山と鉄

山歩き、乗り鉄、廃線・廃道歩き、廃村歩き、駅舎探訪などの日々を記録します

棒ノ嶺

すっかり山行報告が滞っております。
先々週の立山縦走の後、先週の土曜日、奥武蔵(埼玉県)の棒ノ嶺(969m)に登って来ました。先にこちらを報告します。

話は昨年のクリスマスイブに遡る。
この日、丹沢の蛭ヶ岳山荘に泊まったのだが、この日の宿泊者9人は偶然にも全員単独行で、情報交換など山談議に花が咲いた。

自分は所沢在住ということで、西武線沿線(奥武蔵)でいいところはないかと聞かれた。
代表的なのは伊豆ヶ岳(851m)でしょうかねえと答えたら、他の方が「棒ノ嶺がいいですよ」と教えてくれた。

棒ノ嶺(ぼうのみね)は別名、棒ノ折山(ぼうのおれやま)とも言う。由来はよく分からない。
埼玉と東京の境にあり、奥多摩からも交通の便がいい。
彼が言うには、滝がたくさんあって、低山ながら夏登っても涼しいし、楽しい山だそうだ。

それが記憶に残っていた。
9月22、23日の連休は週間予報こそいずれも曇時々晴だったが、直前には22日が曇、23日は終日雨という予報になってしまった。

22日も朝9時くらいまで雨が残った。
近場でどこかと、奥武蔵の地図を見ているうちに棒ノ嶺を見つけ、瞬時に決めた。
幸い、雨も上がった。
車で9時半に出発。お彼岸のせいか随分国道が混んでおり、駐車場のあるさわらびの湯に着いたのは11時すぎ。
あわてて準備し、おにぎりを1個、早弁して11:30に歩き始めた。
親切に、こんな杖があったが、私はいわゆるストックは使わない。
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これは人を殴る棒ではない。名栗(なぐり)の杖だ。

【コースタイム】
さわらびの湯(11:30)~白谷沢登山口(11:55)~白孔雀の滝(12:45)~岩茸石(13:20昼食20分)~ゴンジリ峠(14:05)~棒ノ嶺(14:25休憩25分)~岩茸石(15:25)~さわらびの湯(16:50)

最初は舗装道路。まずは有間ダム(名栗湖)まで登る。
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今年は極端に雨が少なく、水位も随分下がっている。

15分ほどダム湖沿いに歩くと、登山口に着く。
ここには「白谷の泉」という水場があるが、涸れてしまっていた。
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しばらくは植林の道を進む。
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関東の低山にはお決まりの風景だ。

それでも、所々に岩が露出し、それらしい雰囲気になってくる。
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どんより曇っているだけに、あたりは薄暗い。

20分ほどで、藤懸の滝に差し掛かる。
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やはり水量は少なめ。昨夜降った雨だけでは、足りなかったようだ。

沢を右に左に渡っていくと、間もなく最初のゴルジュ。
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なかなかの迫力。上から振り返ると、こんなに切れ落ちている。
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二つ目のゴルジュは板状節理が発達した場所。
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苔の緑が多少、険しさを和らげている。
しかし、水量が多かったら、立派な沢登りになりそうだ。

ここは鎖のある階段で通過する。
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登り切ったところが白孔雀の滝。
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ここで難所はほぼ終了。ゆっくり沢を詰めていく。
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それにしても、下ってくる人が多い。
こちらの出発が遅いからなのだが、人気の山であることが分かる。
しかも、老若含め男女のペアが多いのは、何か理由があるのだろうか。

1時間半休みなく歩いて少々疲れた。
地図によれば、林道に出たところに東屋があるようなので、そこを目標に頑張ったが、たどり着いてみると先客がおり、我慢して通過。
急坂を登って左に折れ、等高線沿いに進む。
稜線に出たところが岩茸石。ひとつしかないベンチにすでに女性が座っており、がっかり。
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でも、すぐ出発してくれたので、あわてて座って昼食とする。
本当は頂上で食べたかったが、もう1時半近い。お腹が空いた。
大した展望もなく、下りてきた中高年の団体さんが、ここで立ったまま休憩をされて、少々騒がしかったが、もくもくとおにぎり+ゆで卵をほお張る。

ここから頂上までは45分。もう一息だ。
ゴンジリ(権次入)峠までは、かなりの急登が続く。
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若者のグループともすれ違った。
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ゴンジリ峠で初めて、展望が開ける。
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これは奥武蔵の山々だが、あまりに茫洋としていて、山座同定はむずかしい。

とりあえず通過。少しだけ平らな稜線を歩いた後
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最後の登り。
本来の道は植生回復のため通行止め。植林の中を行く。
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で、午後2時半前に登頂。
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地図にも969mとあるのだが、こんな標識も。
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どんな根拠があるのだろう。

頂上はけっこう広くて開けている。
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景色はゴンジリ峠とあまり変わらないが、地図を見ながら、同定を試みる。
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中央左の雲がかかっているのが武川岳(1052m)。その手前が藤棚山(920m)、右奥は二子山(883m)であろう。これらはみな昨年登った。

少し視線を右に移す。
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中央右の尖っているのが伊豆ヶ岳、その奥、左上に見えるのが丸山(960m)のようだ。

街も見えたが、情けないことに、どこだが分からない。飯能かな。
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晴れていれば、榛名山や谷川岳、男体山も見えるらしいが、今日は望むべくもない。

頂上はススキとアザミが風に揺れていた。
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ベンチでお菓子を食べて、ゆっくり休憩。
今日の最後と思しき、家族連れと謎の男3人組みが下ったのを見届けて、おもむろに出発。
途中、小さい秋を見つける。
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しかし、この2グループとは抜いたり、抜かれたりの下山となる。
というのも、いきなり催して、ササヤブに飛び込み、じっくり用を済ませたからだ。

山をやっていると、何度かこういう状況に陥る。
誰にも見られず、そんなに奥に入らず、落ち着いてできる場所。
そういうところを、わりとすぐに見つけられるようになる。
あまり好ましいことではないが、緊急避難ということでお許しください。
今後は携帯トイレを持ち歩きます。

ホッとしたところで、ガシガシ下る。
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岩茸岩まで来た道を戻るが、その先は沢には下りず、尾根筋を行く。
あくまで完全ピストンは避ける。

もう一度、2グループを抜かしてからは、みちのく一人旅。
家族連れの少年2人は「ヤッホー」を連発して実に賑やかだった。
下りの標高差は頂上から700m。そこそこの運動量である。
登りよりも汗をかいた。
さわらびの湯は、登山客以外のお客さんも多く、混雑していたが、さっぱりした。
ハードな山行の間に、こういう日帰り山歩きを挟むのは、案外いいかもしれない。
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近況です

山行報告は、火打山・妙高山で途絶えていますが、

8月30日~9月2日で飯豊連峰縦走、9月9日に奥多摩・三頭山、9月14~16日に立山・大日縦走をしてきました。

いずれも午後からガスに巻かれることはありましたが、午前中は最高の天気で、それぞれの魅力を満喫しました。
立山では3日間で通算10羽の雷鳥と出会いました。
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彼らは、地上をちょこちょこ歩いていて、かわいいです。

それにしても、なかなかブログを書く時間がなく、たまってしまいました。

雨でも降らないと自宅にいないので。今年は雨が本当に少ないですね。

とりあえず近況でした。

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火打山・妙高山(下)

8月26日午前8時。妙高山に向かっている。
外輪山を乗り越え、一旦火口原に下りてから、標高差400mを登り返す。

大倉乗越からは外輪山の内壁を斜めに下る。
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すでに山頂付近にはガスが湧いている。
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火打で見たようなうっすらしたものではなく、しつこく居座ってしまいそうなやつらだ。
急いで下ろうとするが、めずらしい高山植物に邪魔される。
白いホタルブクロってあるんだろうか。
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奥の黄色い花はたぶん、ミヤマコウゾリナである。いずれも初めて見る。

道は急峻なところも通る。
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この道は下りのはずだが、登りもあって、かなり手こずってしまった。

長助池に行く道と山頂へ行く道の分岐には8:20に到着。
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ここで、2人の方が休んでいた。
近くのザックに「sapporo」の文字があるので、色めいて「札幌からですか」と聞くと、地元ですという。札幌ザックはここからピストンしている人のもののようだ。

私は先に行くことにする。
この上は大きな岩の連なる涸れ沢のような道が続く。
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道が巻いたりすることはほとんどなく、ひたすら直登が続く。
それを標高差400mはかなりきつい。
最初は密林の中だが、頂上に近くなると、白樺の明るい林になる。
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ただ木の形ははなはだ変だ。

木々の間からは岩壁が見えてくる。
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火口丘の上面に出ると、巨大な溶岩の岩山がいくつも出現する。
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ちょうど鳥海山の頂上付近に緑が進出してきたようなイメージだ。

洞窟の中には祠が祀られていた。
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で、9:25登頂。
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標準タイム1時間40分のところ1時間ちょっとで登ったが、間に合わず。
ガスのため大展望は望むべくもなかった。
こういう時私は、がっかりした気持ちになって気分が落ち込むのを防ぐ作用が自然に働くらしい。むしろ感情が動かなくなるのである。こういう時は人間が冷たくなる。

