名山というのも、なんだかちぐはぐで面白い。
山の名前というのは、里から目立つ山から付いていくものなので、こうして見ると、両端のピークに名前が付くのはよく分かる。
最高峰はちょっと奥まっていて里からは目立たなかったので、しばらく名称がなかったのだろう。
登山愛好家たちは長く通称として「無名山」と呼んできたのかもしれない。
それが、いつかの時点で公式な名称として、誰かが「認定」したというようなことなのだと思う。
登山口には8:50頃に到着。

コンビニに寄って遠回りしてしまったので、予定より20分も遅れてしまった。
先客の車が2台あった。
登山口は沖里河温泉跡と聞いていたが、温泉跡はもっと先にあるようだ。
たぶん、この道の奥にあるのだろう。

この道を下りてくることになるから、帰りに寄ってもらおう。
登山口のすぐわきには沢が流れていた。

石狩川の支流、待合川である。
登山口に音江連山登山コースの概念図が掲示されていた。

しかし、音江連山なのに肝心の音江山が登山コースから外れている。
この登山道を歩いてみて分かったのだが、実は音江山への標識が全くないのである。
登山コース外だからなのかもしれないが、音江山への登山道はしっかりあるのだから、やはりあった方がいいと思う。
加えて、無名山と沖里河山には巨大な山名板があったのに、音江山には「音江山」と書かれた小さな木っ端が真っ二つに折れて三角点の横に落ちているだけだった。
音江山だけ深川市ではないので縦割り行政のせいかな?とも思ったが、改めて地形図を見てみたら、音江山は堂々たる深川市の山だった。
この音江山への冷遇は徹底している。いったい、どういうことなのだろう。不可解である。
とにもかくにも、全員準備は整った。

9時前に張り切って出発!

ありがたいことに、最初はなだらかな道である。

フキの葉っぱの上に「の」の字を発見。

ぬかるみには、ちゃんと木道が敷いてあった。

古い木道が朽ちたところは白樺の丸太で更新。手入れが行き届いている。

ここのところの暑さで、イタドリは背丈以上に成長していた。

短い春は早くも去っていってしまったようだ。

ちなみに登山口の標高は約265m。

音江山までの標高差は530mほどある。

藻岩山1個分だ。

沿道にはニリンソウが咲いている。

この葉っぱは何だっけ?

なんか食べたくなってしまうほど、青々としている。

歩き始めて5分ほどで、早くも傾斜がきつくなってきた。

「登山コース」の標識はこの先もたくさんあるのだが、同じものを立てるなら、「合目」表示とか距離を書いたものにしてくれるとありがたい。

かわいいタチツボスミレだこと。

かたつむりの殻は至るところに落ちていた。

歩き始めて20分ほどで一瞬、展望が開けた。

ここで標高はすでに400mを超えている。

はい、分かっております。

再びタチツボスミレの群落。

そして、とうとう出ました。タヌキのため糞。

汚いものを挟んでしまったが、今度はツツジがきれいに咲いていた。

陽射しを浴びてピンクに輝いている。

登り始めて40分弱で、剣山(529m)に到着。

標識にある「鳩の湯」とは「沖里河温泉」の旅館の名前である。
ネット情報では2004年の時点で、すでに廃業後しばらく経っていたらしい。
ここの標識にも「音江山」の「お」の字もない。
音ちゃん、かわいそう(涙)。
標柱に「剣山」と書かれているが、実はここがピークというわけではない。
ピークがすぐそこにあるが、岩稜であったり、ひどいヤブであったりして到達不可能な場合は、この標柱をもって「登った山」に認定するのだが、ここには頂上への踏み跡がある。
これは行かないと「認定」にはならない。
女性2人には待ってもらって、H君とアタックした。

軽いヤブはあったが標高差10mほどを2分で登頂。
頂上の木にはちゃんとピンクテープがくくり付けてあり

山頂ツツジの歓迎を受けた。

でも、眺望はゼロなので、さっさと戻る。
これで本日1座目ゲットである。

H君は「ここはインチキの山だから、自撮りはしない」と言っていたが、登ってみて「立派なピークだ」と考えを改めていた。
でも、記念撮影の省略までは撤回しなかった。
この先は剣山を右へトラバース。

