中山峠(835m)の旧道を喜茂別側から登り、ほぼ1時間半かかって峠まで登ってきた。
距離は13.3kmもあった。
江戸時代の中山峠は道なき道であったが、幕末に松浦武四郎がアイヌの案内で越えている。
ここに本格的な道が切り開かれたのは、1871年(明治4年)のことで、工事を担ったのは京都の東本願寺であった。
実際の指揮にあたったのが、東本願寺第二十二代法主の現如上人(大谷光瑩)である。
当時築かれた道は、札幌市平岸と尾去別(現在の伊達市長和)を結ぶ約103km。
当時は「本願寺街道」と呼ばれ、現在の国道230号の基礎となった。
今日走ってきた道がほぼそのルートにあたると思われる。
しかし、そのわずか2年後の1873年に苫小牧経由で室蘭に至る「札幌本道」が完成すると、山越えの本願寺道路は敬遠され、次第に荒廃した。
もっとも1886年(明治19年)から、北海道庁により改修工事が進められ、次第に幹線道路として役割を担うようになった。
1950年(昭和25年)には国道230号に昇格したが、モータリゼーションにより、交通量が増えると、道幅も狭く見通しも悪いため転落事故が続発、「魔の山道」と呼ばれるほどだったという。
このため、中山峠をはさんだ国道230号の全面改修工事(新規ルート)が1957年に始まり、69年(昭和44年)10月3日に完成した。
このとき、学研の小学1年か2年の「学習」か「かがく」でこの道路の完成を大きく特集していたのを覚えている。
この新道は、ワニの口や回廊トンネル、ひさし状の覆道など、道路景観としてもすぐれたものが多いが、これは初代札幌開発建設部長・高橋敏五郎の哲学によるものだったらしい。
「道路は公園と同じで、通ることによって心がなごむようにつくられ、維持されなければならない」
実際、まもなく半世紀が経過するが、今もこの道を通るのは楽しい。
それはともかく、この銅像は新道が完成する2年前の1967年に建立されたものである。
詳しくはこちらを。
中山峠の交通に貢献されたすべての人々に敬意を表して、自転車とともに。
実は、もう午後2時を過ぎているのにお昼を食べていなかったので、道の駅ではなく、峠の茶屋に立ち寄った。
ここで、山菜そばを注文。
子どもの頃、父の車でここを通った時、父がそばを私がうどんを食べたことを覚えている。
この茶屋はかなり昔からあったが、道の駅ができてからも、よくつぶれないで頑張っている。
経営者は代々引き継がれているのか、それとも変わったのか。
昔は、ヒグマの子供を檻に入れて飼っていたっけ。
お腹がふくらんだところで出発。もう14:40になってしまった。
国道を500mほど札幌側に進むと旧道への分岐がある。
今度はちゃんとゲートがあった。
ここからは事業専用のため一般車両の乗り入れお断り、とのこと。
監視カメラまで作動中とのことだが、自転車は許してもらうことにしよう。
こちらもかなりいい道だ。
往年の名残なのか、車が普通にすれ違える広さのところもある。
右手に見えてきたのは狭薄山(1296m)。
その右は漁岳(1318m)。
下りのはずなのだが、わりと平坦なので一生懸命こがないといけない。
まあ、急な下りよりはその方がいい。
道端に黄色い花が咲き乱れている。
キンポウゲだろうか。
20分ほど走ったところで分岐にぶつかった。
車がよく通っているのは左の方のようだが、旧道は直進だ。
わだちの間に草が生えている、こういう道が私は好きだ。
おお、またまたキンポウゲの群落。
途中、何でもないところに開けっ放しのゲートがあった。
このあたりはずっと直線である。
すこし勾配がきつくなり、スピードが出る。
ここまで真ん中の草が幅広くなると、ちょっと走りにくい。
T字路にぶつかったところで、正面に札幌岳(1293m)。
左折すると、そのまま旧道なのだが
当方はここで右折して旧道を離脱。
国道230号にショートカットする。
この黄色い花は小さいので、よく分からない。
この林道は傾斜がきつい上に路面状態も悪く、かなりの緊張を強いられた。
振動が大きいので軍手を履いた。
あまりの揺れに、あえて叫ばなくても、自然に「あああああ」と声が出た。
右手に880mピークが見えたところで小休止。
ブレーキを握る手も休めてあげた。
それでも10分ほどでゴール。
無事に国道に出られて、熊さんにも会わずに済んでホッとした。
なんか、ゲートのカギを壊して侵入する車もあるらしい。
大曲林道というのか。距離は1kmしかなかったみたいだが、長く感じた。
とにもかくにも、これで緊張の旧道ライドは終了。
往年を感じさせるような遺構はほとんどなく、無味乾燥な感じだったが、とにかく中山峠の旧道を確認するという宿願を果たすことができて、よかった。
国道との合流地点は、定山渓トンネルの出口。
これから中山峠まで国道を登らなければならない。
ここの標高は約640mほどなので、標高差は200mだ。
勾配は比較的ゆるやかなので、ギアをそんなに軽くしなくてもいいのがありがたい。
望岳橋で小休止。
以前もここから眺めたことがあるが、札幌岳。
そして狭薄岳。
定山渓国道の石碑。
途中、ほぼ平らになったので、結構飛ばした。
国道は7.3kmを30分ちょっとで駆け抜けた。
到着は16:05だった。
頑張ったご褒美に、道の駅でソフト(350円)をいただく。
それと水分が足りなかったので、ファンタグレープを買って車の中で飲んだ。
帰りは定山渓の手前で一瞬ゲリラ的な雨が降ったが、あとは天気の崩れもなく、ほぼ渋滞もなく17:30には帰宅できた。
本格的なダートを自転車で走るのは25年ぶりくらいだろうか。
下りは苦手だが、登りは登山で鍛えているせいか、それほど負担を感じなかった。
勾配がゆるいせいもあっただろうけど。
今度は朝里峠とか稲穂峠の旧道にチャレンジしてみたい。
【行程】2018年7月14日
中山峠(12:15)~黒橋分岐(12:35)~青い川林道分岐(13:20)~中山峠スキー場(14:05)~中山峠(14:10撮影・昼食14:40)~大曲林道分岐(15:15)~定山渓トンネル(15:30)~中山峠(16:05)
※所要時間:3時間50分(走行時間:3時間5分)
※登った峠:中山峠
※走行距離:37.9km
※累積標高差:約580m