ここは三角点があるので、山頂ということになっているが、最高地点はあと10分ほど南に歩いた妙高大神のある場所で2454m。ここは2446mである。
とりあえず、ザックを下ろして周辺の岩山に登り、外輪山や頂上付近の写真を撮る。
ガスはかかっているが、真っ白というわけではないのだ。

これは外輪山の三田原山。
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標柱周辺。右奥は最高地点。
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火口丘の頂上はこんな雰囲気。
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ミヤマキオンやシシウド、ミョウコウトリカブトが咲いている。
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さあ、もう急いでも仕方がない。
ゆっくり腰を下ろして、まだかなり早いが昼食の支度。
フリーズドライの五目御飯にお湯を注ぎ、一口二口食べてみるが、やはりそれほどお腹が空いていないのか、それとも心が閉じているからか、食が進まない。
メモを付けて、歩き始めることにする。

噴火直後に残った溶岩の巨石が林立する。下界から見上げる妙高からは想像もつかない世界だ。
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これには日本岩という名称がついている。
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妙高大神には将軍地蔵が祀られている。
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赤いのはペンキが飛び散ったのではなく、地衣類のようだ。

相変わらず展望は利かないので、潔く下山する。
こちら側の方が溶岩の露出が激しい。
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そして、大倉口と負けず劣らず急である。
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ロープ場やクサリ場もいくつかある。
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クサリ場付近の狭い登山路で、下からまた団体さんが来たのでしばらく待っていたが、誰も順番を譲ってくれる人がいない。
団体さんとは別の若者グループが下から追いついてきて、(ああ彼らなら譲ってくれるだろう)と辛抱強く待っていたのだが、彼らの先頭がロープに手をかけたのを見て、さすがに切れた。
「こっちはずっと待ってるんですから、そろそろ譲ってください!」
若者は恐縮したように道を譲ってくれたが、我ながら、(自分がこんなことを言うなんて)と後で驚いた。たぶん、相当心が閉じていたに違いない。

ただ、このことがあってから、私の後ろで待っていた人と言葉を交わすことになる。
この男性は私より年上だが50代だろう、地元の方だそうで、何度も妙高に登っているという。

妙高中学校の生徒が作ってくれた標識が合目ごとにある。
八合目(2120m)には風穴がある。
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顔を近づけてみると、本当に涼しい風が吹いてきた。

七合目には光善寺池がある。
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天狗堂(6合目・1930m)まで下りてきたところで、小休止。
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ここでさっきの方に追いつき、下りのルートのことで質問。
北地獄谷麻平分岐から燕温泉に至る道には谷コースと尾根コースの2つがあるが、どちらがいいか。
彼の答えは明快だった。
谷コースの方が道もいいし、左手に外輪山の神奈山(1909m)が見える。滝も谷コースから見えるとのこと。
最初は尾根コースを行くつもりでいただけに、いい情報を得た。ありがとうございます。

5合目(1800m)から下が胸突き八丁。
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そこを下りきった川原で彼が休んでいて、声をかけてきた。
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「見たい滝って、惣滝のことじゃないですよね」
「はい。称明滝と光明滝です」
「なら、さっき言った道で大丈夫です」
親切な人だ。

ここを流れる沢は北地獄谷と言うだけあって、岩の色が茶色くおどろおどろしい。
水も湯の花(硫黄分)を含んでいるのか、白濁している。
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もしかしてお湯じゃないかと思って触ってみたら、冷たかった。

分岐は4合目(1590m)。
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ここからまだ標高差500mも下らないといけない。
道のりは長い。
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やっとお腹が空いてきた。称明滝が見えるところで食事にしよう。
間もなく、音が聞こえ、お目見え。思った以上に高い滝だ。
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滝つぼ近くまで歩き、さっきの残りの五目御飯を平らげる。

出発して間もなく、次の光明滝も見えた。
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下りもこうしてアトラクションを用意してくれると、飽きないで済む。

このあたりから道は舗装となり
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間もなく、赤倉温泉の源湯にたどり着く。
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水場もあってうれしい。
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この舗装はおそらく源湯の管理のため、バイクで来られるようにしたのだろう。
これが頂上まで続いていると困るが、いい加減集中力が減退している身としては、こういう道はありがたい。

地元の人が左手に見えると言っていた神奈山がやっと見えてきた。
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まだ雲はからんだままだ。

下界に下りてくると、もうススキが穂を出していた。
高原はもう秋の気配である。
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燕温泉の手前に露天風呂の「黄金の湯」がある。
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ここは観光客にも人気のようで、女性も結構出入りがあった。

男湯はこうなっている。
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単なる立ち寄りなら入ってみたかったが、こちらは2日間の汗を流さねばならず、シャンプーやせっけんがある所じゃないとだめだ。

で、1時20分、登山口でありバス停のある燕温泉に到着。
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ここは宿が5軒しかない小さな温泉街だが、けっこう観光客が来ていた。

バスの時間まで1時間半近くあるので、まずは風呂である。
いくつか物色して、岩戸屋という旅館に入る。
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男湯は「観音風呂」という。
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さっぱりしたところで、冷たいものを。
温泉街の最も上にある土産物屋さんで市販のソフトクリームを食べる。
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ほんとは食事をしたいところだったが、それほどの時間はなかった。

バス停には昨日、笹ヶ峰まで一緒のバスだった単独行の女性が待っていた。
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やはり公共の交通機関で縦走しようとすると、このコースになる。
聞くと、今朝火打に登って、それから妙高にも登る予定だったが、ヒュッテの人に時間的に止めた方がいいと言われ、妙高は登らず、燕新道を下ってきたのだという。
今回はガスっていたし、それが賢明だったでしょう。

バスは30分ほどで、信越本線の関山駅に到着。出発地だった妙高高原駅のひとつ直江津側の駅だ。
外に出るとめちゃくちゃ暑い。
駅舎はメルヘンチックな印象。高原のペンションをイメージしたのだろうか。
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あまりの暑さに、近くの商店でめずらしくビールを調達しようとしたが、何と空いている店がない。
仕方なく、駅の自販機で缶ジュースを買って、つなぎとする。

長野まで起きていて車窓を見ているつもりだったが、牟礼あたりで沈没。眠りに落ちた。
長野駅で今度こそビールとつまみをゲットし、新幹線に乗り込む。
始発だが、かなりの混雑。軽井沢では立っているひとも少なくなかった。

大宮からは武蔵野線直通の快速むさしの号に乗ることができ、午後7時すぎには帰宅することができた。

頂上の眺望には恵まれなかったが、基本的にはずっと晴れて、変化に富んだ山行を楽しむことができた。
よしとしましょう。
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火打山・妙高山(中)

8月25日午後3時、火打山登頂。
百名山であるが、若者の2人組がいるだけ。いたって静か。
もう午後も遅いこんな時間だからだろう。
山頂は直径30㍍ほどの広場になっており、真ん中のケルンの中に石仏が埋もれている。
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30分ほど待ったが、ガスが切れないので下山を始める。

登ってみて思うのだが、深田久弥がなぜ、この山を百名山に数えたのか少々納得がいかない。確かに、妙高、火打、焼山とつづく頸城(くびき)三山の中で、火打が最も高い。
焼山は2400m、妙高は2454m、そして火打が2462mである。
北アルプスを除くと、日本海側では最も高い山だそうだ。
深田は「日本百名山」の中で、こう述べている。
「その悠揚とした姿にすっかり惚れてしまった眼を隣へ移すと、妙高や焼のキチンとした纏まりがかえって見劣りする」

しかし、これは火打を選ぶためのこじつけのように思える。
深田は間違いなく、妙高を先に選んだであろう。
そして火打も入れたいがために、先輩の妙高をけなすようなことを言ったのだ。

火打は古来より、街道から遠く、見過ごされてきたことは深田自身が認めている。
そんな山を「発見」して、ぜひすくい上げたかったのだろう。
でも、公平に見て、頸城三山から2つも採用するのはやり過ぎの感がある。
火打がダメというわけでは全くないが、妙高だけでよかった気がする。

ついでに言えば、高妻山を入れたのも賛同できない。
北信のあの近辺であれば、山容からしても歴史からしても文句なく戸隠だろうと思う。
標高が高妻より450mも低いことが大きな減点となったのだろうが、戸隠にはそれを補って余りある魅力がある。

火打の山頂からくっきりと北アルプスが見えたら、こんなことは思わなかったのかもしれないが。
火打が中腹に高谷池や天狗の庭という希少な湿原を抱えたすばらしい山であることは、あわてて付け加えておく。

さてさて、下山。
私の嫌いなピストンだが、今回ばかりは致し方ない。

途中、アサギマダラがアザミの蜜を吸っていた。
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こちらはクジャクチョウ。
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下るに従い、日本海側のガスが晴れてきて、雷菱(2276m)と呼ばれる火打山の支脈が見えてきた。立派な岩稜である。
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穏やかな山容の火打にも、こんな荒々しい一面があったのだ。