やっと平和通りに出た感じだ。

でも、誰かの落とし物が。

山では、いろんな植物と出会える。

こちらはエンレイソウ。

オオカメノキの若葉。

サンカヨウ。

ワニくん。

しばらく平らな道でうれしい。

息を整えながら、距離もかせげちゃうからだ。

(つづく)
【2020年5月30日(土)】滝野霊園
野牛山(539m)に登った帰りに、真駒内滝野霊園に立ち寄った。

ここはGW最終日の5月6日、雨の中、「器械場」という札幌150峰番外編の山(三角点)を訪ねた際、またちゃんと来たいなと思ったのだった。

モアイ像はもちろん、有名な頭大仏とか、前回見つけたストーンヘンジも晴れた日に撮影しておきたかった。
ゲートは滝野峠(約275m)のバス停のところにある。

霊園の真ん前にあるバス停の名が「滝野霊園」じゃないのが気になるが、おそらくバス停の方が先にあったのだろう。
だとしても、これだけ大きな施設ができたら、バス停も名称変更しそうなものだが、霊園と中央バスは仲が悪いのだろうか(笑)。
ゲートを抜けると、さっそくモアイ像が迎えてくれる。

初めて気づいたが、その手前にペルセポリス(アケメネス朝ペルシャ帝国の都)のクセルクセス門を飾っていた「人頭有翼獅子像」まであるではないか。
この霊園は余程、古代遺跡が好きと見える。
経営は公益社団法人ふる里公苑である。
この法人は1973年に、社団法人北海道社会開発公社として設立され、社団法人中央公益札幌を経て、2006年に現在の名称となっている。
過去に、三越社長の岡田茂、安倍首相の母・安倍洋子、ダイエー創業者の中内功らが理事に名を連ねていた。
モアイ像は大きいもので高さ9.5m、全部で33体もあるそうだ。

車でそのまま園内に侵入していくと、恵庭岳(1320m)がくっきりと見えてきた。

頭大仏の向こうに見えるのは空沼岳(1251m)。

その右には札幌岳(1293m)も。

それらの観賞は改めてじっくりするとして、まずはお目当てのストーンヘンジ。

180万平方㍍に及ぶ広大な敷地には、様々なモニュメントが必要なのだろうが、なかなか発想が壮大である。

ここには、永代供養墓も併設されているそうで、ストーンヘンジ内は立入禁止になっていた。
振り返ると、さっき登ってきた野牛山。

この形が野牛に見えるから付いた名前だと言うが、それなら臥牛山の方がふさわしい気がする。函館山に先を越されてしまったか。
車を駐車場に停めて、「紫浄華」というお花畑を見学。

色とりどりのチューリップが咲いていた。

どれもあまり見たことのない種類だった。




その背後に頭大仏。

頭大仏が埋まっている小山の向こうにモアイ像が並んでいた。
ちょっとシュールな光景だ。

新型コロナウイルスの関係で、園内のいろんな施設が休業している。

おかげで、頭大仏の小山には登ることができなかった。

中にも入れるらしいが、しばらくはNG。
実際はこんなふうになっているらしい。

(HPより)
安藤忠雄の設計で、高さ13.5m、総重量は1500トンもあるそうだ。
快晴の空に、疾走する河童が現れた。
って想像力がたくましすぎるでしょうか?