再び、天狗の庭に降りてくると、ワタスゲが傾いた日の光を受け、さっきより一層輝いている。思わず、木道に腰を下ろして、しばらく撮影会を開いてしまった。
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ヒュッテに近づくと、ものすごい嬌声が聞こえてきた。
例の団体さんである。テラスやベンチで酒盛り。もうビールの缶がいくつも空いており、みなさん大騒ぎだ。
山の恥はかき捨てか・・・と嘆息する。
楽しいのは分かる。しかし、ここは温泉ホテルの宴会場ではないのである。
静かに山を楽しみたい人の方が多い。
もっと想像力を持ってはもらえないものだろうか。

こちらはもう一度、水場へ行って、顔を洗い、部屋に入って寝室を整える。
ありがたいことに、ここは布団1枚分の幅が確保されている。
今日はほぼ満員のようだが、布団に2人詰め込むようなことはしていない。
両隣も単独の人のようで、うれしい。今夜は安眠できそうだ。

その隣の一人は、私と同じく笹ヶ峰から登ったそうだが、登り始めたのが8時で時間に余裕があったので、先に妙高に登ってきたのだそうだ。
「バテました」と笑っていた。

しばし歓談した後、私は1階食堂に下りて、壁に貼ってある高山植物の写真でお勉強。
メモ帳に絵と特徴を書きながら、区別しにくいものを整理していく。
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売店で、バッジと高山植物のイラストマップも買った。
そうこうしている間に夕食の時間。5時15分なので、わりと早い。

メニューはカレーライスとハヤシライスが食べ放題。
私はもともと下にいたので、早めに並ぶことができ、数少ないイス席を確保できた。
老夫婦と相席だった。
カレーはかなりおいしかった。ライスも結構盛ったので、それだけでお腹いっぱいになったが、ハヤシも食べてみたくなり、少しお代わり。
デザートのパイナップルの缶詰がヒットだった。

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(夕食後のひとときを楽しむ登山者たち)

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(夕暮れ、雲に包まれた焼山)

食後は火打山の四季と高山植物という2本のビデオが上映され、見ているうちに、どうしてももう1回火打山頂からの眺めが見たくなった。
よし、明日早起きして、もう1度行ってみよう。
日の出は5時過ぎなので、4時前に出れば十分。すぐ下ってくれば、6時の2回目の朝食に間に合う。天気予報は晴れ時々曇か霧とのこと。早朝は問題ないだろう。

スタッフに一応断ると、朝食は5時半のみで明日は2回目はないとのこと。
6時に戻って来られても、片づけた後になるというので、朝食はキャンセル。
昼食用にもらう弁当は明日の朝に受け取れるというので、それを朝食代わりにすることにした。

7:40就寝。布団が比較的清潔なので、シュラフは使わなかった。
さすがに、あの団体さんももうお休みのようだ。夜まで騒がれてはたまらない。助かった。
おかげで熟睡でき、3:30起床。
アタックザックで出発。
外はまだ真っ暗で、満天の星が輝いている。
東の空高く、オリオン座があった。こんな真夏でも、この時間には冬の星座が出ているのだ。マイナス1等星のシリウスの明るさといったら、金星並み。
夏に見る冬の大三角形もすばらしい。
カシオペア座は天の川にあったということも発見。
早起きは3文どころか、百万ドルの得の気分である。

歩き始めてすぐ、雨具を履く。上は防寒用にすでに着ていたのだが、やはり朝露が激しい。
暗い中をヘッドライトで歩くのは、あまり経験がない。
今年2月に天狗に登った時以来か。
そもそも、景色を見るのが目的で山歩きをしているので、基本的に夜は歩かない。
ただ、今回は昨日すでに歩いているし、帰りは明るいのだから問題はない。

それでも、何度もライトを消して、空を見上げ、星空に見入った。夜の山歩きも悪くない。
天狗の庭を過ぎると、火打の中腹に雲が細くたなびいている。
なんという幻想的な風景。ぜひ写真に撮りたいが、三脚がないので諦める。
最初はあせってさくさく歩いていたが、夜明け前に山頂に着いても意味がないので、ペースを落とす。

頂上に近づくにつれ、なんとガスが再び山頂を流れ始めた。
4:50登頂。残念ながらガスの中である。
2度登って2度ともダメかあとがっかりしたが、とりあえず日の出まで待ってみる。

東の空が赤く染まりだしたが、日はどこから昇るのか分からない。
このガスも太陽が出れば消えるのかもしれないが、こちらは6時までに下山しなくてはならず、そうのんびりもしていられない。
日の出を待たず、先着の2人と後発の1人を残してヒュッテに戻ることにする。

わずかに下っただけで、ガスの下に出、ちょうど御来光を見ることができた。
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妙高と黒姫(右)もガスの中から、うっすらと姿を見せてきた。
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本当なら黒姫の上に富士山が見えるのだそうだ。

朝霧の中のアザミも美しい。
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おお待望の北アルプス! 右が白馬三山、左手には五竜や鹿島槍を確認できる。
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今日はやはり湿度が高いようだ。日本海に近いことも関係しているのだろう。

こちらは百名山、例の高妻山。
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振り返ると、火打山はもう5時半だというのに、まだ薄いヴェールをまとっている。
待っても無駄だった。と肩をなで下ろす。
ところがその3分後。ガスは消えてしまった。
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ナンタルチア~!
しかし、私の性分では40分も粘れなかっただろう。
結局、のんびり日程で1回しか登らないあの団体さんたちが最後に笑うことになるのだ。とほほ。
まあいい、気を取り直して前進。あの一糸まとわぬ妙高を見よ。
あそこから、360度のパノラマを楽しめばいいのだ。がはは
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ああそれにしても、この青空。無念じゃ
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と思いきや、またしてもガスが。背後にある影火打が一気に雲に隠れてしまった。
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その間、わずが3分。ほんとにめまぐるしい。

見れば、その1分後には火打にも再びガスがまとわりついてきた。
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しかし、結局6時には完全に雲もとれた。ようやく安定期に入ったようだ。

一喜一憂してしまったが、6:10ヒュッテに到着。
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お弁当のレトルト釜飯を受け取り、パッキングをして6:30に出発。

静かに噴煙を上げる焼山を後に見て、妙高へ向かう。
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道は右だ。
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まずは茶臼山への緩やかな登り。
空には秋のような雲が広がる。
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茶臼山には25分ほどで到着。山頂というより峠という印象。
それでも標識は一応あった。
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この先間もなく、黒沢岳と外輪山に挟まれた湿原が眼下に広がる。
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黒沢池である。
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道端のオヤマリンドウの青がまぶしい。
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この花はめったに開かない。いつも、つぼみのような状態のまま咲いている。

池のほとりには黒沢池ヒュッテがある。そこまで標高差170mほどを下る。
途中、昨日騒いでいたのとは別の団体さんを抜かす。

なんと、日本海からこちらにもガスが襲ってきた。
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まさか、妙高までは覆い隠してしまわないでしょうねえ。
昨日はずっと大丈夫だったので、今日も大丈夫でしょう。

7:15黒沢池ヒュッテに到着。玄関前のベンチを借りて朝食とする。
さっき受け取ったレトルト釜飯。本当は、今朝炊いた御飯のおにぎりか何かを期待していたのだが、まあ文句は言えない。通常、小屋の弁当は1000円だが、ここは500円で済んだのだから。
一応、器に移して味わっていただく。

変わった形のヒュッテの中を見学させてもらおうと思い、扉を開けたら、人相の悪いじいさんが「何の用?」と、怒った調子で言う。
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気の小さい私はつい「あ、あの、中を見学させてもらおうと思って」と言いながら、ろくに見ることもできず、引き下がってしまうが、後でムラムラと腹が立ってくる。

どうも山小屋の人の中には、客を敵視する傾向のある人が多いのだろう。
想像するに、近年の登山客のマナーの悪さや常識のなさが背景にあると思うが、山小屋も変わらなければいけない。
小屋だって客商売なのだから、そういう客も含めて生活が成り立っているはずである。
昔のようにはならないからと言って、不機嫌になっているだけでは何も変わらない。
まあ、苦労はよく分かります。

さて、腹もふくらんだので出発。
これからは外輪山を直登することになる。標高差150m。
途中、朝食を食べている間に先に行ったさっきの団体さんに追いつく。
道が狭く、追い抜ける状況ではない。
観念して、このペースで付いていくしかないかと思ったら、突然ショートカットコースが出現。これを一気に登り、彼らの先に出ることができた。これはラッキー。

外輪山の稜線である大倉乗越(2150m)からは正面に、高さ400mの巨大な中央火口丘たる妙高の山体がそびえる。
しかし、なんとガスがもう漂っている。まだ8時前だぜよ。
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暗たんたる気分。火打も妙高も不発に終わるのか・・・
眼下の長助池がガスに巻かれていなかったのが救いか。
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こうなったら、とにかく先を急がなければならない。

つづく
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火打山・妙高山(上)

8月25~26日は火打山、妙高山に登った。
二つとも百名山。別につぶしにかかっているわけではない。
6月に雨飾山に行った時、妙高も一緒に登ろうと思っていて果たせなかったので、何となく心にひっかかっていたのだ。
2日あれば、もう一つ登れるので、火打とセットにしたわけ。

新所沢駅を5:29に出発。西武新宿線、池袋線、武蔵野線、埼京線を乗り継ぎ大宮へ。
ここで6:50発のあさま501号に乗り換える。

前日に切符を手配するのを忘れたので、とりあえずSuicaで入り、大宮で指定券を買うことにしたが、なんと満席。
こんな何気ない土曜日でも混むんだなあと、びっくり。
仕方ないので自由席にする。待ち合わせが20分もあり、ホームでは先頭に並んだので、何とか座れた。

車内は、山支度の人が多い。武蔵野線でもザックを担いだ人がたくさんいて、さすがに山ブームを実感した。この人たちは、みな妙高だろうかと少々不安になる。

軽井沢まではよく眠れた。
ここで隣の人が下りたので窓際に移り、八ヶ岳を眺める。
いつもは中央線(南側)からの角度でばかり見ているが、北から見るとまた表情が全く異なる。
やはり北八ツが中心に見えるので、やさしい印象だ。

それにしても、長野に来ると懐かしい気がする。
2年間勤務しただけだが、とても楽しい充実した日々だった。
第2のふるさとと思っている。

長野からは信越本線の快速妙高1号に乗車。特急車両を使っており、6両のぜいたくな編成なので、余裕で座れた。やはり登山客が多い。
ここから妙高高原までは、長野勤務時代に国道18号で何度も通ったルート。
国道からの景色とは微妙に違って興味深かった。

8:54妙高高原着。ここはもう新潟県である。
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駅舎は平屋で横に長い。

目の前に妙高の雄姿が見える。
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駅前の土産物屋で2㍑のペットボトルを買い、バス停でテルモスとハイドレーションに移し替える。
登山口の笹ヶ峰へのバスは9:20発。
これも中高年の団体登山客で満員になった。この方々と同じ小屋に泊まることになるんだなあと思うと、若干気が重くなる。
途中の池の平からもハイカーが乗ってきて、そのほとんどが座れなかった。
こちらは、昼食用のあんパンを1つ食べる。

このバス(頸南バス)の運転手は態度が悪い。
ここがどこのバス停であるかの案内もなければ、「降りますか~」の声かけもなく、後ろの人が「降りま~す」と叫んだら、何の確認もなく「後部ドア」をいきなり開けていた。
もし、ドアに寄りかかっていたら、転落しかねない状況だった。

とにもかくにもバスは、標高513mの妙高高原駅から1300mの笹ヶ峰までぐいぐい高度を上げていく。途中のいもり池あたりまでは、妙高の山容を眺めることができたが、あとは樹林帯の中。
乙見湖を往復して、笹ヶ峰に着いたのは10:15。ほぼ1時間かかった。

ここには先だって泊まろうと思っていた山小屋の明星荘がある。
もっと地味な小屋かと思っていたが、さすがに車が来られる場所にあるだけに、あかぬけている。
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登山口は駐車場の奥にあり、ゲートのようになっている。
ここで登山届を提出する。
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妙高山は標高2454m。飯縄、黒姫、戸隠、斑尾とともに北信5岳を構成し、その主峰でもある。
巨大な中央火口丘を取り囲む要塞のような外輪山が織りなす景観は、名峰と呼ぶにふさわしい風格を備えている。
長野支局時代、野尻湖から幾度も仰ぎ見ては、「立派だなあ」とほれぼれしていたことを思い出す。
その山にいざ登らんとするわけだが、とりあえず今日はおとなりの火打山を陥落させなくてはならない。
体操をしているうちに、さっきの団体が先に出発して行った。
出発前に番号を掛け合っていたので、総勢23人いることを知る。
また、抜かすのが面倒そうだ。

ここで恒例のコースタイム。
25日:笹ヶ峰(10:20)~黒沢橋(11:00)~富士見平分岐(12:10)~高谷池ヒュッテ(12:50昼食40分)~火打山(15:00休憩25分)~高谷池ヒュッテ(16:30)
26日:高谷池ヒュッテ(3:45)~火打山(4:50休憩20分)~高谷池ヒュッテ(6:10休憩20分)~黒沢池ヒュッテ(7:15朝食20分)~長助池分岐(8:20)~妙高山頂(9:25休憩50分)~妙高大神(10:30)~天狗堂(11:20)~称明滝(12:25昼食15分)~燕温泉(13:20)=関山駅

最初はほとんど平らな木道。
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これは湿原を守るための木道というよりは、登山道が広がらないようにとの趣旨だろう。

間もなく、すぐ前を歩いてた単独行の女性とほぼ同時に団体さんに追いつく。
後ろの人が「特急2台通りま~す」と叫ぶ。
道を空けてくれるのはいいのだが、「特急」はないだろう。
その言葉に潜むちゃかしたニュアンスに彼らはいい年をして気づいていない。
彼らの使う「特急」という言葉には、「山はゆっくり楽しむもの。そんなに急いでどこへ行く」という優越感がこもっている。
それに、まったく知らない人をもの扱いする言い方も極めて失礼である。
自分たちは「鈍行」、お宅は「特急」、あなたの方が「上です」という表面上の意味を隠れ蓑にし、しかも「気の利いた言葉」のように使っているのが、たまらなく不快だった。

が、そんなことをいちいち気にしていても仕方ないので、「すいませ~ん、ありがとうございま~す、こんにちは~」と連呼しながら、通り抜ける。
笹ヶ峰グリーンハウスの分岐まで13分。木道はまだまだ続く。
引き続き、白樺とブナの林を登っていく。
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ここも木に彫ったいたずら書きが目立つ。
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黒沢橋で黒沢を渡る。
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ここは水場ということになっているが、まだ歩き始めたばかりなので補給の必要もなく通過。

ここから傾斜は突然急になり、派手な木の階段が続く。
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これも登山者の安全と登山道保護のためのものだろう。手を加えることをあまり快く思わない登山者もいるかもしれないが、正直歩きやすい。
平成22年の施工とあるので、できたばかりだ。

ここまで高山植物はミヤマシャジンを見かけた程度で、樹林帯のため景色も見えないから、カメラ休憩もなかなか取れない。
でも、水を努めて飲むようにしているおかげか、調子がよい。足がよく上がる。

十二曲りの急坂もそれほどきつくはなかった。
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途中出会ったミヤマシャジン
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ツバメオモトの実
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ツバメオモトの花はまだ見たことがないが、白い小さな百合の花の集まりのようである。

タカネニガナ
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時折、木々の間から西の方の山が見える。
乙見湖の向こうに見えるのは乙妻山(2318m)か。
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十二曲りを越えると楽になるわけでもなく、大きな岩の連なる尾根の直登。
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ここもさくさく登っていたが、すこし傾斜がゆるやかになると、途端にお腹が空いてきた。
お腹がぐーぐー鳴るくらいなので、ハンガーノックにならない前に富士見平に着かねばと思い急ぐ。
12:10富士見平の分岐に到着。黒沢橋から標準タイム1時間40分のところ、1時間10分で来てしまった。これじゃあ「特急」と言われても仕方ないか。
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しかし、展望も何もなく休むには不向きの場所なので、見晴らしのいい所までもう少し歩くことにする。

これは黒沢山(2212m)
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こちらは外輪山のひとつ三田原山。
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分岐から10分ほど歩くと、峠を越えて、正面に焼山と火打山が姿を現した。
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左から焼山、影火打、火打である。
まだ少し雪渓が残っていてうれしい。

しかし、このあたり展望はいいのだが、道が狭く腰を下ろす場所がない。
ヒュッテも見えてきたので、
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あそこまで歩くことにする。
途中、アルプス展望台というところがあったが、北アルプスは全く見えなかった。

ヒュッテには12:50着。何とかお腹も持ちこたえた。
先に宿泊の手続きを済ませ(1泊3食8500円)、ヒュッテ前のベンチでパン2個にかぶりつく。
最初は同じようにお昼を楽しむ登山客で大賑わいだったが、出発するころにはガラガラに。
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トイレは屋内にあり、靴を脱がないと用を足せない。
ここは宿泊客以外、紙は持ち帰らなければならない決まりだが、個室内に宿泊者用のボックスがあるので、みなそこに入れてしまうだろう。
なかなか山小屋の運営もむずかしい。

ここは妙高市の市営の小屋で、出発する前にHPを見てきたのだが、その印象がよかった。
あるお客さんからの苦情をほぼ全文紹介し、いくつかの問題について誤解を解こうとしたり、改善に全力を尽くしたりしている旨が記されていた。
そこに誠実さを感じたので、もし個々のスタッフの対応に若干の問題があっても、許せるような気がした。
実際には、何の問題も感じなかった。

水場は2分ほど歩いたところにあった。
生水の飲用はNGであったが、じゃぶじゃぶと顔を洗った。
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さて、出発。左手には高谷池のある湿原が広がる。
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すこし登ると背後に、妙高の頂上が顔を出した(左奥)。
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天狗の庭に至る峠状の場所は岩が随所に露出するお花畑になっていて、目を楽しませてくれる。
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一面に咲き乱れているのが、驚くことにハクサンコザクラ。
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もうとっくにシーズンは終わっているはずなのに。今年は雪が多かったからだろうか。