さて、では改めて山岳風景を確認してみよう。
こちらは空沼岳。

どアップ。

近くにある無名の山。

野牛山。

恵庭岳。

それら全景。

以上!
こいつらもアッシリア系の獅子かしら。
説明板があったけど、読むのを忘れてしまった。

モアイのところまで戻ってきた。

大きいのは高さ9.5mとのことだが、その他は6mだそうだ。

このモアイ群が完成したのは2003年3月3日。

33地蔵だから、その日を選んだのだろう。
奥のモアイたちは一部、マスクをかけていた。

「北海道の大地でモアイも予防!」と銘打った企画である。

それにしても、相当デカいマスクだ。

作るのも、掛けるのもひと苦労だっただろう。

手前で戯れるシカたちもマスクを着用。

モアイの後ろ側に回り込む。


後ろ側は藻岩山(531m)の好展望地だった。

そろそろ、おいとましましょうかね。

さっきの河童の成れの果て。

実は、今回野牛山に来た目的の一つに、器械場の石碑の写真を撮ることだった。
確か、この道沿いにあるのを車の中から見たことがある気がするのだが、記憶が判然としない。
器械場入口のバス停の場所は知っていたので、まずはそこを起点に探してみることにした。

このバス停のすぐそばに脇道への分岐があるので、そこに侵入してみた。
左右をきょろきょろ見ながら低速で進んだが、工事関係の施設があるばかり。
宅地造成の看板があるところで引き返した。

その先にも道は続いていたが、キリがなさそうなので。

結局、石碑は見つけられないまま、探索は諦めて帰ることにした。
帰路は、滝野から直接、澄川に向かう道を使う。
(石碑はアシリベツの滝より下流側の道路脇にあることが翌日、判明した)
途中、駒岡小学校があったので、記録に残す。

こんな場所にある学校は近い将来、閉校してしまいかねないからね。

ここのバス停はちゃんと「駒岡小学校」であった。

澄川からは平岸通を経由して帰宅。
自宅でひと休みして、この日は改めて石井スポーツまで出かけ、ウインドシェルを購入。
夕食は自宅近くの風月本店でお好み焼きを食べた。
ちょうど二神社長が来ていて、一緒に記念撮影に納まってもらった。

なんだか、いい1日であった。
(おわり)
【2020年5月30日(土)】野牛山
林道入口から50分ちょっとで野牛山(539m)に登頂した。

頂上は樹木に囲まれており、あまり眺望には恵まれていない。

それでも木々の隙間から、かろうじて札幌の市街地が見える。

望遠で見ると、JRタワーを発見することができた。

昼食を食べているうちに、単独の女性が1人登ってきた。
先に北広山(492m)に登り、「おかわり」でここにも来てみたが、「こっちの方がきつかった」と汗をぬくっていた。
ひと言ふた言、言葉をかわした後、頂上より一段低いところにある広場に下りてみると

藻岩山(531m)を望むことができた。

満足したので、お二人にご挨拶して出発。

もう何十回もここを登っているというおじさんが、ちょっとした周回路があると教えてくれたので、そちらの道を下っていくことにした。

左手に、「昭和57年12月に雷が落ち燃えた」と説明板が掛けられたオンコの木を発見。

この道は真っすぐ下に続いている。
でも、途中で左折すると、もと来た道のロープとロープの間に出ると、おじさんが言っていたので、その通りにしたら、確かにもとの道に出た。

そこは登りの時に気付いていた分岐だった。
要するに、女坂だったということだ。
しかし、この先に女坂はない。

名前の分からない花に見守られながら、急な坂を下る。

この子も素性は特定できなかった。

下り切ったところに立つ野牛の主。

名付けて、野牛十兵衛。

この先は軽快に白樺並木を下っていく。

大きな岩の横を通過して

あっという間に、登山道の渡渉地点まで戻ってきた。

あとはなだらか。ほぼ平和通りだ。

タチツボスミレに見送られ

頂上から15分ちょっとで林道に出た。

あとはゴールまで、ひたすら林道歩き。

カラマツ林の中を進む。

これはさっきも見ました。

路傍ではフキが成長を続けている。

その後も、雲ひとつない天気。

さすがに陽射しがまぶしい。

若葉もキラキラ。

空も真っ青だ。

カラマツ並木も青々としている。

きれいな三角形である。

地面にはくっきりとササの影。

天狗が持っているヤツデの葉っぱのようだ。

ホウノキの葉っぱは透き通っている。

林道歩きを楽しんでいるうちに、林道の渡渉地点に到着。

振り返ると、国営滝野すずらん丘陵公園事務所による立入禁止の看板があった。

これは林道が立入禁止ということではなく、奥の柵の中の公園内がという意味のはずだが、ここに掲げるのは、ちょっと紛らわしい。
さらに林道を下ると、左に分岐する道がある。