そして、葉っぱがかわいらしいイワイチョウ。
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モミジカラマツの白も心に涼風を届けてくれた。
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そして間もなく天狗の庭である。
ここの景観もまたすばらしい。火打を借景に見事な湿原が広がる。点在する岩が天狗のイメージなのだろう。
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このあたりではサラシナショウマが風に揺れていたが
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何といっても優勢なのはワタスゲ。
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これほどの群落は初めて見た。

さて、いよいよ火打への本格的な登りとなる。
尾根に達すると右手の日本海側は切り立った崖だが、ガスのため展望は望めない。
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左手には天狗の庭。
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尾根を登っていくと、ミョウコウトリカブトの大群落と何度も出会う。
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トリカブトは私が最初に覚えた高山植物だ。猛毒というイメージだけで、どんな植物なのか知らなかったが、こんな美しくも変わった形の花だったとは。
文字通り、鳥の兜のようだ。

ナンブアザミやミヤマキオンの勢いもすごい。
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2時半、雷鳥平に達する。
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あれは妙高の後ろ姿。
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眼下には尾根ぎりぎりまでガスが立ちこめている。
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ナナカマドは真っ赤な実をたわわに付けていた。紅葉も間もなく始まる。
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道端にはオミナエシ。
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ベニバナイチゴの実を見つけた!
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ウサギギク
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あとは、ハイマツとシャクナゲ、トリカブトとアザミの道。

3時ちょうど火打山登頂。
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なんと、頂上のみガスが流れていて、西側の眺望が利かない。
雨飾山や北アルプスを楽しみにしていたのに。
30分近く待ったがガスが晴れない。
ガスの一瞬の晴れ間から時折のぞく、妙高の後ろ姿と、天狗の庭からヒュッテへの道の眺望で、満足することにした。
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つづく
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鳳凰三山(下)

8月19日、晴れ。すばらしい眺望を堪能している。
早朝、鳳凰三山の薬師岳から地蔵岳へと縦走中だ。

稜線から薬師岳山頂方面を振り返る。多くの登山者が歩いている。
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富士山はつい何枚も何枚も撮ってしまう。
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八ヶ岳も次々に姿をさらし始める。手前から編笠、権現・ギボシ、赤岳の雄姿。
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間もなく観音岳。
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これは富士を借景とした観音岳の石庭。
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7時、無事、観音岳に登頂。みなさん、うれしそうだ。
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で、初めてここで地蔵岳が、天を突くオベリスクを披露してくれた。
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それから、見事なピラミッドの甲斐駒。
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彼をこんなに間近に見たのは初めてだ。初めまして。いずれ伺います。
これは、地蔵と甲斐駒、赤抜沢ノ頭(中央)の競演。
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こういう景色が見られるので、山はやめられない。
私にとって、山とはやはり「美」だと思う。
早く登れるとうれしいが、でもスポーツではない。だからトレランはする気にならない。
深田久弥のように、すばらしい言葉で美を表現することはできないが、そこに身を置いているだけで、猛烈に幸せな気持ちになる。

なんて、仙丈もぐんと近づいた。そちらにも、いずれお邪魔しますね。
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背後にあるアサヨ峰の手前にあるのが、後で通過する高嶺(たかね・2779m)。
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15分ほど景色を満喫し、地蔵へ向かう。
雲行きがなんとなく怪しいので、急ぐことにする。
ここからは、花崗岩の砕けたザレ場をかなり下ることになる。
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道からはずれた岩場の陰にたくさんの石仏がたたずんでいた。
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岩場は団体さんの登り下りで大混雑。
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こちらは、すこしルートをはずれて、これらを避けて歩いていたら、派手にスリップ。
小指を骨折した右手をまた付いてしまった。
ただ、今回は副え木に守られ、痛みはなかった。
やはり、色気を出してはいけない。

こんな沙漠みたいなところもある。
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北岳大樺沢(たぶん)の雪渓。
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ゴリラの横顔みたいな岩。
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陽物のような岩も当然ある。陰にはタカネビランジ。
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赤抜沢ノ頭への道は、赤いマークで示されている。
西斜面は花崗岩の岩壁。
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何だか、大勢のお坊さんが並んで歩いているようにも見える。
仏教と関係の深い山だけある。
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地面は花崗岩のかけらが敷き詰められたような状態。
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いよいよ地蔵の真ん前に来た。オベリスクはよく見ると、天に向かってえさをねだるイルカのようにも見える。
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やばい、北岳が雲に巻かれてきた。
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赤抜沢ノ頭の手前から右手に下りて、地蔵岳山頂直下の賽の河原に出る。
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こんなに澄んだ青空だが、右の背後からもうガスが迫っている。
ここにある石仏は案外新しいのが多い。
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当初は賽の河原までのつもりだったが、砂払岳で会った青年2人の後について行けるところまで登って見ることにした。
紅白のタカネビランジに励まされ、3点支持でよじ登っていく。
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なんとかオベリスク直下まで来た。なんと、そこにはロープがかかっている。
それをたどれば、オベリスクの上に立てるのだ。
しかし、青年たちは躊躇している。
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岩は全くの平らな面で、足がかりがない。つまり腕力だけで、おそらく10mくらいある岩峰を登らなければいけない。
彼も無理と判断して、諦めたようだが、私も小指を骨折している身。
当然のごとく断念し、下ることにする。

それにしても、ここに初めて登頂したウェストンは石にザイルを結んで、それをオベリスクの割れ目に投げ入れ、固定させて登ったというが、可能だろうか。
ザイルの付いた、しかも割れ目にしっかりひっかかるような大きな石を、あんな上まで投げられるものだろうか。きちんと一次資料を見てみないと、これは信用できない。

下ったところで、オベリスクはガスに包まれてしまった。間一髪だった。
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もう甲斐駒も全く見えない。

賽の河原を出発しようとしたところで、単独行の若い女性に呼び止められた。
「今日はどちらまで行かれます?」
「広河原です」
「あ、一緒だ。じゃあ、道はこちらでいいんですね」
「ええ」
ということで、赤抜沢ノ頭までご案内し
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そこで腰を下ろした彼女を残して、私はそのまま進む。
この先はやせ尾根のわりとスリルのある道だが、高山植物が豊富だ。
崖にホウオウシャジンやタカネビランジが咲いている。
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写真を撮っていると、さっきの彼女が追いついてきた。
ここにたくさん咲いてますねと言うと、彼女も熱心に写真を撮っている。
こちらも何度も立ち止まって写真を撮るので、結局、近づいたり離れたりしながらしているうちに、なんとなく一緒に歩いているような感じになってしまった。

頭がかくんとなってしまった女の子。
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花もかわいいが、岩の造形もおもしろい。
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これは樹氷のようなモンスターだ。

高嶺への登り返し。「せっかく下ったのに」という彼女に、「縦走の宿命ですから」と返す。
本当にこれだけ変化に富んだ楽しいコースだと、登りとか下りとか、意識すらしなくなる。
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ちなみに右の青いのが彼女。

高嶺には9時半に到着。すでに、西も東も完全にガスの中だ。
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彼女は2分くらい遅れて到着。
昨日、名古屋から車で夜叉神峠登山口まで来て、5時半には登り始めたという。
高速で4時間かかったというから、深夜の1時に家を出たわけだ。若い!
午前中に南御室小屋に着いてしまい、テン泊。
つまり、1時間先の薬師岳小屋から出発した私は、彼女に追いつかれてしまったわけだ。
仲間と歩くことの方が多いが、たまには1人で出かけるという。
「テントは楽しいですよ~」と奨められた。

自分もテントは買ってあるのだが、どうも重さが気になるのと、雨露でテントが濡れるのがいやで、なかなか踏み切れない。
山小屋がないようなところに行く時にお世話になるだろう。

フリーズドライを食べたことがないというので、「結構食えますよ、麻婆茄子がお薦めです」と教えてあげた。

ミニドーナツをお茶請けに20分ほど休んで出発。
ここからは下る一方。とくに最初の下りは、手をつかいながらの急な坂。
いきがかり上、保護者のようになってしまったので、彼女の安全に気を遣いながらの下りとなった。
途中見たことのない高山植物を発見。
タカネヒゴタイもしくはミヤマヒゴタイ
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こちらはトウヤクリンドウのようだ。
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セリバシオガマ
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10時半すぎ、白鳳峠(約2450m)に到着。彼女はここからまっすぐ広河原へ下山。
私はもうひとひとつ、赤薙沢ノ頭(2553m)を越えて、広河原峠から下山の予定だ。
ここでお別れということで、バイバイしたら、「ありがとうございました」と言われた。
何もしていないのだが。ミニドーナツのことか、道連れになってあげたことか。

まあ、名前も年も聞かなかったが、山を歩いていれば、またいつか会えるかもしれない。

で、彼女を見送り、目の前のピークに向けて登る。
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15分であっけなく頂上。
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目の前に北岳が見えるはずだが、こんな状況だ。
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雲の切れるのを待ちながら、ここで昼食とする。
メニューはフリーズドライの雑炊とカレー味ラーメン。
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なんと、箸を忘れたことに気づき、万能ナイフののこぎりを箸代わりにする。
それはいいのだが、ソーセージを切ったあと、濡れティッシュで拭いて、乾くまでナイフを出しっぱなしにしていたのを忘れて、さわってしまい、今度は左手の小指をぐっさり切ってしまった。
血がどんどん流れ出してびっくりしたが、たまたま右手の包帯を止めるテープを持っていたので、それを巻いたら止まった。
全くそそっかしい。