地形図には載っている道だが、ちゃんと生きているのだろうか。
またしても派手な落とし物を発見。

この並木が見えたら、間もなくゴールだ。

林道入口では、真っ白な花が無事の下山を祝福してくれた。

わずか1時間40分の短い山行であった。

これで、札幌50峰もあと7峰である。
時刻は、まだ12時を過ぎたばかり。
時間はたっぷりあるので、少し寄り道をしながら帰ることにする。
まずは、すぐ近くにある滝野神社。

大きなツツジが満開である。

手前の駐車場から振り返ると、残雪の漁岳(1318m)を望むことができた。

階段を登って、鳥居をくぐる。

奥に、きれいな社殿が鎮座している。

参拝する前に、参道の左手にある滝野の開拓を記念した碑を見学。

背面に開拓功労者として阿部由太郎氏ほか6名の名が刻まれていた。

その隣に石仏が2体。

昭和9年(1934年)の奉納で、発起人や世話人の名前が並んでいる。

こちらも開拓の功労者たちであろう。


参道を進む。
春もみじが真っ赤に染まって美しい。

ここまで見事に赤いと、なんだか秋みたいだ。


この神社は明治43年(1910年)に器械場神社としてアシリベツの滝の北東50mの位置に創建されたが、国営公園開設に伴い、昭和57年(1982年)に現在地に移転したのだという。

わりと新しい社殿だなと思ったが、そういうことだったのか。

せっかくなので、コロナ退散を祈願させていただいた。

ついでに、アシリベツの滝の方向にも行ってみた。

滝はこの先で落ちているのだが、国営公園の柵に囲い込まれ、公園内に入らないと滝そのものを見ることはできない。

昔はこのあたりから下りていくことができたはずなのに。
滝を見ようと思って、このバス停で下りたら、だまされた気分になるだろう。

待合所にはバラの造花が飾ってあった。

バス停の向かいには、「ふせ食品株式会社」という名の古い商店がある。

前々から気になっていたので、勇気を出して入ってみた。
店内は品数こそ少ないが、ちゃんと食料品を扱っている。
中だけ覗いて帰るのも失礼なので、アイスのガリガリ君を買った。
女将さんが「山ですか?」と聞いてくれたのをきっかけに、質問してみると、この建物は昭和23年(1948年)に建てたもので、もう築70年を超えているという。

国営公園ができる前は、アシリベツの滝を訪れる観光客で随分繁盛したのだろうが、今は老夫婦のみで細々と、という感じだ。
店舗の横にテントが仮設され、タケノコを販売していた。

朝採れのものだろう。
きっと早朝、親父さんが山に入って採ってきたものだろうが、さすがプロだ。
大漁である。
20本ほどの皿が1300円。
12皿あるので、全部売れると1万5600円の収入になる。
(売れ残ったものは翌日、下茹でしたものを瓶詰めにして売っていた)
ウドや長芋も扱っていたが、長芋は栽培しているものだろう。