ここで、まだ乾き切っていなかった、雨具とザックカバーを広げて干す。
雲はなかなか切れないが、北沢峠に向かう南アルプス林道が見えた。
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これがバス通りなのだから恐れ入る。

私が学生の時、自転車で北沢峠に登りたかったが、広河原より先は当時から自転車も通行止めだった。

結局ここで1時間近く休んでしまった。
早川尾根は稜線の東側が見事にガスである。
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ハイマツや樹林帯が交互に現れる道を広河原峠まで下る。
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広河原峠は12時過ぎに通過。
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ここから林道まで、2時間半の標準タイム。長い、うんざりする。
登りの2時間半は問題ないのに、下りの2時間半がいやなのはなぜだろう。

坂はずっと急だ。ジグザグになっているので、いくぶん歩きやすい。
こんな道を選択する人はいないだろうと思ったら、1人登ってくる人がいた。
おそらく私は来たのと反対、甲斐駒方面に行くのだろう。

またまた初めて出会う高山植物を見つけた。
白いナデシコと言うべきか、センジュガンピ。
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途中、木の根から出ている湧き水を発見。喉を潤す。
包帯さえ巻いていなければ、顔もざぶざぶ洗いたいところだが、断念。
13:10林道にたどり着いた。
所要1時間5分。標準タイムより1時間半早い。
別に急いだわけではないのだが、標準タイムがあまりに余裕をもって書かれているのだろう。
ここからは舗装道路。
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歩きながら、バスの時刻表を調べると、予定していたのより1本早い13:40の便がある。ゆっくり歩いても十分間に合う。
ベストなタイミングだ。

途中、北岳への最短コースの起点広河原山荘がある広河原を見学し
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バス停には1時半に到着。
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満員で出発。1時間かけて夜叉神峠登山口へ。みなさん寝ていたが、私はしっかり地図を見ながら車窓を確認していた。この道は、山梨交通のバスや乗り合いタクシーが細い道をどんどん行き来するので、車掌さんが無線で、「何台通過」とか「ジャンボ(タクシー)が後から来ます」とか連絡し合いながら、進んでいった。

夜叉神峠登山口までは900円。
トンネルからは随分下ったところにあることに気づく。
風呂はすこし下った芦安温泉で、と思っていたが、ここにある旧山小屋の「夜叉神の森」に「夜叉神鉱泉」の表示があり、入浴可とあるので、ここで入ってしまうことにした。
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雰囲気は普通の沸かし湯だが、客は私しかおらず独占できた。
芦安温泉だと、他の登山者もいて、混んでいるといやなので、これで満足。

帰りはまたまた大渋滞が予想されるので、今回は国道140号、彩甲斐街道で行くことにした。雁坂トンネルは開通してもうかなり経つのに通ったことがなかったし。
5時にふもとの道の駅みとみに寄ったが、ちょうど5時で食堂は閉店。
がっかりしてトンネルへ。秩父に出れば、見慣れた道。
反応でラーメンと餃子を食べて9時ごろ帰宅。

展望に恵まれたのは、ほんの2時間だけだったけど、その2時間で鳳凰三山をちょうど踏破できたので、100点満点の山行でした。
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鳳凰三山(中)

8月18日午後3時半前、薬師岳小屋(約2720m)に到着。
さっき折角干した雨具がまた濡れてしまった。小屋番の青年に雨具やザックカバーなど濡れているものは、物置につるしておいてくれと言われ、そうする。
(1331)
1泊2食8000円。
寝床は、別の小屋番の少年が案内してくれたが、そこはすでに体格の大きな男性が占拠して熟睡中。困った少年は先輩の青年に相談したところ、その青年は、布団のわずかなすき間を指さし、「こちらです」とだけ言って、去っていった。
さも、このようにするんだ、と少年に教えるかのように。

私は別に腹も立たなかった。要するに、今日は混んでいて、1つの布団に2人寝ないといけない、というだけのことだ。ちゃんと枕は2つ並んでいるのだから、この男性も目覚めたら、それなりに対応してくれるだろう。

夕食は2回目の6時と言われたので、とにかく時間をつぶさなくてはいけない。
ザックを寝室に置き、枕の上に寝間着だけ置いて、「隣の人が到着しましたよ~」というサインだけ残し、食堂へ行く。メモを集中して書く。
ここはトタン葺きの平屋で随分古そう。台風でも来たら、吹っ飛ばされてしまいそうだ。
ただ、ここは薬師岳と砂払岳の鞍部の樹林帯にあり、かなり風は防げるのだろう。
寝室は一部2段で定員は60人ということになっている。

メモも終わったので、外に出てみる。
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一応、雨は止んでガスも消えているが、上空を怪しい雲がまだ流れている。
FOMAが使えるとの看板があったので、電源を入れてみたが通じない。
ちょうど出てきた小屋番の青年に聞くと、アンテナの電源を入れていないという。
電源は小屋の照明などもみな一緒で、これを付けている時に雷に襲われると、すべて使えなくなるので、雷雲が去るまではあえて電源は入れていないとか。

なるほど、分かったような分からないような。
彼は聞きもしないのに、最近の登山客の常識のなさを愚痴り始めた。
彼が例示した方々(たぶんかなり脚色も入っているでしょう)
①扉は自動ドアだと思い、じっと立って待っている人
②「コンセントはどこ?」と聞く人
③デジカメのメモリーは置いてないか?と聞き、「そのくらい、置いておけよ」と怒鳴る人
④食後、ネグリジェに着替え、お風呂セットを持って、「温泉はどこ?」と聞く人
⑤暗くなってから到着し、「道に街灯がないと危ないじゃないか!」と怒る人
⑥100円のビニール製レインコートで登ってきて、ずぶ濡れの人
⑦ゴールデンウイーク(残雪期)に半ズボン・スニーカー姿で着て、ずぶ濡れになって帰った人
⑧パーティーとはぐれ、「私はどこに下るの?」と聞く人
⑨なぜか、小屋でずっとゲームをしている人

みんなマンガのような話だが、実際いるんだなあ。
彼は、こちらが若造だと思って、やんわり注意しても聞いてくれないと嘆く。
初めての登山が富士山(夏)で、日本一の山に登ったんだから、あとはどこに行っても大丈夫と思っている人が多すぎるらしい。
それにしても、小屋番は苦労が多いのでしょう。みな命に関わることだけに、お客様だから気分を悪くするようなことは絶対言わない、というわけにもいかないし。

青年は、ここは通じないけど、砂払の方に行くと、電波通じることがありますよ、というので行ってみた。愚痴よりも、それを早くいいなさい。
確かに通じたので、送受信ができた。

正面に見える薬師岳のガスが切れてきたので、時折遠くで聞こえる雷鳴を気にしつつ、登ってみることにした。小屋からわずか5分である。

鳳凰三山は南から、薬師岳、観音岳、地蔵岳の3座からなる。
地蔵岳頂の岩峰オベリスクが有名だが、標高は2840mの観音岳が最も高い。
薬師岳は2780m、地蔵岳は2764mである。
表情はそれぞれに異なるが、いずれも花崗岩でできている。
薬師には、地蔵の小型版と言えるような岩峰の群れがいくつかある。

その一つが小屋近くからも見える。
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樹林を抜けると、地面は花崗岩の砕けた砂地となり、あちこちに岩峰がそそり立つ。
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これなどは諏訪にある万治の石仏のようだ。

こちらは、さしずめ海獣の動物園か。
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頂上は一応、砂地の部分に標柱が立っているが、
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明らかに、ここが最高地点ではない。

最も高いと思われる岩峰を目指す。
それは、あれである。
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結局、岩のてっぺんまでは登らなかったが、タッチはしてきた。

ところで、このあたり岩陰に可憐な高山植物があちこちに咲いている。
後で調べたところによると、タカネビランジである。
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南アルプスにほぼ限定される花で、白いものもある。
シロバナタカネビランジという。
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これは南アルプスでも南部に多いとされているので、このあたりにあるのはめずらしいのかもしれない。

鳥もいた。鳥までコレクションにするとキリがないが、調べてみると、これはおそらくホシガラスであろう。
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いずれにしろ、薬師岳山頂はとても楽しいロックガーデンで、散策してきて飽きない。
天気もだいぶ回復してきたのか、遠望が可能になってきた。

あれは観音岳のはず。15分で行けそうだが、標識には45分とある。
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本当に観音岳なのだろうか(翌日行ってみると本当で、そのくらい時間もかかった)

これは奥秩父方面だろう。
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そして、なんと富士山まで雲の切れ間から姿を見せてくれた。
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時間が経つほどに、雲がちぎれてゆき、ものの10分できれいに雲を脱ぎ捨てた。
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右手の岩山は砂払岳である。

さて夕食の時間が迫ってきた。ミヤマコゴメグサにご挨拶して、下山する。
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もう一度、砂払の方へ行ったら、展望が開けてきた東の空を見て、おじさんが「あれは八ヶ岳だ」と言っている。
指さしながら、あれが蓼科、横岳、縞枯と来て、あの凹んでるのが芝草峠・・・
私の見立てとは全く違うし、「芝草」ではなく「麦草」だ。

首をかしげながら、小屋に戻り、地図を広げてみると、どう考えてもあれは八ヶ岳ではない。おかしいと思った人がほかにもいたようで、地図をみている私に「あれ、ほんとに八ヶ岳?」と聞いてくる。「ぼくはそうは思えませんが」と答えたら、ベテラン風の男性が「八ヶ岳は薬師の陰に隠れてみえませんよ」と笑っていた。
やっぱり。知ったかぶり恥のもと。私も注意しなくっちゃ。

さてお腹がすいた。夕食はおでんとみそ汁。
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あとは、取り分けのわかめ・キャベツサラダ、キュウリのきゅうちゃんなどの漬けもの類、そしてリンゴゼリー。御飯はお代わりした。
満腹。

寝室に戻り、布団の上にシュラフを敷く。
布団はそんなに不潔ではないが、1つの布団に2人が寝る時は、重宝する。
隣の男性は「よろしく」と声をかけてくれたので、こちらも挨拶を返す。
別に悪い人ではなさそうだが、若い女性2人と3人のグループ。話し方がちょっと気色悪かった。

食堂に戻り、しばらくメモを書く。
今日見た高山植物の勉強もした。
7時半、シュラフに入る。隣の男性が来る前に半分は確保しなくては。
今夜は武器を持ってきた。耳栓である。
これが、どれだけ効果があるのか。試してみる。

おばさんたちの話し声は聞こえるが、遠くのことのようだ。レジ袋をがさごそする音は全く聞こえない。
これはすばらしい。と思っているうちに、寝入ってしまった。
夜中何回か目が覚めたものの、寝付きもよく、睡眠も十分に取れた、
こんなに効くなら早く使えばよかった。
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朝は4時半くらいに起床。
外に出るとなんとガスが出ている。残念。
日が昇って暖かくなると消えるガスならいいのだけど、小屋番の少年(韮崎工業高の山岳部だという)が「こういう日は、午後から雨になる可能性が高い。待つより早立ちした方がいいです」と教えてくれた。
朝食は、かなり質素。
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ペロリと平らげ、すぐに出発。

やや、ガスが晴れてきたぞ。やはり晴れるガスだったんだ。
まずは昨日、写真が撮れなかった砂払へ戻る。
白峰三山はまだ山頂部に雲が残っているが、これは直に消えるだろう。
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甲府盆地は見事な雲海。
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ほうらまず農鳥岳の雲がなくなった。
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朝日に照らされて、緑がまぶしい。

これは薬師岳山頂の庭園と奥が観音岳。
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地蔵岳と甲斐駒を結ぶ早川尾根の最高峰アサヨ峰(2799m)。あまり知られていないが日本三百名山ということになっている。
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昨日歩いてきた辻山の豊かな森の向こうに富士山が浮かぶ。
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これを見ると、日本人の私は「もう望むものはありません」という気分になる。

南アルプスの南の方を望む。
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まだ行ったことがないので、まだ正確に山座同定できないが、緑深い山々であることに、少々畏れを抱く。あのあたりは1泊2日程度では縦走できない。足を踏み入れるのは、いつのことになるだろう。

よし、間ノ岳もようやく顔を出した。
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そして、これぞ北岳の雄姿である。
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ほれぼれするではないか。ここがまさに北岳の正面だ。

右手の肩には、肩の小屋の青い屋根とテントの小さな赤が並んでいるのがかすかに分かる。
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仙丈ヶ岳の左肩をかすめて見えるのは中央アルプスの空木岳だろうか。
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これはもちろん、あたし。
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三役そろい踏み
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なんて、きれいなんだろう。Whatで始まる感嘆文が作りたくなってしまう。

こいつはまだ恥ずかしがっている仙丈
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真ん中の黒いのは影薬師だろうか。

これが砂払岳(約2770m)の山頂。
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ここで、南御室小屋に泊まったという2人組みの青年に挨拶。
彼らとは、あちこちで顔を合わせ、言葉を交わすことになる。

こちらも再び、進路を北にとる。小屋を通過し、薬師岳に立つ。
昨日さんざん歩いたとは言え、風景が全く違う。すべての映像がくっきりしている。
これは農鳥岳を借景とした薬師の石庭。神の造りたもう庭だ。
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一応、山頂の様子も確認しておく。バックは顔を出した仙丈。
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そして観音への道。
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おっと、雲海の中から、八ヶ岳の最高峰・赤岳が潜望鏡のように突き出している。
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岩峰の間にはさまれた富士山。
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おお、なんと白峰三山の手前、野呂川の谷にも雲が発生してきた。
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まだ6時半だというのに。
この調子では、この絶景を楽しめるのも数時間が限度かもしれない。

つづく
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鳳凰三山(上)

8月18~19日は鳳凰三山に登った。
南アルプスデビューである。性分として、いきなり甲斐駒や北岳に登ったりはしない。
主脈の前に立ちはだかるこの山々を落としてからでないと、本丸には攻め込まない。

スマホのアラームを4:30にかけたのだが、めずらしく気づかぬまま寝過ごし、目が覚めたのは4:55。やばい! 
5時に出発して、7:55芦安駐車場発のバスに間に合わす予定なのだが、ずいぶん立ち上がりが遅れてしまった。
5:15にあわてて出発したものだから、いくつか忘れ物をしてしまった。
・靴に防水スプレーをするのを忘れた(今日は雨の予報なのに)
・コンパクトカメラを忘れた(雨の場合、一眼レフは持ち歩けない)
・箸を忘れた(いつも割り箸なので、よく忘れる)
いずれも命に関わるものではないが、ただでさえ天気が悪いのに気分はよくない。
高速で一時雨も降ったが、甲府盆地に入ると、鳳凰三山の稜線がうっすらながら見えてきて、ひと安心。最初から雨という事態だけはまぬがれそうだ。

7:10ごろ、意外に早く芦安駐車場の入り口にたどり着いた。
案内のおじさんに車を止められ、どこまで行くかと聞くので、「夜叉神峠」と答えると、「どうぞ」という。
自分は、てっきりマイカーはここまでだと思い込んでいた。
夜叉神峠の駐車場もまだ空いているとのことで、そのまま車で行った。
バスのことなど気にする必要はなかったのだ。

7:30峠に到着。
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駐車場は余裕だった。
実はここに家族で一度来たことがある。1996年9月のことだ。
車でここまで来て、峠まで1時間の道をハイキングした。
あの日も白峰三山は曇って見えなかったが、今日もだめだろう。

それはともかく、ずっと催していたので、トイレに駆け込む。
この時、汚物の上にスマホを落としてしまうという失態を演じる。
オーノー! 
右手は包帯を巻いており使えない。左手で拾い上げ、丁寧にペーパーで拭いた。
壊れてはおらず、これは不幸中の幸い。

体操と最終のパッキングをして8時に出発。
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どうも、先週の霧ヶ峰の終盤からカメラの調子がよくない。
何を撮っても黄色っぽくなってしまう。
あれこれいじっているうちに色調調整というメニューが出てきて、それを調整したら直った。なぜ、こういうことになったのかは原因不明のままだが。

道はよく踏まれて土が締まっており、傾斜もゆるく歩きやすい。
昔は生活道だったのかもしれない。
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ミズナラやヒノキの林の中だが、下草の丈が短く、不思議と早春の雰囲気がある。
登山口は標高1383m。夜叉神峠までは、マルバダケブキやホタルブクロなどの高山植物に出会えた。一輪だけ咲いていたのがフシグロセンノウ。
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これを特定するのは苦労しました。

ここでコースタイムを記しておく。
18日:夜叉神峠登山口(8:00)~夜叉神峠(8:55休憩15分)~杖立峠(10:05大崖頭山往復25分)~(休憩10分)~苺平(11:50辻山往復30分)~南御室小屋(12:50昼食50分)~砂払(14:35休憩25分)~薬師岳小屋(15:25)
19日:薬師岳小屋(5:55砂払岳往復20分)~薬師岳(6:20)~観音岳(7:00休憩15分)~賽の河原(8:20地蔵岳往復20分)~高嶺(9:30休憩20分)~白鳳峠(10:35)~赤薙沢ノ頭(10:50昼食55分)~広河原峠(12:05)~広河原(13:30)=夜叉神峠登山口

夜叉神峠への道には、親切に「あと○分」という看板が立てられている。
DSC_1125.jpg

山の神、五本松を通過し、夜叉神峠(1770m)には9時前に到着。
カメラの修理に手間取ったわりには、標準コースタイム(1時間)より早く着いてうれしい。
しかし、やはり展望はだめ。
DSC_1142.jpg
白峰三山は中腹より上は雲の中だ。
休憩にちょうどいいベンチがあるので、ここに座って休憩がてらメモを記入。
ここにも高齢者のグループがいて、大声でおしゃべりし、けたたましい笑い声をあげている。楽しいのは分かるが、開放感ばかりではなく、山は公共の場でもあるということを忘れないでほしい。
ラジオで高校野球を聞いている人もいるが、山の中でそんなものを聞きたくない人もいます。どうかイヤホンでお聞きください。