このお店の位置からは空沼岳(1251m)が見えた。

というわけで、車に戻り、この後は真駒内滝野霊園に寄って帰った。

帰宅は14時。わずか4時間の外出であった。
【行程】2020年5月30日
林道入口(10:30)~渡渉地点(10:40)~登山口(10:52地図確認10:55)~頂上(11:21昼食11:36)~登山口(11:53)~渡渉地点(12:05)~林道入口(12:12)
※所要時間:1時間42分(歩行時間:1時間25分)
※登った山:1座(野牛山)
※歩行距離:5.0km
※累積標高差:約280m
【2020年5月30日(土)】野牛山
野牛山は懸案の山であった。
昨年10月12日、野牛山(539m)、北広山(488m)、白旗山(321m)の3山を一気に踏破すべく出かけたのだが、1発目の野牛が林道工事中で途中撤退せざるを得なかったのである。
この時は、最初の渡渉地点を過ぎたところにある石狩森林管理署のゲートに「工事のため立入禁止」の立て札があり、一瞬ひるんだのだが、休日は休工中だろうと期待して前進。
しばらくいくと、重機の音が聞こえてきて、カーブの向こうで絶賛作業中であることが分かってしまった。あそこを通るのは、さすがにはばかられる。
工事地点だけ、ヤブこぎをしてやり過ごそうかと思い突入してみたが、ひどい根曲り竹の密集で、100m進むのに10分はかかりそうだ。
これはとても無理。観念して引き返すことにした。
でも、ゲートのところまで戻ってきて、工事業者の連絡先が書いてあるのを見つけ、「登山なんですが、ちょっと通ってもいいですか?」と電話をかけてみることにした。
でも、休日だからかつながらず、結局は撤退するしかなかった。
まあ、話ができたとしても許可は下りなかっただろう。
そんなわけで、ここはずっと気になっていたのである。
5月30日は完全に晴れ上がった。
気温も急上昇して、ちょっと暑くはあるが、登山日和である。
こんな日に出かけないのは、もったいない。
近場だし、行程も往復2時間かからない山なので、のんびり10時前に出発。
10時半前には林道入口に到着したが、その状況にびっくり。

前回は車など1台もなかったが、今回は10台くらい、狭い道路に路駐してある。

登山者もいるのだろうが、ほとんどはタケノコ採りだろう。
あれだけ根曲り竹があったのだから、さもありなん。
何とか、軽自動車1台分くらいのスペースは残っていたので、私も路駐。
10時半に出発した。
ここは「野牛山登山口」などの標識は全くなく、事前に調べてきておかないと、登山口遭難してしまいかねないところだが、私の場合は2度目なので大丈夫。
見覚えのある林道を進んでいく。

いきなり青い花が出迎えてくれた。

調べてみたら、ツルニチニチソウ(ツルギキョウ)という花らしい。
ヨーロッパが原産で観賞用に栽培され、日本にも帰化しているという。
確かに、よく見かける花だ。
この林道の入口にはゲートがなかったので、渡渉地点までは車で行くことができる。

そこまでは前回歩いたので、車で行けばよかったなあと思ったが、もう後の祭り。

戻るのも面倒だ。

大した距離でもないし、このまま進むことにする。

札幌の気温はこの時点で26℃まで上がっている(最高気温は29.9℃だった)。

ただ湿度は30%ほどしかなく、それほど暑さを感じない。

泥んこは避けて通過。

10分で渡渉地点に到着。ここまで車で来ている人がやっぱりいた。

小さな沢に一応、木の枝が渡してある。

もちろん利用させていただいた。

この柵の向こうは国営滝野すずらん丘陵公園。
約400haに達する園内はすべてこの柵で囲われているらしいが、それでもクマが侵入するらしい。
この前日、園内監視カメラにクマの姿が映っていたということで、6月1日の開園予定がまたのびのびになったそうだ。

前回、立入禁止になっていた石狩森林管理署のゲートを今回は堂々と通過。

この先は清水沢林道を進む。

ここまで登山者と2人、タケノコ採りの人とは数人すれ違った。

タケノコ採りはともかく、登山の人が意外に多いことに驚いた。

やはり、登山も自粛解禁ということで徐々に近場の山から歩き始めているのだろうか。

それにしても、今日は春というより、初夏を通りぬけて盛夏の陽気である。

誰かの雨具がササの枝にひっかかっていた。

なぜ、こういう状態になっているのか、謎である。
出発してから20分ちょっと歩くと、右手に細い道が続いている地点に着いた。

おそらく、ここが登山口と思われるが、以前ヤマレコでどなたかのレポを見た時、分岐に標識があったような記憶がある。
ここには何もない。もっと先にあるのだろうか。
地形図に登山道は記されていないが、地形的にはこのあたりで間違いなさそうなのだが。
こういう時、私の場合、ちょっと先まで歩いてみるか、という行動をとることが多いのだが、今回は幸い電波も入ることだし、過去のヤマレコのレポを確認してみることにした。
すると、その人の軌跡はここで山に入っていることが判明。
これで、自信をもって進める。

入り口に何か加工された棒が倒れていたが、あれがかつての標識だったのだろうか。
代わりに、「福」のマークの入ったヘルメットが落ちていた。

いろいろと落とし物の多い道である。

道はわりとしっかりしているが、結構倒木が多い。

ぬかるみやすい所には、古い丸太が敷かれていた。

この花は、かなり調べたのだが、名前を特定するに至らなかった。

またしても倒木。

小さな沢を渡る地点で、登山者の方が1人下りてきた。

彼が通過するのを待って、私も渡る。

滑りやすそうだったが、無事にクリア。

この山は広葉樹が多い。秋にはきれいに染まることだろう。

緑が濃いのは針葉樹。

この時期はまだシダも若々しい。

しかし、ここまで展望はゼロである。

それにしても倒木が多い。

あまり手入れが行き届いているとは言えないが、やはり札幌近郊の山ということで、道はわりと維持されているようだ。

白樺の並木道を通過。

結構、太い木もあった。

傾斜がいきなり急になり、太いロープが出現。

切り株に縛り付けてある。

もちろん利用させていただいた。

コケさん。

木の赤ちゃん。

ヒメリンドウかしら。

かわいいついでに、道の真ん中にタヌキのため糞(笑)。

連続してあった。

標高は470mを超えてきた。200mほど登ってきたことになる。

そろそろ終盤戦だ。

二股になった倒木はまるで木偶。

最後の急登直前の平坦地に出た。

この先はロープの連続である。

ロープを結ぶ木に毛布が巻いてあった。

ここでも、ありがたく頼らせていただいた。

タケノコを見つけたが、大方採られてしまったのか、ろくなのはなかった。

頂上直下まで来ると、左にササを刈ってある道があったが、寄り道はせずに直進。

ロープ場再開である。

古いロープが地面で苔むしていた。

毛布は木に優しくていいね。

いうてる間に、無事登頂。

先客のおじさんが1人いたのでご挨拶。タケノコをたくさん収穫していた。
頂上には立派な山名板があった。

時刻は11時半前。ちょっと早いがここで昼食とした。
いつもの通り、おにぎり二つ。赤飯とカニかまである。
(つづく)
【2020年5月24日(日)】カニカン岳
カニカン岳(981m)に登頂して、さくさく下山している。

その途中で、小さな残雪を発見した。

雪が残っているところは、まだササが倒れたままだ。

古い倒木。

倒木の根っこ。

霧の妖精たち。



四合目から三合目まではかなり長くて、20分もかかった。

この先、二合目までがまた長いはず。

つぶれてしまったホコリタケ。

落ち葉を踏みしめて、黙々と下る。

みずみずしいたツバメオモト。

これは、花びらが閉じているけど、たぶんカタクリではないだろうか。

新緑が本当に美しい。

515mピークの手前で若干の登り返し。

その辺りはシダ植物の楽園である。

木の幹にも生えていた。

ガスのせいか、赤い若葉もしんなり。

これは、これから青くなっていく最中なのだろうか。

というような感じで、三合目から30分近くかかって二合目を通過。

二合目と三合目の間が一番長かった。

タチツボスミレの群落。

白樺4兄弟。

白が鮮やかなオオカメノキの花。

標高450mくらいまで下ってきた。

二合目から12分で一合目を通過。

標高は370mであった。

間もなく、登山口を通過。

とうとう雨がポツポツ落ちてきた。

でも、ゴールはもうすぐそこ。

急げ急げ。

14:40に林道ゲートに到着。
出発するときには気づかなかった入林届のボックスがあった。

こんな大きな箱なのに、なぜ目に入らなかったのか不思議。
駐車スペースには車がもう1台あったが、登山中は誰にも会わなかったので、たぶんタケノコ採りの方だろう。
我々の車もとくに自粛警察の被害には遭っていなかった。
ホッとして靴を履き替え、車に乗り込む。
何とか、本格的な雨には当たらずに済んだ。
温泉に向かう途中、帰りに撮ろうと思っていた道道999号(美利河二股自然休養林線)の標識を撮影。