峠には山小屋があったので、「夜叉神峠」のバッジを買って出発。
DSC_1145.jpg

峠の少し下に句碑があった。
「鳶はなつ 夜叉神峠 雪解風」
誰の句か判読不能だったが、あまり上手ではない。

15分ほど休んで出発。この先も歩きやすい道が続く。
このあたりに鳳凰の名を冠したホウオウシャジンがちらほらと咲いていた。
DSC_1160.jpg

まるい小さなピークの横を抜けて少し下ると、今日初めての急坂となる。
DSC_1161.jpg

ただ、道はジグザグにつけてあるので、それほどきつくない。
団体さんを抜かして、標高差100mほどを登ると、道はまたなだらかとなる。
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再び、20人ほどの団体さんが先に見えて、また抜かすのが厄介だなあと思っていたら、ちょうど追いついたあたりで休憩をしてくれたので、楽に通過することができた。
このあたり、ずっと樹林帯だが、左手には木々の合間に白峰三山が見えるはず。
でも、今日は真っ白。ある意味、邪念なく歩けるとも言える。

杖立峠には10時すぎに到着。
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夜叉神峠からの標準タイム1時間45分のところ55分で来てしまった。時間的に余裕があるので、地形図に道の表示はないが、近くの大崖頭山(おおがれあたまやま・2186m)を往復することにする。
距離にして500mくらいか。標高差は数十㍍程度だ。

少し登ったところにザックをデポし、山に分け入っていく。
と言っても踏み跡ははっきりしているし、数か所にテープの残骸もあり、地図をしっかり見ていれば迷うことはない。ヤブもなく歩きやすい。
ピークまではコケの森という印象できれいだが、倒木が多かった。
DSC_1178.jpg

山頂には山名を示す標識はなく、三角点があるだけ。
DSC_1179.jpg

来た道を丁寧に戻り、杖立峠から苺平に向かう。
若干下るが、あとはまただらだらした登り。このくらいの傾斜なら、平らな道と同じくらいのペースで歩ける。
なので、大崖頭山をピストンしているうちに、抜かれてしまった団体さんにまた追いついてしまう。
抜くのが面倒なので、今度はこっちが休憩することにした。
ちょっと道の広くなっているところに腰を下ろし、朝食の残りのおにぎり1個とパンを1つ。これで10分時間を稼ぐ。

この先すぐに、見晴らしのよさそうな(もちろん今日は何も見えない)広場があり、団体さんはここで昼食をとっていた。DSC_1196.jpg
おかげさまでまたしても苦労なく抜くことができた。

しばらく高山植物をめでながら歩く。
キバナノヤマオダマキ
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シナノオトギリ
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山火事の跡(写真上)を通り過ぎて間もなく、雨がぽつりと落ちてきた。
とうとう来た。粒が大きいと感じたので、横着せず、雨具の上下を着込み、ザックカバーを装着。そうこうしている数分の間にも、雨は本降りに。
思い切ってカメラもザックの中に収めた。
こういう時のためにコンパクトカメラが必要なのだが、今日はこの先、写真なしということになる。

激しい雨の中、無心で歩く。苺平(約2520m)に着いた頃には若干小降りになっていたので、カメラを取り出し、この地点の風景を記録に留める。
DSC_1213.jpg

これは千頭星山への道。
DSC_1211.jpg

で、辻山(2585m)へピストンすることにする。
こちらは昭文社の地図に点線の表示がある。
確かに踏み跡やテープの誘導もしっかりしている。
頂上へは空身で15分ほど。山頂は樹林の中で展望はなし。
一応、木にテープを巻いて、そこに山名と標高の表示はあった。これだけでもあると達成感がまるで違う。
DSC_1221.jpg

途中、手書きの近道の表示があり、ザックをしょってくればよかったと思ったが後の祭り。
DSC_1219.jpg

苺平に戻る頃には、またしても雨脚が強くなり、カメラはザックにしまって、傘を差して歩くことに。
ここからはガレ場のゆるい下りが続く。
道はほとんど川と池になっている。
真っ赤な雨具を着た単独の中年女性を追い越して、12:50南御室小屋(2440m)に到着。
雨がタイミング良く小降りになったので、またカメラを取り出して、小屋やら周辺の写真を撮る。
DSC_1223.jpg

小さな木製のヘリポートもあった。
DSC_1235.jpg

さすがに外で昼食というわけにもいかず、中で休ませてもらう。
今回は、休憩料(300円)は覚悟していたが、薬師岳小屋宿泊の方は無料だという。
経営者が同じなのだ。
ラッキーだが、さっきの団体さんが集団で休んでおり、休憩スペースは満席状態。
私は携帯用イスを取り出して、昼食用のパンをかじる。
数人のグループが出発したので、テーブルのところに移り、雨宿りを兼ねてメモをとる。
濡れて絆創膏がはがれてしまったので、小指の包帯も巻き直す。

休憩中に別の団体が入ってきて(彼らはここに宿泊の様子)、リーダーらしきおじさんが叫んでいる。「そこ早く、中に入って。もう説明が始まっているんだから、二度手間になるでしょう。ちゃんと団体行動してよ!」
言われているおばさんたちは何ももたもたしていたわけではない。
中が混んでいて入れず、濡れたものをしかるべき場所に置くのに時間がかかってしまっただけだ。
そういう人の準備が済む前に説明を始めてしまう方がおかしいだろう。
あんなリーダーに率いられる方々もかわいそうだ。
ツアーだと人数が多い方が稼ぎになるのだろうけど、山歩きのパーティはせいぜい6~7人が適正規模だと思う。と言っても、改まりはしまいが。

とにかくここに長居しても仕方ないので雨の中、出発。
最初は、花崗岩を削った深い溝(雨水が勢いよく流れている)を登山道と勘違いして歩き始めてしまったが、これは違った。
正しい道に戻り、わりと急な坂を登る。
包帯が濡れて手がかじかむので、体を温めるためペースを早める。

カメラはザックの中だが、再び小降りになったし、撮りたい景色もあったので、取り出す。
道に立ちはだかる花崗岩の巨石などを撮った。
DSC_1241.jpg

シラビソの樹林帯だが、みな木が若い。樹齢20~30年程度だろうか。
ここも縞枯れから復活して、まだ数十年といったところなのかもしれない。

そうこうしているうちにガマの岩と呼ばれる展望地に着いた。
DSC_1263.jpg
なんと白峰三山が見えるではないか!

思わず岩に登り、堰を切ったようにシャッターを押しまくった。
農鳥岳(左)と間ノ岳
DSC_1252.jpg

間ノ岳(左)と北岳
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天気予報でも曇のち雨の予報だったから、初日は登るだけと展望は諦めていただけに、ありがたかった。

ここから少し進むと森林限界となり、砂払という場所に出る。
巨石が林立している景勝の地で、ここからは西の展望が完全に開けている。南アルプスがその全容を見せてくれたのだ。
DSC_1295.jpg
右から、北岳、間ノ岳、農鳥岳と続く。
それにしても、北岳がこんなに堂々としたピラミッド形の山だとは思ってもみなかった。
今までは、八ヶ岳方面から眺めることが多かったが、いつも甲斐駒の影に隠れ、頂上もわりとなだらかに見えた。
さすが日本第二の高峰だけはあると感じ入ったのだった。

そしてこれは、明日登る観音岳(左)と薬師岳の小ピーク
DSC_1271.jpg
山なのに何だか白砂青松のイメージさえある。

このぽつんとてっぺんを覗かせているのが甲斐駒だ。最初は八ヶ岳の赤岳かと思った。
DSC_1276.jpg

仙丈ヶ岳もばっちり見えた。
DSC_1278.jpg

撮影を続けているうちに日も差してきて暖かくなってきた。
雨具を脱いで岩に広げて乾かしたりしながら、先に着いていた男1人女2人のパーティーと「晴れてきて、よかったですね~」などと言葉を交わす。

しかし、またしてもカメラの調子が悪くなってきた。
今度は雨を吸ったレンズが曇り始めたのだ。
こんな景色のいいところで、カメラがダメになるなんて・・・
曇っているのは外側ではなく、内側なので拭くことができない。

困ってしまって、たまたまここは携帯が通じたので、カメラに詳しい友人に電話をかけてアドバイスを請うた。
すると、レンズの中に入った水分が、気温が上がることで凝結したのだろう。涼しいところにしばらく置いておくと、だんだん晴れてくるよ、という。
1時間はかかるとか。

ここでのんびり待つかあ、と居座りを決め込もうとしたら、なんと早くも雨が降ってきたので、もう撮影は諦め、退散。この巨石の連なる砂払岳は小屋から10分もかからない位置にあるので、明日もう一度訪ねることにして、薬師岳小屋に直行する。
今日は思いがけない僥倖もあったが、ついてないこともあった。
まあ人生って、そういうものだろう。
肯定主義のわたしは、すべてを受け入れ、小屋に身をあずけたのでありました。

つづく
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