スリーナインである。縁起がいい。
昨年、道道1000号が斜里町にあるのを発見したのに続く「快挙」だ。
本日のお風呂は、ピリカスキー場の麓にあるピリカ温泉クアプラザピリカである。

駐車場には札幌ナンバーのほか、仙台ナンバーの車もあったので、ちょっと安心。
この案内板によると、ここのお風呂では天然鉱石の遠赤外線ブラックシリカを使用しているという。

ということは、天然温泉ではないということか。

と思ったら、脱衣所にはナトリウム・カルシウム-塩化物泉(等張性弱アルカリ性温泉)であるとの掲示があった。

天然温泉にさらにブラックシリカを混ぜているということなのだろうか。
源泉の温度は41.3℃、ph値は7.7である。
幸い露天風呂には誰もおらず

2人独占でゆっくりと汗を流した。

間もなく、内風呂にも誰もいなくなったので

こちらも、しっかり撮影することができた。

さっぱりしたところで、16時に出発。
H君がエンジンをかけると、なんと右後輪の空気圧が低下しているとの警告が表示された。
もしや、自粛警察の仕業か!
と思って、外に出て確認したが、そんなに凹んではいない。
警告も時速80km以下ならしばらく走行可能ということだったので、そのまま走ることになった。
途中、長万部のコンビニに寄って、ノンアルビールを購入。
Yちゃんからいただいたつまみをアテに、湯上りののど越しをしばし楽しんだ。
途中、道道777号を経由して(こちらは撮影済み)、道道230号から国道230号に出た。
交差点の標識は「230」だらけだったので、記録に留めておいた。

留寿都あたりではまだガスっていたが、喜茂別で雲海から抜けだした。
そうなると、見えてくるのは羊蹄山(1898m)。

ここ喜茂別橋から見る羊蹄山はとても美しい。私のお気に入りの展望スポットである。

H君の車はすいすい坂道を登り、中山峠でトイレ休憩。
あまりに羊蹄山が美しかったので、撮影タイムも設けてくれた。

羊蹄山とニセコ連峰。

尻別岳(1107m)と昆布岳(1045m)。

いずれも名山である。
こちらは喜茂別名物アスパラガスのモニュメント。

道の駅望羊中山は休業中であった。

帰宅は19時。
少しYちゃんに分けてもらったが、今日の収穫はこんなにあった。

皮をむいて、下茹でし、水に浸けてとりあえず冷蔵庫に保管。
食べるのが楽しみである。
ちなみに、空気圧低下は自粛警察の仕業ではなく、単なるパンクだったらしい。
【行程】2020年5月24日
林道ゲート(9:22)~登山口(9:26)~一合目(9:43)~二合目(10:00)515mピーク(10:12)~三合目(10:29)~636mピーク(10:38)~四合目(10:53休憩11:02)~五合目(11:09)~六合目(11:15)~七合目(11:25休憩11:29)~九合目(11:55)~頂上(12:08昼食12:37)~九合目(12:45)~八合目(12:52)~七合目(13:01)~六合目(13:09)~五合目(13:16)~四合目(13:24休憩13:31)~三合目(13:50)~二合目(14:17)~一合目(14:29)~林道ゲート(14:40)
※所要時間:5時間18分(歩行時間:4時間25分)
※登った山:1座(カニカン岳)
※歩行距離:10.2km
※累積標高差:約820m
【2020年5月24日(日)】カニカン岳
カニカン岳(981m)の頂上を目前にして足踏み中。
あまりに素晴らしい眺望で撮影に忙しいのである。

これは今歩いてきた道。

登頂したのは結局12時すぎ。

2時間半の予定が、2時間45分もかかってしまった。
雪渓のせいかもしれない。

三角点と山名板がある地点より、ちょっとだけ南にも何か棒が立っているので行ってみたら、朽ちた古い山名板だった。
「カニカン岳山頂」と書かれた板が落ちて、真っ二つに割れていた。

せっかくなので復元してあげた。

そこは風が強く、早々に三角点のある場所に戻った。
なぜか、こちらは風が全くなく、珍しく私はウインドシェルを着ないで済んだ。
お昼の前に記念撮影。
カニカン岳での撮影に定番の小物と言えば、カニ缶。
これはYちゃんが用意してくれた。

私がカニカンと言われて思い付いたのは、ちょっと苦しいが「セーラー服と機関銃」である。
本来なら、おもちゃの機関銃でも持ってきて、「カニ、カ~ン!」と叫ぶべきだったが、さすがにそんな装備はなく、ここまで道々収穫してきたタケノコで代用するしかなかった。

みんな、完全にイっちゃってます。
よく見ると、Yちゃんはしゃもじを持っている。

私が事前に「カニカーン」をやると行っておいたので、Yちゃんは、なら私は「カミサーン」をやるってんで持ってきたのだそうだ。
いや~おもしろい!
「カイカン」「カニカン」「カミサン」で1,2,3そろい踏みである。
こうなったら、「カリメーン」とか「カチカーン」とか、何でもできそうだ。
真面目な話、カニカンとはアイヌ語で「金・掘る」という意味だそうだ。
実際、カニカン岳にはかつて金山があったらしい。
近くの長万部がカニの町だから付いたわけではないのだ。
この「カニ」というのは、日本語の「カネ」から来たアイヌ語としての外来語で、黄金のことを「コンカニ」、銀のことを「シロカニ」というのだとか。
まさに日本語からの借用語である。
今日のランチはコンビニおにぎり、最近お気に入りのカニマヨとすじこである。

ピリ辛キュウリのほか、Yちゃんのカニ缶も一緒に写させてもらった。
30分近くのんびりしたので、そろそろ出発。
立ち上がると、北の大平山(1191m)がとってもりりしく聳えていた。

南の遊楽部岳(1277m)は実際より高く見える。

名残惜しいが、カニカンさんに別れを告げる。

頂上付近はヤセ尾根。

岩場なので、慎重に行く。

ネコヤナギの仲間を発見!でもピントが合ってくれなかった。

下りもしばらくは気が抜けない。

雪渓の急斜面では尻セード。雪がふかふかじゃないのでスピードが出る。
なかなか楽しい。

再び、雲海の中へと下りてゆく。

雪渓の末端からは雪解け水が流れていた。

頂上から8分で九合目を通過。
表面のコケをH君がストックで落としてくれ、「合」の字がよく見えるようになった。

この先は、八合目を探しながら下る。
このあたりから見ると、頂上は岩でできていることが分かる。

南の方角はるか先に駒ヶ岳(1131m)が浮かぶ。

眺めはいいのだが、このトラバースのササがいやらしく歩きにくかった。

トラバースを過ぎるとロープ場。

一人ずつ、ゆっくり下る。

待ち時間の間に、ロープ場からの眺め。

このように、うしろ向きに下りましょう。

全員無事にクリア。下には古いロープが打ち捨てられていた。

この先で、赤と青のまだらテープを発見!
このテープは他の合目標識のそばにもあったので、雪とのすき間を覗いてみると、八合目と思われる板がかろうじて確認できた。

これで、めでたく全合目制覇だ。

標高を下げるに従い、雲海がまた迫ってくる。

なかなか幻想的である。

八合目から10分弱で七合目を通過。

小さな雪田を見送る。

路傍に可憐な白い花。名前は分からない。

六合目には、昭和から平成にかけて3世代の標識が勢ぞろいしていた。

雪渓の上から、頂上を振り返る。これが見納めであろう。

これは登りで見落としたクマ糞かな。

六合目から五合目まではわずか7分。

さらに8分で四合目。ここで小休止とした。

H君がヘビみたいとしきりに気にしていた枯れ枝。

オレンジ色の斑点は地衣類だろうか?
私にはアニメ「日本昔ばなし」の主題歌が流れるシーンに出てくる龍に見えた。

7分で出発。

下りでも倒木越え。

木の幹にガンバレの文字を見つけた。さぞかし痛かったことだろう。

(つづく)